「リクナビ」がサントリーグループ・ジャパンビバレッジ東京の求人を停止!
今月10日、大手求人サイト・リクナビが、労働組合・ブラック企業ユニオンhttp://bku.jp/の要請をうけ、サントリーグループの(株)ジャパンビバレッジ東京の求人の掲載を停止に踏み切ったという。
ジャパンビバレッジ東京といえば、労働基準監督署からの是正勧告4回、有休取得をめぐるパワハラ騒動など、数々の違法行為を引き起こしてきたことを、これまでも記事で紹介してきた。
参考:ジャパンビバレッジ「有給チャンス」事件 「告発」の背景
ブラック企業ユニオンは、同社のこうした違法行為に対抗してストライキを実施し、先月28日には、リクナビ・マイナビに求人停止を要請していたという経緯がある。
参考:リクナビ求人が停止の可能性! ストライキの法的効果とは
リクナビは掲載停止、マイナビは「真摯に検討する」
ブラック企業ユニオンによれば、リクナビからユニオンに直接、ジャパンビバレッジ東京の求人の掲載を停止した旨の連絡があったという。実際にリクナビのジャパンビバレッジのページを見ると、ジャパンビバレッジグループの求人から、「ジャパンビバレッジ東京」の名前が消えていることが、以下の写真から確認することができる。
他方で、マイナビからも、事実確認をした上で真摯に対応する旨の連絡が入っていると言う。しかし、マイナビは現在もジャパンビバレッジ東京の求人の掲載を続けている。
求人情報提供ガイドラインの意義と課題
次に、今回ジャパンビバレッジ東京のリクナビ求人が掲載停止となった背景についてみていこう。
直接的には、今年1月に施行された改正職業安定法と厚生労働省告示(指針)により、民間求人サイトに対するルールが新設されたことがある。
近年、労働市場における民間求人サイトの比重が高まっていることをうけて、国が規制の強化に乗り出したのである。
これまでも求職者と求人企業を直接つなぐ職業紹介事業については職業安定法による規制があったが、求人情報を掲載するだけの民間求人サイトについては野放しの状態が続いていた。
「求人詐欺」が社会問題となる中で初めて本格的な規制がかかったのである。
参考:内定率回復でも横行する「求人詐欺」 注意すべきは「就業規則」
その新たなルールの一つに、「求人情報提供ガイドライン」というものがある。これは民間求人サイト運営事業者が配慮すべき事項を定めたものだ。
そこでは、「ストライキが発生している旨の通報が、労働委員会から公共職業安定所になされたことが判明した場合の募集」の掲載を差し控えるべきことが記されている。
さらに、このガイドラインへの適合を宣言した企業名をホームページ上で紹介する制度を設けており、リクナビもマイナビも適合宣言していると紹介されている。
こうして、労働者の違法行為を追求するストライキがあって、はじめて違法企業を求人掲載停止にまで追い込むことになった。
なぜストライキは強く法律で保護されるのか
ところで、労働者のストライキによって求人掲載が止まるということを不思議に思われる方も多いのではないだろうか。「なぜ、労働者がストライキを起こすだけで求人の掲載が止まるのだろうか」、と。
そもそも、ストライキとは関係なく、違法企業の求人はとめるべきだ。ところが、現状の制度では、労基署が違法であることを認めても、ほとんどの求人は止められない。自分たちで「ストライキ」で問題にしない限り、止められないのである。
では、なぜストライキでは止められるのか。
その理由は、ストライキを認めている労働組合法が、労働者と使用者の間に存在する力の格差を埋める、「特別な法律」だからである。
たとえば、労働契約は、法律上は労使対等の立場で結ぶものとされているが、実際には労働契約を結ぶ際に、本当に「対等にモノをを言える」労働者は例外的だ。だから、労働者の団結権、団体交渉権、ストライキ権という労働三権が認められている。
とりわけストライキが強く法律で保護されているのは、ストライキという強制力なくしては労働者の地位改善を図ることは困難だからだ。
例えば、ドイツ連邦労働裁判所は、ある裁判の判決で「ストライキ権を背景としない労使交渉は経営者に対する集団的な物乞いに過ぎない」とまで述べているほどだ。
だが、ストライキには弱点もある。それが「スト破り」だ。使用者が、ストライキ中の労働者の代替となる労働者を雇うことで、ストライキの効果を無くすという方法だ。
こうした使用者側の「スト破り」に対して、中立公正の立場にある職業紹介機関や求人サイトは協力してはならないという趣旨で、先のガイドラインはつくられているのだ。
ブラック企業への対抗手段としてのストライキ
もしかすると、ストライキというとハードルが高く思われるかもしれない。数百、数千人の労働者が団結して何日も仕事を放棄するといったことを想像すれば、たしかにそうだろう。
だが、実はストライキには多様な方法があるのだ。まずは「時限ストライキ」。1時間でも立派なストライキに当たる。極論を言えば1分間のストライキであってもやはりストライキはストライキだ。また、たった一人でのストライキであっても、労働組合に加入していれば権利として保障される。
さらに工夫を凝らしたものとしては、「順法闘争」や「一部業務拒否闘争」がある。「順法闘争」は法律や会社のマニュアルを遵守して仕事を行うことで仕事のスピードを落とすという戦術だ。これは、ある意味会社の「命令通り」に働いているに過ぎない。
また、「一部業務拒否闘争」、は例えば、バス運転手が料金の回収業務だけを拒否する戦術だ。こうした方法も、通常と同じ様態で労働することを拒否するという意味で、やはりストライキの一種として扱われるのだ。
ブラック企業は違法で過酷な労働によって労働者を使い捨てることを前提としているため、ストライキの際に全面的に求人が止まれば、極度の労働力不足に直面しブラック企業はたちまち窮地に立たされるだろう。
そうなると、ブラック企業といえども、労働者が退職しないよう労働条件を改善することを迫られるに違いない。
このように、ストライキは労働者がブラック企業に対抗するための有効な「法的手段」である。
ブラック企業で搾取されてただ辞めるのでは悔しいと思う方は、ぜひブラック企業と争う労働組合に相談し、ストライキで対抗してみてほしい。
無料相談窓口
03-6804-7650
soudan@bku.jp
*ブラック企業の相談に対応しているユニオンです。今回のストライキを実施しています。
03-6804-7650
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*個別の労働事件に対応している労働組合。労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっています。
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