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ダレノガレ明美「イノシシ殺さないで」で炎上。理由の「人間がイノシシの居場所をとっている」は誤解では?

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
ダレノガレ明美さん「第31回 日本メガネベストドレッサー賞」より(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 モデルでタレントのダレノガレ明美さんが、箱根に出没したイノシシのニュースに対して「イノシシを殺さないでほしいな」とツイートしたことから批判が集まり、炎上しています。

 批判は「農家の人が被害にあっている」、「イノシシの怖さを知らないんですね」、「じゃあイノシシを引き取って欲しい」といったものが多く、同意するツイートは確認したかぎりでは少ないように見えます。

 この炎上に対しダレノガレ明美さんは、「じゃあ、お前がイノシシ育てろよ!はさすがだな!って思った!さすが私のアンチ!!」、「指殺人(※)を私にしようとしている方。私が死ぬ前に自分の指がもげるよ。私にそんなの効かない」と反撃。

 「炎上は気にしない。好きにツイートする」と主張していますが、とても残念なことにそもそも「人間がイノシシの居場所をとっている」は誤解なのです。

※指殺人とは?……指で入力したテキストが人を殺す(芸能人を自殺に追い込む)ことから、韓国では「指殺人」と呼ばれている。

増え続けるイノシシの生息数。20年前の約1.7倍に

 まず、知ってほしいのはイノシシは増え続けているということです。

 環境省による全国のイノシシの個体数推定によると、イノシシの数は右肩上がりの状態です。

環境省「統計手法による全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等について」より
環境省「統計手法による全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等について」より

 推定の古くは1989年の26万頭あたりから始まり、2000年は52万頭あたり、一番多いときの2010年は119万頭、2014年は106万頭、2016年は89万頭といったように、昔と比べてかなり増えています(頭数はいずれも中央値。昔の数値は目測のため「あたり」表記)。

 近年こそなんとか減少傾向になっていますが、環境省ではどうやって2023年までにイノシシの数を約50万頭にまで減らすかに頭を悩ませています

イノシシの生息域も約1.7倍に拡大

 上記資料の示すとおりイノシシの数が増えているから人里に降りてくるわけですが、続いて紹介するのはイノシシの生息域です。

 じつはこちらも増えており、1978年と比較すると2014年では約1.7倍に拡大しているとのことです。

環境省「イノシシの近年の動向」より
環境省「イノシシの近年の動向」より

 つまり「人間がイノシシの居場所をとっている」のではなく、「イノシシが人間の居場所をとっている」のです。

 もちろんイノシシの数が増えたことにより山にエサがなくなり、その結果人間の街に降りてきている=「人間がイノシシの居場所をとっている」という見方もできなくはないですが、増え続ければどこかで衝突するものです。

 これが昔ならイノシシも増え、人間も増えたのが原因だと言えますが、いまの日本は人間が減ってますからね。未来ではイノシシに居場所を譲ることになるでしょう。

日本の森林面積は横ばい

 ちなみにイノシシの生息域と考えられる森林の広さは横ばいです。

林野庁「森林面積・蓄積の推移」より
林野庁「森林面積・蓄積の推移」より

 このデータからも「人間がイノシシの居場所をとっている」とは言えません。

イノシシの農作物被害を知ってますか?

 そして農家の人が怒る一番の理由がイノシシによる農作物被害です。

 2018年の野生鳥獣による農作物被害額は158億円で、そのうち約7割がシカ、イノシシ、サルによるものです。

農林水産省「鳥獣被害の現状と対策」より
農林水産省「鳥獣被害の現状と対策」より

 イノシシによる被害は減少傾向にありますが、それでも約47億円の被害が出ています。47億円は決して少なくありません。

 「かわいそうだからイノシシを殺さないで」という人は、その47億円の被害のうちいくらかを補償するつもりがあるのでしょうか?

 おそらく、そんな考えはないと思います。なぜならそれは知らないことだからです。だからこそいま知って欲しいことでもあります。それがこの記事を書いた理由です。

イノシシは怖い生き物

 最後に、筆者の住んでいるところは地方のため、まれにイノシシの出没情報が地域防犯メールから送られてきます。そんなとき思うことは「早く駆除して欲しい」です。

 学校に通っている子供が襲われたら一大事ですし、自分がばったり出会って襲われてしまうかもしれません。

 テレビの画面を通じて見るイノシシは「かわいい」かもしれませんが、自分の生活圏内に現れたイノシシは「怖い」の一言です。

 筆者は共生のためには、人里に降りてきた害獣は駆除するしかないと考えます。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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