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東京 春一番を超える強風

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
4月6日正午の雲の様子。雨雲に覆われ、日本列島がよく見えない。(ウェザーマップ)

 東京では6日、最大瞬間風速22メートルを観測した。春一番を上回り、今年最も風が強い。強風日は3月が最も多く、7月が最も少ない。

今年一番の強い風

 東京では6日(金)正午過ぎ、最大瞬間風速22メートル(南西の風)を観測しました。3月1日の春一番を上回り、今年最も強い風です。

 強風の原因は日本海を進む低気圧で、このような天気図が最も多い。しばらく穏やかな晴天が続き、風の強い日は久しぶりのように感じます。

4月6日(金)正午の地上天気図(ウェザーマップ)
4月6日(金)正午の地上天気図(ウェザーマップ)

なぜ春は風が強いのでしょう?

 こちらは東京の強風日数(最大風速10メートル以上の日)をグラフにしたものです。強風の日が最も多いのは3月、次いで2月です。全体の半分が2月から4月の間に集中し、数字のうえからも春は風が強いことがわかります。

【東京】風速10メートル以上の日と最多風向(著者作成)
【東京】風速10メートル以上の日と最多風向(著者作成)

 一見すると発達した低気圧が強風の原因のように思えますが、本来は暖かい空気と冷たい空気が引き起こす現象です。南北で温度差が大きくなりすぎないように、定期的に北風と南風が吹いて、空気をかき回しているのです。

 風の強い月があれば、当然、弱い月もあります。一年で最も風が弱い月は7月です。とくに梅雨が明けた直後は、日本列島全体が夏の空気に覆われ、南北の温度差が小さくなります。うだるような熱帯夜は風が弱いことも影響しています。

次に風向に注目してみましょう

 天気予報で使われる平年値には最多風向という項目があります。地域によって違いますが、東京の場合は5月から8月までの4か月間は南西の風が最も多く、そのほかの月は北北西の風です。ちょうど4月は北風から南風に変わる時期といえるでしょう。

 季節は暑さ、寒さで知るイメージが強いですが、風に注目すると違った側面が見えてきます。最多風向を基に考えると、5月から8月までが夏で、9月から3月は冬でしょうか。風が移り変わる2か月くらいを春秋と考えるとおもしろそうです。

 そのほかにも、日最高気温が25度以上の夏日に着目したら、どうでしょう。東京の初夏日の平年日は4月27日、終日が10月18日ですから、風に比べて、ずいぶん夏が長くなります。

 一方、初雪の平年日は1月3日、終雪は3月11日なので、雪に着目すると冬はわずか2か月あまりです。

夏日と雪の日でみた季節感(模式図,著者作成)
夏日と雪の日でみた季節感(模式図,著者作成)

 季節はもっと柔軟に考えるものでしょう。今年のように4月初めに夏日があると季節外れと騒ぐのはおかしい。季節は振り返って初めてわかるような気がします。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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