オールスターゲーム初出場おめでとう!阪神の同級生バッテリー・岩貞祐太投手と原口文仁選手
『マツダオールスターゲーム2016』は、先月末にファン投票と選手間投票の結果が出て、きょう4日には監督推薦による出場選手が発表され、全陣容が明らかになっています。阪神タイガースからはファン投票で高山俊外野手(23)、そしてこの度の監督推薦で岩貞祐太投手(24)、藤浪晋太郎投手(22)、原口文仁捕手(24)の3人が選ばれ、計4人が出場することになりました。
藤浪投手はルーキーイヤーから4年連続4度目の出場で、昨年はMVPも獲得した“ベテラン”。岩貞投手、原口選手、高山選手は初球宴ですね。その中から、このたび監督推薦で初出場することが決まった同級生バッテリー、岩貞投手と原口選手のコメントをご紹介しましょう。
岩貞「どのバッターも全力で抑えたい」
では先に岩貞投手。まずテレビでの会見です。
★率直な感想は?「嬉しいです」
★今シーズン始まるまで選ばれるイメージはあった?「いえ、ありませんでした」
★どういうところが選ばれた理由だと?「一生懸命チームのために投げてきたところを見ていただいたのかなと思います」
★各チームのスター選手から話を聞いてみたい?「考えておきます」
★球宴に出る心の準備は?「まったくありませんでした」
★どういう舞台だと?「チームの顔である選手が出場する舞台で、シーズンが始まって半分しかまともに投げていないところで投げさせてもらうので、いい経験だと思っていろいろ勉強させてもらえたら」
★過去の球宴で印象に残るシーンは?「球児さんのストレートを宣言して打ち取ったシーン。普段ではないようなことがあって、楽しんで見ていました」
★やってみたいこと。「大量失点しないように、試合を壊さないように頑張りたい」
★パの打者の印象は?「フルスイングが印象的で、数字的にも抑えていなかったので、また場所は違うんですけど、抑えたいです」
★対戦したい打者は?「(交流戦で)結構打たれてしまったので、どのバッターでも全力でいきたい。満塁ホームランを打たれたりしたので、そういうバッターと対戦する機会があれば抑えたいと思います」
★大学時代を過ごした横浜での開催。「福岡でも地元が近いので、どっちで投げても頑張りたい」
★熊本は今も大変な状況。テレビから伝えられるメッセージもある?「マウンドに立つ以上はプレーヤーとしてなので、自分の心境どうこうはないですけど、それ以外の場所で明るいニュースというか、数少ない人でも希望や喜ぶ人がいれば自分はいいかなと」
★意気込みを。「パ・リーグの強打者を相手にするわけですが、全力で立ち向かっていきたいと思います」
福岡も横浜も縁のある場所
インタビュー終了時、藤浪投手が「固いなあ」とつぶやいたところがテレビで流れたもので、笑ってしまいました。確かに…固いかも。原口選手もきっと真面目に答えたんでしょうしね。その点、藤浪投手はとっても慣れている上に、関西人として要求される「なにか面白いこと」もサラッと言えてしまいます。自身の会見で「他の3選手が初出場なので、そのお供に終始したいなと思います」なんて、さすがですね。
続けて岩貞投手の囲み取材の様子をご紹介します。出場は成績で評価されたのでは?「成績といっても、パッとしたものはないですけど。こうやって少しでも認められた部分があるのであれば後半戦、敵ではありますが、しっかり成績を残して、そういう姿を見せていきたいです」
先のコメントを受けてのことだと思いますが、藤浪投手は頼りになるかと聞かれ「自分で探り探りいきたいです」と答えていました。横浜と福岡、ともにゆかりがあると。「両方、1番目に行ったことある球場、2番目に多く行った球場ということで、何かしら縁というものを感じなくもないです。小さい時が福岡ドームで、学生の時は横浜スタジアムですね」
満塁ホームランを打たれたメヒア選手と対戦したら?「三振…、ホームラン以外でどうにか収めたいと思います」。いったん三振と口にしたのに、ハードルを下げましたね(笑)。え、ヒットでもいいってこと?まあそう言ってはいても、本音は三振と思っていますよ、きっと。出したいスタイルは?「全部出したいです。真っ向勝負とかではなく」。シーズン中と変えることはない?「そうですね」
そして岩貞投手のお母さんは、きのう3日の試合結果もあってか「推薦していただくのが申し訳ない」という複雑な心境だそうで…。「最近の成績では他の皆さんに気後れすると思いますが、せっかくありがたい機会をいただいたので、一つでも二つでも貪欲に何かをつかんできてほしいです」とおっしゃいました。オールスターで得たものを、後半戦に生かしてもらいましょう!
