「日本の旅館や文化を馬鹿にしてる」ホテル・ヒルトンの旅館との比較CMが炎上。動画は非公開に
国際的ホテルチェーンのヒルトンがYouTubeで展開しているPR動画が、「日本の文化を馬鹿にしてる」、「やり方があまりにも汚い」と批判が殺到して炎上しています。
「日本の旅館のサービスはダメ。ウチは最高」とヒルトンがPR
問題の動画は「とまるところで、旅は変わる。」というテーマで、11月9日にヒルトン公式チャンネルで公開された複数の動画のうちの1本です。
動画では旅館の女将らしき人物が宿泊客に対して、入浴や食事の時間帯が決まっていること、翌日のチェックアウトは10時までといったことを案内しており、このことを取り上げて「まったくゆっくりできない」と暗に批判。
そのうえでヒルトンだと「ゆっくりしたいならディナーの時間をずらせる」と、ヒルトンのホテルブランド『コンラッド・ホテルズ&リゾーツ』を宣伝するものでした。
ちなみに動画の旅館は廊下の電球がチカチカしており、旅館は古臭いというイメージを植え付ける細かい演出までされていました。
ただ、こうした比較表現に対してX(旧Twitter)で批判が殺到します。
旅館を貶める内容に日本のユーザーは「不愉快」
批判の内容をまとめると「不愉快」の一言に尽きるもので、Xでは一般ユーザーから「やり方があまりにも汚い」、「いかにも外国人が作りそうなCM」、「ヒルトン本社は日本人や日本文化馬鹿にしてるんだろうな」といった声が挙げられていました。
また、旅館系のアカウントからも「誰かを咎めて広告しないと売れないのですか?」、「天下のヒルトンが相手を貶めてやることか!?」、「旅館もホテルも日本の観光業の屋台骨を支えていくパートナーなのに」などといった批判が出ていました。
こうした批判を受けてか、ヒルトン側は問題の動画を非公開状態に。現在では閲覧できない状況となっています。
悪質な比較動画は日本では反感を買う
「Macくんとパソコンくん」や「ペプシ vs コカ・コーラ」のように外資系の会社は比較CMをやりがちですが、あまり日本では受け入れられません。
もちろん日本でもトヨタが1,100ccのカローラを発売して「(1,000ccのサニーより)プラス100ccの余裕」と日産を煽り、日産がそれを受けて1,200ccのサニーを発売時に「となりのクルマが小さく見えまーす」と煽り返すような時代もありましたが、それが令和に引き継がれるようなことはありませんでした。
このあたりは国民性の違いと言えるでしょう。
また、今回の事例では外資系ホテルが日本の旅館を貶めているわけですから、多くの日本人が不快に感じることは想像に難くありません。
日本人のお客さんを集めようとしているはずなのに、なぜ日本の文化をバカにするようなCMを展開してしまったのか。理解に苦しみます。
ヒルトンも入浴や食事の時間が決まっている
何よりも不思議に思うのは、「日本の旅館は入浴や食事の時間帯が決まっているからゆっくりできない」とPRしているヒルトンも入浴や食事の時間が決まっていることです。
コンラッド東京の公式ページを確認したところ、スパは22時まで、食事は店舗によって異なりますがおおむね22時(LO21時)までとなっていました(スパとお風呂の比較はおかしいかもしれないためヒルトン小田原にある天然温泉大浴場も調べましたが、こちらも24時までと時間制限がありました)。
こうなると、旅館側も「ヒルトンはゆっくりできない」といった批判を展開することが可能になります。
これが進むと行き着く先は「どちらもゆっくりできない」になってしまい、誰も幸せになれません。ヒルトンには今回の批判を受け止め、今後のキャンペーン方法を考え直して欲しいところです。