統合失調症(精神分裂病)という「心の病」の自覚
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、「統合失調症という病の自覚」というテーマでお話しいたします。
統合失調症は、以前は精神分裂病と呼ばれていました。
統合失調症とは、さまざまな精神機能のまとまりを失ってしまう疾患のことを言います。
統合失調症は、内因性の精神疾患といわれています。神経伝達物質であるドーパミンの放出異常や遺伝など、生物学的原因によるものでるとされています。基本、ストレスから発症するものではありません。けれど、今もその原因を含めて、解明されていない点は少なくありません。
発症率に性差(男女差)はあまりなく、地域や文化差も少ないです。
好発年齢は、10代半ばから30代半ばです。全人口の1%弱の人が発症します。
症状としては、自我障害や認知機能障害など、きわめて多様で複雑なものです。通常ではみられない妄想や幻覚(いわゆる陽性症状)や、思路障害、緊張病も含んだ酷くまとまりのない、または異常な運動行動、感情の平板化や意欲の低下といった陰性症状などがみられます。
ここで、今言った自我障害についてもう少し詳しくお話させていただきたいと思います。自我障害とは、自分についての意識である自我意識の障害のことをいいます。例えば、自分の考えが他者に筒抜けになっていると感じたり、他者の考えが自分の中に直接入ってくるように感じたり、他者が自分の思考を奪ってしまうと感じたり、自分の思考や行動が自分の意思ではなく、誰かに操られているように感じたりします。
統合失調症は、内因性の心の病であり、心因性の心の病でないため、治療は基本、カウンセリングではなく、薬物治療となります。←ここは、非常に重要です。精神医学に詳しくないカウンセラーで、統合失調症のクライアントを悪気なく抱えてらっしゃる方は少なくないのですが、深く反省していただきたいと思います。
薬物は、通常の薬局で手に入れるのではなく、病院で手に入れるわけですが、これが簡単ではありません。というのは、統合失調症の患者さんは、自分が病気であるという自覚を持てないことが多いからです。←これを病識がないと言います。
周囲の方がいくら、「あなたが聞こえているのは幻聴である」と言ったところで、本人からすればあきらかに聞こえているわけですから、その忠告にはなかなか素直に耳を傾けることが出来ません。
終いには、「俺がおかしいとでも言うのか!」と怒り出す始末です。だから、周囲の方が説得しても、なかなか病院には行こうとしてくれません。
また病院に行ったとしても、本人は薬を必要と感じてないわけですから、薬を飲もうとはしてくれません。よって、治療は、外来ではなく、入院になることが少なくないです。
入院すれば、医師は患者さんの病状を詳しく知ることができますので、薬による治療や検査などの調整が行いやすくなりますし、また患者さんにとっては入院そのものが、良い休養になります。
近年は、新しい薬が開発されており、また、医療・看護技術の向上によって、治療も進歩していますので、いたずらに統合失調症という病気や入院を恐れないようにしていただきたいなぁと思う次第です。
私のカウンセリングルームにも年に数人、統合失調症の方が訪れるのですが、そういうクライアントを病院につなげるのは、なかなか難しく骨が折れることです。このあたり、家族の協力があれば比較的スムーズにいくのですが、それでも簡単ではあるとは言えません。それが統合失調症という心の病の特徴です。
さらに、統合失調症の患者さんのことを、クルクルバーだとかキチガイだとは思ってらっしゃる方が、世の中には大勢いらっしゃいますが、それは大きな誤解であると申し上げておきたいと思います。←ここは強調してお伝えしておきます。
そして、「親の育て方がいけなかった」と思ってらっしゃる方も、誤解を抱えていると言っていいでしょう。
そして、さらに、長年に渡って、カウンセリングをやっているにも関わらず、「私のところには、統合失調症のクライアントは来たことはない」とおっしゃるカウンセラーは少なくないのですが、それは大いなる勘違いです。
統合失調症の方は、症状の強い人から弱い人まで含めると、100人に1人弱いるわけですから、そんなことはある筈がなく、上記のことを平然と口に出して言うカウンセラーは、ただ単に自分の精神医学の知識のなさを露呈していると言っていいでしょう。そして、哀しきかな、精神医学の知識が少ないカウンセラーは、世の中に大勢います。
というわけで、今日は、「統合失調症という心の病の自覚」というテーマで、お話させていただきました。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。