ワールドカップの優勝を逃すと、カナダはもう「アイスホッケーの国」だと断言できなくなってしまう!?
今月17日(現地時間)から、カナダのトロントを舞台に繰り広げられている「アイスホッケー ワールドカップ」は、昨夜の試合をもって、決勝トーナメント(準決勝)に進む4チームが出揃いました。
▼初代王者のアメリカが惨敗!
12年ぶりに行われているワールドカップは、過去2回と異なり、主催するNHLが独自性を色濃くして、、、
もとい、ありていに言えば、「NHLの利益につながるように」大会のフォーマットを決定。
そのため、これまでの「8ヶ国」による戦いから、「8チーム」による大会へ様変わりしました。
カナダ、アメリカ、ロシア、チェコ、スウェーデン、フィンランドの単独チームに加え、北米出身の23歳以下の有力選手で構成するチーム・ノースアメリカを結成して北米色を強めた一方、前回までは単独出場だったスロバキアとドイツを含めた欧州の有力選手を集め、チーム・ヨーロッパを新設。
【グループA】カナダ、アメリカ、チェコ、ヨーロッパ
【グループB】ロシア、スウェーデン、フィンランド、ノースアメリカ
上記の二つのグループに分かれて3チームと対戦した結果、グループAでは、1996年に開催された第1回ワールドカップを制したアメリカが敗退!
なかでもメディアが大いにクローズアップしたカナダとの試合は、1点を先制しながらも、、、
(ゲームハイライト:3分57秒 アメリカ=紺、カナダ=白)
わずか1分半後に追いつかれると、その後はカナダに主導権を握られてしまって完敗。
アメリカは、この試合を含めヨーロッパとチェコにも敗れ、
「初代王者・アメリカ vs 前回の覇者・カナダ」
というNHLが目ろんでいた北米勢による決勝戦は、実現しませんでした。
そればかりか、グループリーグの超目玉カードと見られた「アメリカ vs カナダ」戦でさえチケットが完売せず。
試合当日でも、(リセールチケットではなく)オフィシャルサイトでのチケット販売が行われ、NHLの期待どおりには、いかなかったようです。
▼「アイスホッケーの国」として威信を懸けた戦いに挑むカナダ
アメリカが敗れたとあって、NHLの期待を一身に集めることになったのは、やはりカナダ!
近代アイスホッケー発祥国と言われ、国際試合になれば「Hockey is Canada's Sports」と書かれたボードを掲げて応援する、「ホッケーカントリー」だと信じてやまない人たちばかりとあって、現在2連覇中の世界選手権に続いて、ワールドカップ2連覇への期待も、高まるばかりです。
そんな中、明日と明後日に行われる準決勝は、
カナダ vs ロシア
ヨーロッパ vs スウェーデン
という組み合わせによる一発勝負。
勝者は27日から始まるベストオブ3(2戦先勝方式)の決勝へ進み、ワールドカップを懸けて戦います。
カナダ以外のチームを見ると、、、
昨季まで4年続けて得点王に輝き、MVPも3度受賞した「NHLナンバーワンのスコアラー」アレックス・オベチキン(ワシントン キャピタルズ)がキャプテンを務めるロシア
現役2位の374勝をマークし、トリノオリンピックで金メダルを手にしただけでなく、「NHL屈指のファッションリーダー」としても知られるヘンリク ・ランドクウィスト(ニューヨーク レンジャーズ)が最後の砦に控えるスウェーデン
そして、「参加している8チームの中で、一つだけ国歌を聞くことができないチーム」のヨーロッパは、混成チームが故に前評判こそ低かったものの、ヨーロッパの9ヶ国出身選手が集まる、文字どおりのオールスターチームだけに、カナダと言えども侮ることはできません。
1917年11月に(現在のベースとなる)NHLが創設されて以来、昨季は99季目(ロックアウトによるシーズンキャンセルの年を含む)にして、NHLでプレーした全選手の中で、初めてカナダ出身者の割合が過半数に達しませんでした。
最も多い時(1956-57シーズン)には、NHLプレーヤーの 98.6%がカナダ生まれだったことを思うと、もう声を高らかに「ホッケーカントリー」だと、言い難くなってきているのかもしれません。
このような状況の中で、ワールドカップを勝ち取って、「アイスホッケーの国」であることを証明できるのか !?
カナダは威信を懸けた戦いに挑みます。