小久保裕紀と立浪和義が明暗 名選手の監督はなぜ成功する? なぜ失敗する? #専門家のまとめ
福岡ソフトバンクが4年ぶりにパ・リーグ優勝を果たした。チームを率いた小久保裕紀監督は2013~17年に日本代表監督を務め、ヘッドコーチ、二軍監督を経て今季からチームを預かり、見事な戦いぶりを続けた。同じように、今季から巨人で指揮を執る阿部慎之助監督も優勝争いを演じてマジック4としているが、一方では就任時に大きな期待を受けた中日の立浪和義監督が、3年にわたってチームを浮上させられないまま退任を公表した。「名選手、名監督にあらず」と言われるが、小久保監督のような成功例も少なくない。では、かつての名選手が名監督になれるか否かの明暗は、どこで別れるのだろうか。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
小久保裕紀も立浪和義も、現役時代の成績を詳述する必要のない名選手だ。そして、現役の晩節から「将来の監督」として期待を寄せられてきた。小久保が二軍監督など指導者の下積みを経たのに対して、立浪がいきなり監督に就いたことを失敗の原因に上げる評論家もいる。また、中日に黄金時代を築いた落合博満は「現役時代の成績は一切関係ない。監督という仕事はやってみなければわからないものだと経験してよくわかった」と述べている。
そんな落合は、失敗する理由に「何でも自分でやりたがる、コーチをしっかり教育できない、選手を好き嫌いで使う」の3つを挙げる。全力で職務に取り組まない監督はいないと思うが、一生懸命にやろうとすればするほど、傍から見れば独裁者のように映り、選手たちの気持ちが離れてしまうケースもあった。そして、立浪監督は現役ドラフトで獲得した細川成也や、エース候補と目された髙橋宏斗を大成させながら、チームとしての結果を残せなかったことが大きかったのだろう。
「とにかく1年目に、ファンはもちろん、選手が納得する結果を残せるか。私も目立った補強をせず、現有戦力を10%底上げして優勝すると猛練習させたが、それで負けていれば、『あれだけやったのに勝てないじゃないか』と、選手はついてこなかったと思う。私の8年間は、1年目の結果がすべてと言ってもいい。監督業は、それだけの覚悟で始めなければならないものだ」
落合の言葉が、監督が成功できるか否かの肝を示しているのではないか。