三人寄ればアホになる。『東京タラレバ娘』が教える「ダメな女子会」
飲み会は楽しい。気の合う人たちとあれこれ言い合いながらおいしいものを食べ、酔いに任せてちょっと過激なことを言ってみたり。でも、誰かがフォローしてくれる。連帯感が強まり、ストレス解消になり、生きることの寂しさが薄まる気がする。
先週から始まったテレビドラマ『東京タラレバ娘』の主人公の倫子は、30歳の独身女性。東京で一人暮らしをしていて、恋人はいない。事あるごとに2人の親友である香と小雪と集まって飲み会をしている。親しさを前提とした弾むような会話が面白い。実社会でも賢くて明るい女性が仲良しグループだけで飲むと同じような光景になる。
しかし、3人以上の飲み会は婚活のためには非効率であり、ときには足を引っ張り合うこともある。親しい間柄であるほど、「仲間外れを作りたくない」「波風を立てたくない」「このままの関係でずっと仲良くやっていたい」という心理が働くからだ。
例えば、小雪が倫子に「35歳のプロデューサーを今さら狙うなんて高望みし過ぎ。40代の男性も視野に入れたほうがいい」とアドバイスをしたとする。当然、倫子は腹を立てるだろう。すると香が即座に空気を読んで、「私は昔、15歳上のオヤジと付き合ったことがあるよ~」などと自虐ネタを提供して場を和ませるはずだ。それではせっかくのアドバイスが何にもならない。
良薬は口に苦しと言うが、本当に有益な助言は図星なので耳に痛い。ほとんど叱られているようだ。ただでさえ素直に聞きにくいのに、第三者がその場にいたら恥をかかされた気分になる。だから、賢い人であれば3人以上の集まりで参加者に厳しいことは言わない。言うならば2人きりの状況を選ぶ。
本当に有意義な女子会をしたいのであれば「サシ飲み」をするべきだ。相手は独身でも既婚でもかまわない。日中にお茶をしてもいい。会う時間がないのであれば、電話で話してもいい。ただし、書き言葉は誤解が生じやすいので、本当に相談したいことがあるならばLINEやメールは避けよう。
3人以上の飲み会は、ガス抜きや人間関係の調整、顔合わせ、純粋な楽しみのためだと割り切るべきだ。参加者は真面目になり過ぎず、ちょっとアホになることが求められる。場の空気をぬるめの温度に設定しないと、複数の参加者が一緒に入れないからだ。
ドラマの第1話では、倫子たち3人は連れ立って「相席バー」に出かけて行く。いかにもぬるい。ほとんどホストクラブに行くノリである。ガス抜きにはなるだろうが、婚活のためには何にもならない。3人以上の調和と笑いを優先すると、このような結果になりがちだ。
2人きりの場では温度調整などは必要ない。相手の温度が高ければ、こちらも高くならざるを得ない。「そんな傲慢で甘えた考え方だといつまでも結婚できないよ」とあなたに忠告する友人は自分の身も切られる覚悟で臨んでいる。笑いでごまかしたりはしない。古今東西、本当の真剣勝負は2人きりで行われる。