<少年法>適用18歳未満に? 来年中にも諮問、法務省検討
■少年法適用年齢引き下げ?
少年法の年齢がいよいよ変わるかもしれません。
■日弁連の意見
日本弁護士連合会(日弁連)は、少年法適用年齢の引き下げに反対しています。
これまでも何歳から大人と見るかは、法律によって様々でした。だから、今回も18歳にそろえる必用はないとしています。
若年者は、成長過程にあります。環境による影響も受けやすいものです。日々少年達と接している弁護士さん達は、そう感じています。
さらに、現代における若者の成熟度は以前よりも下がっています。以前よりも、長く学校に通うようになり、結婚年齢も遅くなっています。このような現代社会で、少年法の年齢引き下げはむしろ時代に逆行でしょう。
様々な調査研究によれば、非行少年たちは様々なハンデを背負っています。恵まれない環境で、自尊心が育っていない少年も多くいます。
近年制定された「子ども・若者育成支援推進法」とも矛盾します。
そして現在の少年法はよく機能しており、事件の背景を丁寧に調べ、個別の更生プログラムも作っていますが、少年法適用年齢が下がるとこのような対応ができなくなってしまうというのが、日弁連の意見です。
■少年法は不必要か
少年法適用年齢引き下げのネットニュースには、よく下記のような意見が投稿されます。
少年法は18歳未満で賛成!
いや、15歳未満にしろ!
少年法なんかいらない!
もしも少年法がなくなってしまうと、中高生も刑務所にはいることになります。これは、昔世界中であったことなのですが、少年達を大人と同じ刑務所に入れてしまうと、そこで犯罪者の大人たちから犯罪者的な行動や考えを学んでしまうという問題が起きました。そこで、少年法が作られ、少年は大人とは別の場所に入ることになりました。
少年法には、「虞犯(ぐはん)」という考え方もあります。虞犯とは、犯罪を実行しそうなおそれのことです。
大人であれば、どんなに遅い時間にどんなに犯罪のにおいのする場所を、どんなに怪しげに歩いていたとしても、犯罪行為の事実がなければ逮捕することなどできません。
ところが少年法だと、このような少年を補導することもできます。
様々な犯罪において、大人の場合は弁護側と検察側が戦うことになります。たとえばレイプ事件などの場合は、被害者女性の男性遍歴などが明らかにされてしまうこともあります。
ところが、少年法では関係者みんなで少年を反省させ更生させる方向で努力します。大人の裁判なら、「本件とは無関係」と異議をとなえられそうな家庭の問題なども、少年審判では丁寧に調べられます。そのように考えると、少年法は必ずしも少年を甘やかしてはいないとも言えるでしょう。
少年院などに入所した後も、大人の刑務所よりも手間ひまを欠けた更生プログラムが実施されています。それは、再犯防止にもつながっていくでしょう。
15歳なら、あるいは10歳でも、善悪判断はできるはずだ、大人と同じ刑法で裁かれるべきだと言うのであれば、15歳や10歳にも選挙権を与え、裁判員にもなってもらうことになるでしょう。
■少年法適用年齢は引き下げられるべきか
日弁連のご意見は、ほとんど賛成できます。ただ問題は、社会全体を納得させられるかどうかです。
少年犯罪は減少しており、特に少年凶悪犯罪は激減です。またすでに少年法は厳罰化の方向で改定されています。それにも関わらず、社会全体に子どもへの不寛容な雰囲気が広がりつつあるのは、良くない兆候だと感じます。
ただそれでも、選挙権年齢と少年法年齢が異なることを社会全体に理解していただくことは、難しいことでしょう。
そこで、少年法は18歳未満とし、ただし18歳19歳はたとえば若年成人と称して特別な配慮をするといった意見も出ています。私も、このような方法が妥当だと考えています。
少年法なんかいらないというのは、乱暴な意見だと思います。青少年たちを健全に育て、より良い社会にしていくのは、私達大人の責任です。どうすれば、法を犯す少年が減るのか、どうすれば責任を持ちつつ夢や希望を持てる少年達が増えていくのか。法改正の問題と共に、考えていかなくてはなりません。