Yahoo!ニュース

新生 #LINEヤフー株式会社 発足。課題は、ID重複整理と若年層獲得。主なグループ企業公開

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:LINEヤフー株式会社

KNNポール神田です。

2023年10月1日、新生『LINEヤフー』がスタートを切った…と言っても、サービスそのものには何の変化もあらわれない。

一番のユーザー側への変化は、LINEとヤフー!のユーザーのIDが統合されるというところが最大の変化だ。 

■(2023年10月)1日から変わるのは、利用者の個人情報の取り扱いだ。LINEヤフーは、利用者がLINEとヤフーにそれぞれ登録した電話番号やメールアドレスなどをもとに同一人物と推定し、データをひもづけて利用する

■これまでLINEとヤフーが別々に持っていたデータを連携させることで、興味などに応じた広告を出しやすくして相乗効果を高める狙い。新しい規約に同意しないと、(2023年)11月以降はLINEアプリやヤフーメールなどの利用継続ができなくなるという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/960217ede250a5ada7bb5fa56f7347400039f63a

それらによって、2023年11月29日からのLINE・ヤフーのプレミア会員が登場し、『LYPプレミアム』にアップグレードがなされる。

https://info-premium.yahoo.co.jp/promo/lyp/teaser/202309/

■一大事業となる、3.2億超えのデータとID(2億5,330万人分)の照合

LINE 1.99億ID と Yahoo!JAPAN 5,430万ID が統合(のべ合計2億5,330万ID)され、

グループ延べ3.2億超の利用者数』をまとめるということだ。

おそらく、重複するデータを含めると、一体どのくらいのIDになるのかが気になることだが、Yahoo!JAPANのMAU(月間アクティブユーザー数)は、8,500万人(2023年3月媒体資料)をLINEの国内MAUは、9,400万人(2022年8月調べ)を考えるとID数は減り、各MAUを合計すると、国内最大級の『1億7,900万MAU』は、そのまま残るということになりそうだ。

出典:Yahoo!JAPAN媒体資料2023年3月
出典:Yahoo!JAPAN媒体資料2023年3月

出典:LINE BusinessGuide 2023/04
出典:LINE BusinessGuide 2023/04

■ネット老人会のヤフー!と若者だらけのLINEのイメージの『相違』

双方の媒体資料を読み解くと、ID属性が、ネット老人会のヤフー!と若者だらけのLINEのイメージだったが、意外にも、双方共に、すべての世代に顧客がいることがわかる。いや、意外にもLINEでも、20代10代が薄くなっていることがわかる。

それだけに『重複ID』がかなり存在していることが顕在化されている。

ヤフーでは就業者はパソコンスマートフォンともに 約60%

専業主婦と学生でスマートフォンでは21% パソコンでは15%となる。

年収はパソコンが800万円以上が21%で、スマートフォンで17%と差が出ている。

出典:Yahoo!JAPAN媒体資料2023年3月
出典:Yahoo!JAPAN媒体資料2023年3月

また、年代別で見るとYahoo!で一番多いのが50−64歳が26%となった。

二番目が65歳以上の20%と40代が20%、そして30代15%、20代13%と下がり、20歳以下は6%へと落ち込む

出典:Yahoo!JAPAN媒体資料2023年3月
出典:Yahoo!JAPAN媒体資料2023年3月

■国内LINEのユーザー層はすべての年代に広がっていた

国内LINEユーザーは、もは若者だけではなく、最大のボリュームゾーンは、

1番は、45−49歳の12.1%であった。続いて

2番目に40−44歳の10.5%。3番、50−54歳の10.1%

4番、55−59歳の9.4%、そして5番、65歳以上の9%と続く。

6番目にようやく 35-39歳が8.9%で登場。

7番目、60−64歳8.7%  8番目、30−34歳8.4%

9番目にようやく15−19歳7.9% の10代が登場。10番、11番に25−29歳7.5% 20−24歳の7.5%となった。

出典:LINE BusinessGuide 2023/04
出典:LINE BusinessGuide 2023/04

■完全にユーザーの年代層が重複していた『LINEヤフー株式会社』のサービス

こう考えると、ヤフーの50-64歳が26%であり、LINEが50-64歳が28.2%となり完全にID数は同年代で重複している。

ヤフーの65歳以上20%に対し、LINEは9.0%ヤフーのシルバー世代率が高い

ヤフーの50歳以上46%に対し、LINEは37.2%であった。 

むしろ、LINEユーザーの4割近くが50歳以上に驚く

ヤフーの40代 20%に対し、LINEは22.6%LINEの中年率が高い

ヤフーの21-29歳は13% LINE15%と2ポイントしか変わらない

ヤフー13−20歳が6%に対して、LINE15-19歳7.9%と3ポイントの差でしかない。

そして、LINEの特徴は、パートタイマーから学生などが41.4%いるということだ。一方、オフィスワーカーは48.6%と半数に近い

出典:LINE BusinessGuide 2023/04
出典:LINE BusinessGuide 2023/04

■『LINEヤフー』の年齢属性が真逆なのが『インスタグラム』

出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア
出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア

