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"整形疑惑"が話題の韓国大統領夫人 本人はその件をあっさり認めている「瞼をやったのよ」

(写真:ロイター/アフロ)

3月16日の日韓首脳会談から4月26日の米韓首脳会談へ。

ちらっとテレビに映るその人物が日本で話題だ。

「金健希(キム・ゴニ)韓国大統領夫人」

美容整形をかなりの回数重ねたのではないか。インターネットの日本語環境でそういった写真が出回り、韓国関連の注目キーワードとして急上昇中だ。

韓国の地上波「MBC」が放映した報道番組「PD手帳」2022年10月11日放映分の冒頭シーンより
韓国の地上波「MBC」が放映した報道番組「PD手帳」2022年10月11日放映分の冒頭シーンより

39歳だった2012年に、51歳だった尹大統領と結婚。夫の大統領選出馬前まではアート系の制作・投資会社の代表取締役を務めていた。

改めて、彼女はいったいどういう人物なのか。

整形疑惑「あっさり認めている」

本人は「美容整形疑惑」についてはあっさりと認めている。2020年12月、「オーマイニュース」からの電話取材に対しずばり答えた。

「目を整形したのよ。もともと二重だったんだけど不揃いで。大学時代に親戚の友人の病院で再建手術をした。『高校の卒業写真と違う』なんて言われてるけど、まああのときは眩しくて目をちょっとつぶってしまったというところね」

美容整形自体が何も罪ではない。いっぽうで、大統領夫人たるものどうしても多くの関心が集まる存在。幾多の写真を見る限り、見る限りそれだけではないようにも見える。

先に日韓首脳会談での来日時に
先に日韓首脳会談での来日時に写真:つのだよしお/アフロ

そのあたり、韓国ではツッコまれまくっている。

先の大統領選真っ盛りだった2022年12月8日、対立陣営の「ともに民主党」ソン・ヘウォン議員がツイッターで彼女の高校卒業写真と現在の写真をアップし、コメント。物議を醸した。

「顔が変わったということはすでに知っていたが、よく見ると瞳孔がかなり大きくなっている」

さらにこのツイートには、議員の支持者チン・ヘウォン水原地検安山支庁副部長検事がこんなコメントを残していた。

「唇のラインがはっきりとしていて、下唇が裏返っており、下あごが前に少し出ている」

「女性的な魅力と自尊心を活かす整形手術で外見を良くした良い例だと思う。(鑑賞の観点から)」

さすがにこれは言い過ぎ、と各メディアに叩かれた。すると5日後の13日、議員は「目が不思議に見えただけ」と弁明している。

対立する韓国左派の集会では「整形前・後」の2つの顔を模した大型のお面も登場した
対立する韓国左派の集会では「整形前・後」の2つの顔を模した大型のお面も登場した写真:Lee Jae-Won/アフロ

もっとキツい言葉を投げかけた人物もいる。

「彼女の人生自体が整形手術」

先の大統領選期間中の2021年12月14日にツイッターでこうつぶやいたのは少数野党「開かれた民主党」のキム・ウィギョム議員。

金健希夫人の元々の名前は「ミョンシン(韓国語では古臭い響き)」だが、08年に改名した。2010年~13年の韓国のBMW輸入代理店「ドイッチェモータース」の株式不正操作の疑い。学歴詐称疑惑(ソウル大大学院卒とするが、実は社会人コースでは?)、職歴を詐称してのアート系賞受賞、はたまた「ジュリ」という名で接待を伴う飲食店で働いていたという噂、そして尹大統領との出会いも「食事会だった」はたまた「お坊さんの紹介」など様々だという点。

これらをひっくるめて「整形」としたのだ。これも言った側が地上波「MBS」のニュースなどで批判的論調で報じられた。

疑惑もトラブルも力に変えてきた存在

いっぽうで彼女は、そういった噂や悪評をぶっちぎる存在でもある。その存在感が先の大統領選ではプラスに作用した。

韓国大統領史上で最も「2大候補の好感度が低い(両候補共に魅力が少なく見える)」と言われた先の大統領選。

尹大統領は政治経験の無さが不安視され、落選した左派「ともに民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は、京畿道知事時代などの手腕を評価されていたが、いっぽうで「偉そう」「ジメジメしている」といった印象を与えた。

両陣営候補の夫人も様々な疑惑を指摘された。金健希氏は上記のような「詐称疑惑」、また左派陣営のキム・ヘギョン夫人は「法人カードの私的使用疑惑」「部下へのパワハラ」疑惑をかけられた。

今年の3月1日、抗日独立運動記念日での様子
今年の3月1日、抗日独立運動記念日での様子写真:代表撮影/ロイター/アフロ

結局、そこを突破したのは本人のぶっちゃけぶりだった。

上記の「整形疑惑にあっけらかんと回答」の受け答えがあった「オーマイニュース」は、左派メディアだった。いわば敵陣の媒体。そこの記者に「お土産」を持たせるかのごとく、自身のネタを喋った。

このスタンスは、選挙運動期間中の2021年1月16日に起きた「左派メディア電話取材内容暴露事件」でも結果的には「吉」と出た。

左派YouTubeメディア「ソウルの声」が、彼女をハメようとした。同メディアと本人の5ヶ月に及ぶ約20回、時間にして7時間45分の電話取材データの「オフレコ部分」を地上波「MBC」にネタ提供し、公開してしまったのだ。その内容がスゴかった。

私たち夫婦は早く引退してただ早くに楽に暮らしたかったの。(検事総長時代)かなりキツかったから。大統領候補になるなんて、誰が想像した? これ(夫の大統領選出馬)は、文在寅政権が育てたようなものだからね。保守(第一野党の「国民の力」)側が育ててくれてると思う? 保守は(政治経験のない夫ではなく)自分たちでやりたかったでしょ。

あなた記者をやめて、こっち(保守陣営の選挙スタッフ)として来てよ。情報(担当)やって。給料は1億ウォンだってあげていいわよ。

両方の列に並んどきなさいよ(左派だけじゃなく、こちらにも顔を出しとけば、という意味)。どっちが勝つかわからないんだから。(敵陣営の)李在明が勝ったら、可愛がってくれるの? 違うでしょ。でもこっちに来たら、お兄さん(尹錫悦候補)が可愛がってくれるのよ。どれだけいいか。

朴槿恵を弾劾したのは、(味方だった)保守なのよ。進歩(革新)じゃなくて。馬鹿な人達は進歩系が弾劾したと思っているけど違うわ。保守のなかの(反朴槿恵派が)弾劾したの。

一部左派メディアの記者は私が青瓦台に行って全部監獄にぶちこんでやるわ。

これで、尹錫悦陣営終わったか…に見えたが、違った。

しかしその後、なんとインターネット掲示板から「金健希ファン」が立ち上がり、彼女のファンクラブサイトを猛烈プッシュする運動が始まる。日本でいうと「2ちゃんねるノリ」だ。

「はっきりと主張しているのがかっこいい」

「ガールズクラッシュ」

「女神」

そういった声が上がり、ファンクラブ会員数が6万人にまで増えた。なかでも象徴的だったのがこのコメントだ。

「はっきりとモノを言わない相手陣営の夫人よりマシ」

どっちも好感度は低いのだが、どちらかというと「ぶっちゃけてる尹大統領(当時は候補)夫人の方がまだマシ」という流れも出来た。まさかの展開となり、むしろ「暴露した左派メディアの方がマイナスに作用」という展開となった…

影はあるし、正体不明。

しかし肝が据わっている。尹錫悦大統領夫人の金健希氏は韓国ではそういうキャラクターで見られている。

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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