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京都は西陣の町和菓子屋さんが作る「黒豆カステラ」は独特のしっとり感!これは独りで食べきってしまいそう

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

町の中をふらりと歩いて見つかるご縁。丁寧に手入れが施された植栽、妙に印象にキャッチ―なインテリアや建物の外観…また、そういった個性は薄くともなぜか心惹かれる存在というものはございませんか?

和菓子屋さんにもそういったお店は沢山。昨今はSNSの投稿や画像を参考にしてお店を決めているという方も沢山おりますが、そういったものに掲載されていないお店は自分の脚で歩いて探して偶然発見するか、もしくは地図アプリなどで調べながら探してみたり。

私はよく地図アプリを開いて和菓子屋さんを検索しているのですが、そうすると地域に根差したお店も発見することがあります。

黒豆カステラ
黒豆カステラ

今回は京都のお店を探してみたのですが、本当に和菓子屋さんが沢山ありますね。その中のひとつのお店のお菓子を、友人から頂戴したのでご紹介。

今回は京都市の「かま八老舗」さんの「黒豆カステラ」をご紹介。

カステラにはなかなか珍しい重量感も
カステラにはなかなか珍しい重量感も

かま八老舗さんは1806年創業と、200年以上の歴史をもつお店。街の景観に溶け込む外観がその歴史と月日の流れを物語っているような佇まいなのだとか。

お店にはどら焼きや焼き饅頭などといったお菓子のほか、なんとカステラは四種類も製造なさっているとのこと。今回はその中でもちょっと珍しい、黒豆をたっぷりと合わせたカステラを選択。ずっしりとしたサイズ感のカステラは、側面の曲線が親しみやすい印象を醸し出していますね。表面にも艶やかな黒豆がたっぷり。

どこを切っても黒豆をたっぷり味わえます
どこを切っても黒豆をたっぷり味わえます

餡と生地が微妙に層を描いています
餡と生地が微妙に層を描いています

粒粒とした黒い斑点と薄墨色の肌は、黒豆の餡を生地に練り込んでいるからだとか。焼き目ではなく黒豆の香ばしさがふんわり。

一般的なカステラのようにはちみつは使用していないものの、質感は非常にしっとり。弾力は幾分備えているものの、包丁がズッと沈み込むような感覚。むしろ刃を前後に動かすとぼろぼろしてしまいます。

黒豆はみちっとした歯応えが残っているのもポイント
黒豆はみちっとした歯応えが残っているのもポイント

側面の不規則な曲線もまた味があります
側面の不規則な曲線もまた味があります

口にいれると一瞬ふんわりとした空気感を楽しませてくれ、咀嚼すると溶けていくようにひとつに。なんと儚いのでしょう。あっさりとした甘味の中に、ぽりぽりと歯ごたえを残した黒豆の蜜漬けがひょこひょこっと顔を出して適度な気分転換に。

口の中ですぐに溶けてしまうのでずっと食べ続けてしまいそう
口の中ですぐに溶けてしまうのでずっと食べ続けてしまいそう

このままフォークでつついてしまえば、おそらく一度に完食してしまうであろう食べやすさながらも湿潤な生地肌を保っていられるのは、洋菓子の技術も学んだというご主人の技と黒豆の餡が織り成す手腕と見極め具合が活きているのでしょうね。

元々は茶釜の販売をしていたというかま八さん。今ではすっかり西陣の町の顔の一つとなっているようです。

最後までご覧いただきありがとうございました。
柳谷ナオ

<かま八老舗>
公式サイト(外部リンク)
京都市上京区五辻通浄福寺西入一色町12
075-441-1061
8時30分~18時30分
不定休

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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