Instagramの全世代の利用率は48.5%で、年代別に見ると、

20代が最も多く78.6%の人が利用しています。

2番目に多いのが10代で72.3%

次いで30代の57.1%と続きます。

最も利用率が低いのは13.4%で60代となります。

https://grove.tokyo/media/g0181/

■若者支持の利用率が強い X.com(Twittr)

出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア
出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア

Twitterの日本の全世代の利用率は46.2%と利用率3位のInstagramに次ぐ4位。

20代が最も多く78.6% 2番目に多いのが10代で67.4%、次いで30代の57.9% (※ユーザー属性ではなく利用率)

https://grove.tokyo/media/g0181/

■圧倒的な10代中心のTikTok利用率

出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア
出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア

TikTokの全世代の利用率は25.1%で、年代別に見ると、10代が最も多く62.4%の人が利用しています。2番目に多いのが20代で46.5%、次いで30代の23.5%と続きます。最も利用率が低いのは8.7%で60代となります。

https://grove.tokyo/media/g0181/

■総合的なバランス力と20代の利用率の『YouTube』

出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア
出典:GROVE|SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングで売り上げるための情報メディア

Youtubeの全世代の利用率は87.9%で、年代別に見ると、20代が最も多く97.7%の人が利用しています。2番目に多いのが10代で97.2%、次いで30代の96.8%と続きます。最も利用率が低いのは67.0%で60代となります。

https://grove.tokyo/media/g0181/

■『LINEヤフー』の最大の課題は、40代以上の中年以上に強いメディアであること

これは最大の強みであり、同時に同社の最大の弱みでもある。しばらくの間は、何十年と慣れ親しんできたネットメディアなので、すぐにスイッチとはいかないものの、生成AIやVRやらいろんなメディアが増えてきたので、10代、20代の人気メディアと棲み分けされているままでは分が悪い。

■「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。CEOメッセージ

LINEヤフー株式会社 代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)出澤 剛 氏のメッセージ

出典:LINEヤフー
出典:LINEヤフー

CEOメッセージが掲載された

https://www.lycorp.co.jp/ja/company/message/

「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。

これが、私たちのミッションです。

「WOW」はLINEが、「!(びっくり)」はヤフーが長年大切にしてきた価値観で、他の人に教えたくなるような、驚きを超える体験や感動を生み出すという意志が詰まっています。

そして、「ライフプラットフォーム」には、目覚めてから眠るまでずっと、ユーザーの毎日に寄り添う存在でありたいという想いを込めています。

https://www.lycorp.co.jp/ja/company/message

国内でマージしてから、今のところ巨大すぎるゆえに、統合が進化しなかったようにも見える。しかし、これからはそれぞれのブランドのコストカットの300億円の合理化は進めてきたので、大改革に期待したいところだ。

■『LINEヤフー』の本格統合前に、『LINE証券』野村HDと『LINE銀行』みずほHDとの決別と『LINEヤフーの』新役員体制

出典:LINEヤフー役員体制
出典:LINEヤフー役員体制

『ZHD』との統合ですでに4年越しの年月を重ねてきた『LINEヤフー』が、300億円もの固定費削減の名の元に、『LINE証券』を49%出資の『野村HD』に移管し、『LINE FX』や『LINE CFD』のみを残すという。さらに長年、『みずほ銀行(50%対等出資)』と動いてきた『LINE銀行』は解消(2023年3月)という形をとった。

それも『ZHD』の金融部門である『Zフィナンシャル』の大人の事情の判断であっただろう。そして2023年4月より『ZHD』の代表は元LINE側の『出澤』CEOへ変わったことにより、過去のLINEのビジネススキームの取捨選択を決断したのだ。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/fe28efbe3232469abd936f273fcbd20a88f1b98d

また、取締役の役員体制も、ヤフー側の、川邊健太郎氏は会長職へ、オザーンこと小澤隆生CEOが抜け、桶谷拓(おけたに・たく)取締役を残すだけとなった。

LINE側の、出澤剛 CEO 朝日生命保険→オン・ザ・エッヂ執行役員→ライブドア社長→NHN取締役→LINE代表取締役COO→LINE CEO→Zホールディングス Co-CE→LINEヤフー株式会社CEO

慎ジュンホ 韓国 研究開発情報センター→OZ Technology,Inc.→Neowiz Games Corporation→株式会社1noon(現・NAVER Corporation)→ネイバージャパン企画本部長→LINE取締役→LINE Plus Corporation代表取締役→LINE代表取締役CWO→Zホールディングス取締役 GCPO→LINEヤフー代表取締役CPO

■多彩な多国籍 執行役員構成 LINEヤフー株式会社

https://www.lycorp.co.jp/ja/company/officers/

出典:LINEヤフー役員体制
出典:LINEヤフー役員体制

黄 仁埈 サムスン電子(株)→クレジット・スイス(現クレディ・スイス銀行)→サムスン証券(株)→ウリ金融持株(株)→NHN Corporation(現NAVER Corporation)入社

