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舞と貴司の結婚で考える「舞いあがれ!」のおひとりさま配分は適切だろうか

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「舞いあがれ!」より 写真提供:NHK

全員、結婚しないといけないということはない

「舞と貴司がようやく一緒になって、みんなにお祝いされたところからスタートしました。ここまで長くやってきたドラマのなかで、苦しいこともあったけれど、ようやく幸せになれたということで、キャスト・スタッフ共々、『ほんとによかったね』という幸福感に包まれた撮影でした

熊野律時チーフプロデューサーは笑顔で振り返った。

パーティー会場にはたくさんの人たちが集まり、倫子(山崎紘菜)や由良先輩(吉谷彩子)の姿も。倫子にはフランス人の婚約者がいると明かされる。驚いたのは、山田(大浦千佳)と藤沢(榎田貴斗)が「お似合い」と言われていること。そして、佳晴(松尾諭)とノーサイドの店主・道子(たくませいこ)もなんだかいい感じ。

リュー北條(川島潤哉)は第20週、第93回で「伝えたいけど伝えられない思い。胸の奥で燃えている恋心。それを歌にするんだ。みんな飢えてるんだよそういう歌に」と言っていた。身近な人たちが結ばれるのは朝ドラあるあるで、それはそれで見ていてほっこりするが……。

――この時代、おひとりさまのことも気になります

熊野「由良先輩はひとりですね。山田と藤沢はいい感じでありますが、みんながみんな結婚するのかっていうとそうではないし、それぞれの選択に任せる形にしています。全員、結婚しないといけないということはないし、結婚という形だけでなく、いろいろなパートナーの形がありますよね

――選択肢のバランスをとろうと努めているのでしょうか

熊野どういう生き方が正しいとか幸せとか決めつけないようにしています

――そういうふうに心がけることは逆に大変ではないですか

熊野「いや、それは自然な方向にまかせています。例えば、結婚する人、しない人、半々にしないといけないとも思っていなくて、登場人物の個性に合わせて、この人物だったらこういうふうになるのではないかと桑原亮子さんと考えながら、物語の展開を作っています。あらかじめ正解を決めてそこに向かっていくようにはしないようにしています

舞は自分だけではなく、みんなの幸せを願い、行動していく

ちなみに、新聞記者・御園(山口紗弥加)がひとりを選択していることを表明している。第20週、第93回で「私はもう恋愛も結婚もしない」「身軽でいたいから。私の人生だし自由に好きなことをしたい」とはっきり口にしていた。「さみしい」と言う久留美(山下美月)は悠人(横山裕)と進展するのでは……という予感がするがさて? と、こういうふうにいろいろなひとがいていい。それが「舞いあがれ!」の世界だ。

熊野「舞と貴司の結婚を経て、物語は東大阪の町工場全体に広がっていきます。現代の町工場の抱えている問題が少しずつ見えてくるなかで、舞はいろいろな技術を持った人たちの力を集めることを考え、前に進んでいきます。自分だけではなく、みんなの幸せを願い、行動していく舞の新たな物語を楽しんでください」

幸せな第97回を演じた福原遥さんと赤楚衛二さんのコメント

福原遥さん

「これまでも舞と貴司のシーンはすごく安心感があって、ふたりの間に同じ空気が流れている気がしていました 。

舞は小さ い ころから貴司くんにずっと支えられてき ましたし、 互いになくてはならない存在だったので、このふたりが一緒 になったら安心だなとは思っていました 。でも、実際に結婚に関するシーンを撮影していくと、舞にとって貴司くんは『この人がいたら もう自分は大丈夫 』と思えるぐらいに本当に大切な存在なんだと実感しました。 改めて貴司くんに 出会え て本当に 幸せ だなと思いましたね 」

赤楚衛二さん

「舞ちゃんと結婚するとは聞いていたのですが、告白した翌週の台本でもう結婚していたので驚きました。明確なプロポーズのシーンはなかったので、前の週にあった公園での告白がもうプロポーズなのかなと。よかったね、貴司……としみじみ思います。 貴司から舞ちゃんへの思いは恋ではなく、愛に近いですよね。 貴司から舞ちゃんへの『ずっと好きだった』というセリフは『愛してる』のレベルだと思います。『ずっと』とはいつからなのか、僕なりには気持ちを含ませながら演じてきたつもりですが、いかがだったでしょうか(笑)」

連続テレビ小説「舞いあがれ!」

総合:月~土 午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00 ※土曜は1週間の振り返り

BSプレミアム・BS4K:月~金 7:30〜7:45

出演: 福原遥、横山裕、赤楚衛二、山下美月、山口紗弥加、古舘寛治、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ/永作博美、高畑淳子

作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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