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予想外の環境!生命が存在できる「新種の惑星」が判明

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「生命が存在しうる惑星の新たな分類」というテーマで動画をお送りしていきます。

地球に似た惑星がベストなのか

これまで太陽系外惑星にて生命探査を行う際、ほとんどの場合で大きさ、質量、温度、大気組成などの様々なパラメータが地球に似た惑星を探ってきました。

理由としては単純に、すでに生命がいると確定している唯一の惑星である地球に似ている環境を持っていることが、生命が存在する可能性が最も高いと言えると考えられているからです。

ティーガーデン星bの想像図
ティーガーデン星bの想像図

例えばESI(地球類似性指標)という0~1の間の値を取る指標があり、これが1に近いほど地球に環境が似ていて、生命が住みやすいとされています。

上記の画像で想像図が示されている地球から12.5光年ほど離れた所にあるティーガーデン星bは、観測史上最もESIが高い惑星です。

その値は0.95となっています。

このような指標はまさに「地球に似ているほど良い」という考えが表れています。

ですがこのような考えや指標にとらわれすぎていると、仮に地球とは似ても似つかない環境を持つ惑星に生命が存在していた場合、それを発見する機会を逃してしまうことになります。

そのため系外惑星での生命探査においては、地球に似た環境を持つ惑星を探すことだけでなく、地球とは別の分類の惑星に生命が存在する可能性を調べることも重要なんですね。

ハイシャン(Hycean)惑星

Credit:ESA/Hubble, M. Kornmesser
Credit:ESA/Hubble, M. Kornmesser

そんな中、ケンブリッジ大学が率いる研究チームは、地球とは異なる環境を持ちながらも、生命が存在する可能性のある新たな分類の惑星を発見したと、2021年の8月26日とつい先月に発表しています!

今から30年ほど前に初めて太陽系外惑星が発見されて以来、これまでに実に4000以上もの系外惑星が発見されてきましたが、その多くは地球とその十数倍程度の質量を持つ海王星の中間程度の質量を持つ惑星であることが知られています。

このような惑星は岩石惑星であればスーパーアース、ガスに覆われていればミニネプチューンなどと呼ばれています。

これまでの研究では、地球より大質量の惑星についてはより地球と似たスーパーアースが注目され、少なくとも地球の1.6倍もの質量を持ち、分厚い水素の大気で覆われるミニネプチューンについては、表面が高圧で、温度も最高で200に達する過酷な環境であるために、生命は存在できないと考えられてきました。

ですが、今回発表を行った研究チームが地球からしし座の方向に約124光年離れた所にある「K2-18b」と呼ばれるミニネプチューンを調べていたところ、特定の条件下ではミニネプチューンの海洋内で生命が存在し得ることが明らかになったそうです。

研究チームは海洋内で生命が存在できる可能性のあるミニネプチューンの条件を分析し、そのような惑星を、「Hydrogen(水素)」と「ocean(海洋)」を組み合わせて「Hycean(ハイシャン)」と命名しています。

ハイシャン惑星は、他の岩石惑星と比べてハビタブルゾーンが遥かに広くなっています。

つまりハイシャン惑星が存在しうる主星からの距離の範囲が、他の惑星と比べて非常に広いです。

そのため主星の近い位置でその重力によって自転を固定され、常に主星に対して同じ面を向いているハイシャン惑星もあれば、主星から遠くを公転し、弱いエネルギーしか受けられない暗いハイシャン惑星もあると考えられています。

このようにハイシャン惑星は多様性があり、さらにミニネプチューンがスーパーアースと並んでこの宇宙では非常にありふれた存在であるため、今後さらに多くのハイシャン惑星が発見されるかもしれません。

ハイシャン惑星の調査

ハイシャン惑星を生命探査の候補に含めることは、ハイシャン惑星自体がこの宇宙にたくさん存在している可能性が高い、ということ以外にもメリットがあります。

天文学者たちは、系外惑星の生命探査を行う際、生命が存在する可能性を示す「バイオシグネチャー」と呼ばれる特定の物質を探します。

例えば地球上にも存在する酸素、オゾン、メタンなどが挙げられます。

さらにハイシャン惑星のような水素を豊富に持つ惑星の場合、塩化メチルや硫化ジメチルなど、地球上には余り存在しない物質もその候補となります。

ハイシャン惑星は地球型の巨大岩石惑星に比べてもサイズが大きく、温度が高く、水素が豊富であるため、地球からその大気の様子が観測しやすく、バイオシグネチャーの信号も検出しやすいというメリットが挙げられています。

あのハッブル宇宙望遠鏡の後継機にあたるジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡が今年の末に打ち上げられる予定で、この望遠鏡の成果で今後どんどん多くの新発見がもたらされていくことに期待されていますが、実は今回新たに分類されたハイシャン惑星の一つであるK2-18bも、このジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡の観測対象の一つに計画されているようです。

今回の研究成果をもとに、今後より多くのミニネプチューンも探査が行われ、その中で生命が存在できそうなハイシャン惑星や、それらの惑星の大気にあるバイオシグネチャーまでもがたくさん発見されるかもしれません!

情報出典元:https://www.cam.ac.uk/research/news/new-class-of-habitable-exoplanets-are-a-big-step-forward-in-the-search-for-life
サムネイルCredit:NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC)

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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