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高校侍ジャパンと対戦。ディフェンディングチャンピオン、チームUSAとは?【U18ワールドカップ】

阿佐智ベースボールジャーナリスト
練習試合で投打の二刀流を披露したレビ・スターリン

現在台湾で行われている。野球U18ワールドカップ。今日3日は「日米決戦」が組まれている。金メダルに向けて高校侍ジャパンの最大のライバルになると目されているのが、唯一第1回大会から出場を続け、「アマチュアの雄」・キューバの11回に次ぐ通算10度の優勝を誇る野球の母国・アメリカだ。昨年の自国開催の第30回大会にも優勝し、今回はディフェンシングチャンピオンとして、カリフォルニア州のサンファンカピストラーノでキャンプを経て台湾に乗り込んできた。

世界的トッププロリーグ、MLBに注目が集まるこの国だが、それもアマチュアの層の厚みがあってこそのことである。アマチュア野球の統括機関、「ベースボール・アメリカ」は、ジュニア世代の育成にも力を入れており、各年代のための育成プログラムに基づいて、全米各地からエリートアスリートを集めてサマーキャンプを行っている。今回の代表メンバー20人もそのプログラムの出身者が中心となっている。

日本戦でも3番を務めるモーランド。メジャーも注目の逸材だ。
日本戦でも3番を務めるモーランド。メジャーも注目の逸材だ。

今回の代表メンバーは、ベースボールアメリカが次年度のMLBドラフトの対象となるU18世代育成のため開催しているプロスペクト・デベロップメント・パイプライン(PDP)リーグの参加者中心に構成されている。ロースター20人の内、実に17人がこれの参加者だ。この中には、昨年11月にメキシコで行われた北米大陸予選代表チームに参加したマシュー・チャンピオンノア・フランコP.J.モーランド

3人が今大会にも引き続き参加している。

練習試合でも快打を放っていたジェームズ。
練習試合でも快打を放っていたジェームズ。

日本代表チームが、高校3年生で構成されるのに対し、他の国は必ずしも同年齢で代表チームを組むことはない。今回のアメリカも、U16/17ナショナルチーム育成プログラムに参加したコイ・ジェームズジャック・マッカーナンジョーイ・オーキーの3人をメンバーに入れている。彼らの内、マッカーナンとジェームスは、昨年行われたU15ワールドカップの優勝メンバーであり、ジェームスはMVPに輝いている。

今年17歳の「高2世代」ながら大会に参加するジョーイ・オーキー
今年17歳の「高2世代」ながら大会に参加するジョーイ・オーキー

大会前に行われた台湾との練習試合を取材したが、甲子園で「勝つ野球」を叩きこまれてきた高校球児に対し、アメリカチームの面々は「ポテンシャル重視」という印象を受けた。投手は度々バックネットに直接あたるとんでもないボールを投げていたし、守備・走塁面でも「あら」が目立っていた。ひとつのミスが致命傷になる短期決戦では日本が有利かと思われる。

また、時代の風潮なのか、「二刀流」選手が何人かメンバー入りしている。ノア・フランココナー・グリフィンブライス・レイナ―カーター・ジョンソンレビ・スターリンの実に5人が投手・野手として登録されている。

外野手として打線の中軸を担うグリフィンは投手としても登録されている。
外野手として打線の中軸を担うグリフィンは投手としても登録されている。

今回のチームを率いるのは、ツインズなどでメジャー15年のキャリアをもち、外野手として通算1522安打を記録したマイケル・カダイアー。今回が初の国際大会での指揮となる。彼自身U18代表チームでプレーした経験をもつ彼は史上2人目のOB監督となる。

アメリカは9月1日の対オランダ戦で初戦を迎え、2対1で好スタートを切ると、続くスペイン戦にも勝利し、波に乗っている。大会のフォーマットでは1次ラウンドで対戦すると、あとは3位決定戦か、決勝でしか当たることはない。ともに優勝候補として高校侍ジャパンにはなんとか今日の試合を勝ち抜いてもらいたい。

(写真は筆者撮影)

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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