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あのひとことが許せない!受けた暴言をいつまでも引きずってしまう人が、楽になる方法

樋口智香子マナー・コミュニケーション講師

誰かが言ったひとことに、深く傷つくことがあります。
上司の叱責や、知人の心ない言葉など、嫌なことを言われた経験を、いつまでも引きずってしまうこと、ありますよね。こうした言葉は、思い出すたびに腹が立つのに、なぜか脳裏でリピート再生してしまうものです。
でも、大丈夫。少し視点を変えるだけで、気にならなくなり、リピート再生を止めることができます。その方法をお伝えします。

体験談:パートのおばさんに言われたことが許せない

ある体験談をご紹介します。

「ファミレスでアルバイトをしている30代の主婦です。子育てをきっかけに仕事を辞めましたが、以前はシティホテルで働いていました。役職を任されたこともあり、まじめで、仕事はできるほうだと思っています。
同僚に、古株の60代のおばさんがおり、私のことが気に入らないのか、事あるごとに嫌味を言います。
今のお店はピークタイムがとても忙しく、慣れないうちは、オーダーを間違えたり、料理の提供が遅れてしまったことがありました。
そんなとき、おばさんから「そんなんじゃ、どこに行ってもやっていけない」「バカ丁寧だから、仕事が遅い」「まじめに働きなさい」と、矢継ぎ早に文句を言われました。
確かに、思うように仕事ができなかったのは私ですが、このときに強く責め立てられたことが今でも許せません。今となってはミスをすることもほぼ無くなりましたが、このときの光景を何度も思い出しては腹が立ち、嫌な気持ちになります。」

腹が立つのは、大切な価値観を侵害されたと感じたから

この女性には、以下のようにアドバイスします。

シティホテルという上質な接客を求められる業界で、役職まで勤められたこと、きっと能力の高い方なのだと思います。お仕事に対する自負心も、お持ちなのでしょう。
それなのに、上司でもない、長く働いているだけの同僚の女性に「どこに行ってもやっていけない」というような、決めつけの暴言を吐かれたこと、さぞかし悔しいだろうとお察しいたします。

何度も思い出してしまうほど腹が立つのは、この女性の言葉で、あなたが大切にしている価値観を侵害されたと感じるからでしょう。
これまでのキャリアへの自尊心、丁寧な接客への信条、まじめな仕事ぶりなどが、それにあたるのではと思います。

相手の言葉で、あなたの価値に傷がつくことはない

ここではぜひ「たった一人の言葉で、私の価値に傷がつくことはない」と捉えてください。
これまでのキャリア、丁寧な接客、まじめな仕事ぶり、どれも素晴らしいものです。
「どこへ行ってもやっていけない」などということは、決してありません。

同僚の女性に、あなたの価値に傷をつけるようなパワーを与えているのは、自分なのかもしれないという視点を持ってみてください。当然、その女性に、そんな権限も力もありませんね。
何度も思い返すことは、相手に力を与えるのと同じこと。そう思うと、なんだか、ばかばかしく思えてきませんか?
大丈夫です。相手の言葉で、あなたの価値が傷つくことは、決してありません。
ぜひ、切り離して考えてくださいね。

言い返せなかった怒りを、身体から出そう

相談内容には書いてありませんが、きっとこのとき、言い返せなかったのではと思います。
怒りをぶつけたかったのに、できなかったからこそ、引きずってしまうのでしょう。
溜まった怒りは、心と身体に残ります。この怒りを、追い出してしまいましょう!

具体的な方法は、以下のとおりです。

1.椅子を2脚、用意してください
2.片方に自分が座り、もう片方の椅子に相手が座っているとイメージしてください
3.紙を丸めるなどしてやわらかい棒を作り、目の前の椅子の座面を思いっきり叩きながら、相手にぶつけたい怒りをぶつけます

3のときは、どんな悪い言葉を使ってもOKです。
例えば「ひどいこと、言ってんじゃねーよ!こっちは一生懸命にやってるんだよ!」「お前なんかにそんなこと言われたくねーんだよ!」などなど。
誰もいないところなら、何を言っても大丈夫です。
これは、心理学のセッションでも行われる手法で、身体にたまった怒りのエネルギーを放出する効果があります。
躊躇せず、バシバシ叩いちゃってくださいね。

許せなかった自分を責めず、癒す

最後に、許せずにいた自分を責めずに、癒してあげてください。
ひどいことを言われたら、誰だって引きずるものです。ただ、引きずっているときは、苦しいですよね。時には「いつまでも引きずっている自分がいやだ」と思うこともあるかもしれません。

でも、そこで自分を責めないでください。
「許せなかったけど、それも当然!」と自分を認めてあげてください。
そのうえで「でも、もう大丈夫。あなたは傷つかないよ。」と言って、癒してあげてくださいね。
セルフハグ、といって、自分を抱きしめながら言うのもお勧めです。

以上、同じように悩んでいる方の、お役に立ちますように。

マナー・コミュニケーション講師

マナー・コミュニケーション研修講師。千葉県出身、元資生堂ビューティコンサルタント。NLP心理学とマナーをかけ合わせたプログラムにより、ビジネスマナー研修・接遇マナー研修・コミュニケーション研修棟を実施。全国250か所から招致され、指導人数は延べ20000人以上。セミナー・研修の他、書籍の出版、コラム執筆、雑誌記事や教材監修など幅広く活動中。

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