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新宿でとんかつといえば「豚珍館」。何十年も変わらないおいしさ

富江弘幸ライター・編集者

オープンして数年で半数以上の飲食店がつぶれるという世の中で、何年も通える店があるというのは幸せだと思いませんか。

新宿駅西口にあるとんかつの店「豚珍館」もそのひとつで、実はもう30年近く通っています。といっても、年に数回しか行かないような年もありましたし、コロナ禍ではまったく訪れていませんでした。

しかし、20代、30代の頃はよく通っていました。安い金額でお腹を満たしてくれたありがたいお店です。コロナ禍以降、久しぶりに行ってみたので紹介したいと思います。

豚珍館の変わったところと変わらないところと

豚珍館の創業は1977年。自分は1994年頃から通っていますが、入口のこの看板はずっと変わっていないと思います。変わったのは値段です。2024年現在、とんかつは1,050円。新宿のこの立地で1,050円ということ自体かなり安いと思うのですが、1994年頃はとんかつが800円だったような記憶があります。紙のように薄い「紙かつ」は当時確か640円だったかな。ご飯と豚汁がおかわり自由なので、この金額で本当にお腹いっぱいになりました。

店内で変わったところといえば、座敷がなくなっていたこと。昔はカウンター4席、テーブル2つ、座敷のテーブルが5つだったと思います。その座敷が今はすべてテーブルに。座敷からテーブルに変わったのはもう数年前のことですが、自分としてはテーブルのほうがありがたい。座敷だと腰も痛くなるし狭いし。

それ以外はあまり変わっているところがないように思うので、それはそれですごいなと思いますね。器などもずっと同じ(同じデザインのものを新しく買ってるのかもしれないですけど)。

豚珍館といえば分厚いとんかつ

豚珍館はとんかつの店だけあって、やはり多くの人がとんかつを注文するように思います。いや、ヒレカツやジャンボメンチカツ、カニコロセット、メンチセット、はたまた生姜焼きも……。自分もいろいろ食べてきましたが、やはり久しぶりに豚珍館に来たらとんかつです。お客さんがとんかつを注文するたびに店員さんが「とーん!」とコールするんですが、久しぶりに聞いてすごく懐かしくなってしまいました。

そして出てきたとんかつが相変わらずすごい。こんな分厚いとんかつ、他の店では見たことないですよ。

これだけ分厚いのに、中までちゃんと火が通っていて柔らかい。高級とんかつの店とは違ってかなりパワフルな味わいですが、これがまたたまらないんですよね。必死でかぶりつきながら、ご飯も食べて豚汁も食べて。

そして、もうひとつ変わったことに気づきました。

自分が歳をとって、ご飯をおかわりする前にお腹いっぱいになってしまったことに……。

ごちそうさまでした。

豚珍館(食べログ)

ライター・編集者

ライター・編集者。大学卒業後、出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、英字新聞社ジャパンタイムズに勤務。現在はウェブ、紙を問わずさまざまな媒体で記事を執筆している。日本ビアジャーナリスト協会のビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ、サイエンス・アイ新書)など。

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