坂上 亮介 (株)GyaO 最高財務責任者→(株)アニメイトブックストア監査役→ ZHD 最高財務責任者(CFO)兼 コーポレートグループ財務統括本部長

朴 イビン Neowiz Games Corporation→1noon(現NAVER Corporation)→

NHN Japan(株) 執行役員→LINE(株)(現Aホールディングス(株))執行役員

中谷昇 警察庁→国家公安委員会→国際刑事警察機構インターポール→IGCI初代総局長→ヤフー株式会社執行役員サイバーセキュリティ

藤門 千明 沼津工業高等専門学校→ヤフー(株)取締役 常務執行役員 CTO(最高技術責任者) 

秀 誠  ヤフー株式会社 執行役員 コマースカンパニー 事業推進室長→ ヤフー株式会社 執行役員 コマースカンパニー ヤフオク!統括本部長

島村 武志 NHN Japan株式会社→NAVER事業『NAVERまとめ』『LINE NEWS』『LINEギフト』→LINE取締役

片岡 裕 ニフティ株式会社→ヤフー株式会社『Yahoo!みんなの政治』『Yahoo!ニュース』→ 広告事業推進本部長→執行役員 メディアグループ メディアカンパニー長

舛田 淳  百度(バイドゥ)取締役→ネイバージャパン(株)→NHNJapan執行役員事業戦略室長→

LINE MUSIC(株) 代表取締役CEO→LINE(株) ZHD取締役CSMO→取締役 専務執行役員Entertainment CPO 

コ ヨンス LINE 上級執行役員→LINE Pay事業 取締役CPO LINE Credit 代表取締役

池端由基 サイバーエージェント→NHN Japan→広告事業本部長

旧 Zホールディングスの役員構成

出典:Zホールディングス取締役
出典:Zホールディングス取締役

https://www.z-holdings.co.jp/company/officers/

■LINEヤフー株式会社 新コーポレートサイト

https://www.lycorp.co.jp/ja/

■主なグループ企業一覧 35社 リストとリンク ※一部リンク切れあり

https://www.lycorp.co.jp/ja/company/groupcompanies/

アスクル株式会社

https://www.askul.co.jp/corp/

CRITEO株式会社

https://www.criteo.com/jp/

dely株式会社

https://dely.jp/

株式会社出前館

https://corporate.demae-can.co.jp/

株式会社一休

https://www.ikyu.co.jp/

IPX Corporation

https://www.ipxcorp.com/

LINE Credit株式会社

https://linecreditcorp.com/

LINE Financial Corporation(KOREA)

https://linefinancialcorp.com/

LINE Friends Japan株式会社

https://www.linefriends.com/?lang=jp

LINE Games Corporation

https://www.line.games/

LINEヘルスケア株式会社

https://linehealthcarecorp.com/ja

LINE MUSIC株式会社

https://music.line.me/about/

LINE NEXT Corporation

※リンク切れ

LINE NEXT Inc.

※リンク切れ

LINE NEXT Corporationを韓国に、LINE NEXT Inc.を米国に設立しました。

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/4049

LINE Pay株式会社

https://linepaycorp.com/ja/

LINE Pay Taiwan Limited

※リンク切れ

LINE BIZ+ Taiwan Limitedにおける台北富邦銀行および、聯邦銀行を引受先とした第三者割当増資実行を決議

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2018/2318

LINE PLAY Corporation.

https://lineplaycorp.com/ja/

LINE Plus Corporation(KOREA)

https://linepluscorp.com/

LINE MAN Corporation PTE.LTD(Thai)

https://lineman.line.me/

LINE Xenesis株式会社

https://linexenesiscorp.com/ja/index.html

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社

https://lycomm.co.jp/ja/

株式会社マイベスト

https://my-best.com/company

PayPayアセットマネジメント株式会社

https://www.paypay-am.co.jp/corporate/

PayPay銀行株式会社

https://www.paypay-bank.co.jp/

PayPayカード株式会社

https://www.paypay-card.co.jp/

PayPay株式会社

https://about.paypay.ne.jp/

PayPay保険サービス株式会社

https://www.paypay-insurance.co.jp/

スポーツナビ株式会社

https://sports.yahoo.co.jp/

株式会社スタンバイ

https://stanby.co.jp/

バリューコマース株式会社

https://www.valuecommerce.co.jp/

ヤフーマートオペレーションズ株式会社

https://www.yahoo-mart-operations.co.jp/

Zコーポレーション株式会社

https://z-corp.jp/

Zフィナンシャル株式会社

https://www.z-financial.co.jp/

Z Venture Capital株式会社

https://zvc.vc/

株式会社ZOZO

https://corp.zozo.com/

■前 #Zホールディングス 時期の主なグループ会社

https://www.z-holdings.co.jp/company/groupcompanies/

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

神田敏晶の最近の記事