オシャレ柄のレアなショウリョウバッタを探せ=緑と茶色の縞模様は絶妙
ショウリョウバッタのメスは、体長8センチ超のものもいる日本最大のバッタだ。メスよりずっと小さいオスは、飛ぶときに「キチキチ」と奇妙な音を出すので「キチキチバッタ」の愛称で親しまれている。
しかし、ショウリョウバッタが「美しい」と評されることはあまりない。前身緑色のものと、茶色(褐色型)のものが大半なので「地味」と言われてもしかたがない(茶色のメスは濃淡の柄があってややきれいだが)。
しかし、そんな庶民派のショウリョウバッタの中に、たまに緑と茶の縞模様という高貴な柄のものが出現する。レア物は、コインや切手でも高値で売買されるので、ありきたりのバッタであっても、レアな柄のものを見つけると何だか得をした気分になる。
ちなみにショウリョウバッタの「ショウリョウ」は「精霊」のこと。先祖の霊を迎えたり、送ったりする「お盆」の時期に多く見かけることが、その名の由来だという。
先祖の霊と言えば、秋の「お彼岸」のお墓参りも忘れてはならない。ショウリョウバッタは11月ごろまで見られるので、お彼岸の時期もまだまだ最盛期。墓参りのついでに、オシャレな柄のレアなショウリョウバッタを探してみるのもいいだろう。
墓参りのついでに虫探しとは「不謹慎」と思う人もいるかもしれないが、お盆、お彼岸などの仏事の際には、生き物の命を大切にするのが良いとされているので、バッタを観察して「罰が当たる」ことはないだろう。
でも、墓地のショウリョウバッタには先祖の霊が宿っているかもしれないので、むやみに追い回したりすると罰が当たる恐れはある。
墓地でショウリョウバッタを見かけたら、手を合わせて生命の営みに敬意を示すのがいいだろう。しかし、相手がキチキチバッタだった場合には、「キチキチ」と珍妙な音を出して飛び去るので、バカにされたような気分になるかもしれない。
(写真は特記しない限りすべて筆者=昆虫記者=撮影)