原口「驚きと嬉しさがいっぱい!」
次は原口選手のテレビインタビューです。まず感想を聞かれ「驚きと嬉しさでいっぱい。小さい頃からスター選手がプレーしているのを見てきたので、楽しみです」という答え。見てきた中で印象的だったのは「新庄さんのホームスチールが記憶に残っています」とのことです。これについては囲み取材でも話していましたので、またのちほど。
「(捕手としてというよりは)野球を楽しみに全体的に見て、ですね。まずは雰囲気を楽しめたら楽しんで、出させてもらえたら全力で頑張りたいです」と、これはオールスター当日の目標。“楽しめたら”ってのがミソですねえ。なかなか余裕がないでしょう。キャッチャーで出るからには準備も要るし、原口選手の性格を考えると。でもそこは球宴=お祭りと割り切って、心底楽しんできてほしいと願います。
ホームランとか?「狙って打てないですけど、自分のスイングをして、いい結果になればと。力まず狙っていきたい」。そりゃ打ってほしいですよね。もうホームランだけでいい。狙え、バックスクリーン!ってな感じで。こっちが力んでしまいそうですけど(笑)
話してみたいキャッチャーは?「(ヤクルトの)中村さんには、いろいろ聞けることはどんどん聞いていきたい」、受けてみたいピッチャーは?「どのチームの選手も主力ばかりなので。全員受けてみたいです」。タイガースの岩貞投手、藤浪投手について「オールスターという分、いつも以上に楽しみです」と言い、最後は「目の前のことに集中してやっていくだけです」と締めくくりました。
球宴でも勉強することはたくさんある
続いて、記者陣による囲み取材でのコメントです。出場が決まって「驚きました!もちろん嬉しい気持ち。まあ驚きですよね」と、驚きの繰り返し。ファン投票で1位の時期も長くあり「マークシートに名前がない中で、あれだけ票を入れていただいて感謝しかないです。嬉しい気持ちとありがとうございますという気持ちを、どこかで伝えたいと思っていたので」とのこと。
“どこかで伝えたい”思いが、先日出させていただいた記事になるわけです。本当に選ばれると思っていなかったんでしょうね。こうやって出場が決まって自分の口で話すことができて、何よりでした。詳しくはこちらからご覧ください。<阪神・原口文仁選手から「ファン投票で僕に入れてくださった皆様へ」>
そのあと、帝京高校の後輩でもあるDeNA・山崎康投手とバッテリー組みたいかと聞かれて「いいです(笑)」と答えています。これ、ウソですよ。組みたいに決まっているじゃないですか。もし現場にいたら突っ込まなくちゃいけないとこでしたかね。
テレビインタビューでも言っていた、オールスターゲームの思い出。「小さい頃からテレビだけですね。新庄さんの(ホームスチールの)時は、矢野さんがキャッチャーでしたよね?また球児さんが神宮で投げたやつとか、ユーチューブで何回も見ました。印象に残っていますね」。原口選手が覚えている新庄選手と矢野選手の試合は、2004年のサンヨーオールスターゲーム第2戦、長野オリンピックスタジアムです。
日本ハムの新庄選手(当時はSHINJO選手)が単独のホームスチールを決めたもので、その時のキャッチャーは阪神・矢野選手でした。なお阪神からは矢野選手の他に福原投手と、ファン投票でアリアス選手、今岡選手、金本選手が出場しています。神宮球場の方は2006年の第1戦、藤川投手自身の誕生日である7月21日。3対1とリードして迎えた9回に登板して、西武のカブレラ選手と日本ハムの小笠原選手を連続三振に!今でも動画再生回数は多いですね。
初めての夢舞台・オールスターゲームで「勉強することは、守備の方でいっぱいあると思います。バッティング練習、ゲームの中で参考になると思うので意識したい」と原口選手らしい言葉で抱負を語りました。なお会見には行けなかったので、ここまでの岩貞投手と原口選手のコメントは教えてもらったものです。
心に沁みた「嬉しい」のひとこと
そして、ここからは私の取材。出場することになって、まず「まさかですよね。まさかのことが起こりました。まさか…」と、まさか3連発でした。そう?出ると思っていましたよ。「ホンマですか?」と関西弁(笑)。それから「監督推薦って、金本監督じゃないんですね!金本監督が推薦するんだと思ってました。真中監督なんですね!」…本当に知らなかったみたいですよ。すみません、思わず笑ってしまって。
今までオールスターゲームを、自分が出るものとして考えたことはなかったんでしょうね。もちろん夢の舞台ではあっても、昨年までの原口選手が目指してきたのはファームでの試合出場であり、その試合でマスクをかぶること、そして支配下選手に戻って、いつかは1軍でプレーするという道のりでした。それを一気に駆け抜けてしまった今季。月間MVPに続いてオールスターまでもが射程圏内に入ったわけですから。おそらく本人はマスコミが取り上げるまで意識すらしていなかったと思われます。
「まさか、まさか」と最後まで繰り返し、さらに「すごいですね。びっくりですね」と他人ごとのような感想を述べていたので、嬉しい?と聞いたら「嬉しいです!」と。静かに、でもしっかりした声でした。オールスターゲームのお立ち台で必死のパッチを!なんて野望を抱きたいところですが、余計なプレッシャーは禁物。めいっぱい楽しみながら、いろんなことを見聞きしてきてください。自分自身の財産となるように。