四国IL・徳島との練習試合で伊藤和投手が復帰登板《阪神ファーム》
前日までは気温も湿度も高く、体に堪える暑さだった鳴尾浜ですが、きのう12日は一転。積乱雲が主役だった空に秋らしい雲が戻ってきて、それだけでもホッとしたのですが、何といっても空気が乾いていて風も強く、日陰では汗も出ないほどの心地よさ。ただし試合中のスタンドは強烈な日差しが降り注ぎ、相変わらずの暑さですけどね。でももう少しの辛抱。頑張りましょう!
この日は四国アイランド・リーグの徳島インディゴソックスを迎えて練習試合が行われました。そこで懐かしい人に対面!ことし徳島の監督に就任した牧野塁さんです。何年ぶりですかねえ。松井秀樹さんと同じ1992年のドラフトでオリックスに入団した牧野投手は、“ロケットボーイ”と呼ばれる速球が武器でした。以降は阪神、楽天、広島でプレーしたのち2009年に引退しています。
阪神時代は2004年からの3年間だけなんですけど、すごく印象に残っています。いつもニコニコ笑顔で、人当たりがよくて。久しぶりに会った“牧野監督”は、やっぱりニコニコ笑顔で元気いっぱい!帽子から出た髪の毛がクルリと跳ねているところも同じ。昔のままでした。試合後に写真をお願いしたら「サングラスしたままでいいの?外す?」と気遣ってくれたので、2枚とも載せておきましょう。
長短合わせて14安打の10得点
さて試合は、初回から3点を取った打線が中盤に陽川選手と伊藤隼選手の連続ホームランなどで加点。8回も2点を加えて計10得点。なおメッセンジャー投手は5回に4点を失っています。では結果と経過をご覧ください。
《練習試合》9月12日
阪神-四国IL・徳島 (鳴尾浜)
徳島 000 040 000 = 4
阪神 300 131 02X =10
※特別ルール
◆バッテリー
【阪神】メッセンジャー‐高橋聡-伊藤和-福永-牧 / 岡崎-片山(6回~)
【徳島】上間(1/3回)-服部真(2回2/3)-竹内(2回)-森(1回)-石本(1回)-戸田(1回) / 横溝
◆本塁打 神:陽川2ラン、伊藤隼ソロ(竹内)
◆三塁打 神:島田 徳:平間
◆二塁打 神:板山、島田、長坂 徳:友居
◆盗塁 神:島田、熊谷、陽川、俊介、小幡2
徳:平間、球斗
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失)
1]中:島田 (5-3-1 / 0-0 / 1 / 0)
2]二:熊谷 (3-2-2 / 0-1 / 1 / 1)
3]右:板山 (2-1-2 / 0-0 / 0 / 0)
〃打一:山崎 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃打一:森越 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
4]一:陽川 (3-2-2 / 0-0 / 1 / 0)
〃右:荒木 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
5]左:俊介 (2-1-1 / 0-0 / 1 / 0)
〃左:伊藤隼 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0)
6]指捕:片山 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
7]三:藤谷 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 1)
8]捕:岡崎 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃指:長坂 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
9]遊:小幡 (4-1-1 / 0-0 / 2 / 0)
◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ※
メッセ 5回 94球 (4-4-6 / 4-4) 147
高橋聡 1回 9球 (0-1-0 / 0-0) 139
伊藤和 1回 11球 (0-0-0 / 0-0) 140
福永 1回 22球 (2-0-1 / 0-0) 151
牧 1回 5球 (0-0-0 / 0-0) 145
※球場表示の数字
《試合経過》※敬称略
まず打線から。1回は先頭の島田が左中間への三塁打を放ち、熊谷が四球を選んだあと板山の左越えタイムリー二塁打で2人とも生還!1死三塁となったところで徳島の先発・上間が降板。代わった服部虎(虎と書いてタイガと読みます)から俊介が左前タイムリー!この回3点を先取しました。
2回は三者凡退で、3回は熊谷と陽川がヒット、ともに盗塁も決めましたが追加点なし。4回は先頭の藤谷が中前打、2死後に島田の左越え二塁打で還って1点。4対0とリードを広げます。
しかし、4回まで1安打3四球で無失点だったメッセンジャーが5回、先頭から連続四球と犠打で1死二、三塁として1番の岸に中前タイムリーを浴び2人を還しました。岡崎の盗塁阻止により1死となりますが、2番・瀬口に四球を与え、続く平間には初球を右中間へ運ばれ、これがフェンス上部の金網に直撃するタイムリー三塁打。次の4番・球斗にも左前タイムリー。これで4対4の同点です。
するとその裏、先頭の代打・山崎の中前打に続き、陽川がレフトへ勝ち越し2ラン!さらに途中出場の伊藤隼もライトへソロホームラン!7対4となります。
6回にも1死から島田が右前打して二盗、熊谷の中前タイムリーで1点追加。7回は三者凡退で、8回は先頭の長坂がセンター左のフェンスを直撃する二塁打を放ち、続く小幡が中前タイムリー!ここで二盗、三盗を決めた小幡は熊谷の左犠飛で生還してこの回2点を加え、10得点となりました。
なお投手陣は6回から1イニングずつで、キャッチャーも片山に代わっています。まず6回は高橋聡が、先頭をセカンドのエラーで出したものの併殺と三振で無失点。7回は伊藤和が登板し、9番からを遊ゴロ、遊ゴロ、遊飛の三者凡退。8回の福永は1死から四球と連打で1死満塁とするも、本盗失敗などでピンチをしのぎました。9回は牧がサードのエラーで走者を出しながら最後は一直併殺!3人をわずか5球で片づけ試合終了です。
2月以来の実戦登板を無事終了
試合後の話は、復帰登板の伊藤和投手からご紹介しましょう。ことし2月23日、沖縄キャンプ中のオープン戦(対ヤクルト・浦添)で1イニングを投げたあと腰の張りが出て離脱。4月下旬に『腰椎椎間板摘出』の手術を受け、リハビリに励んできました。
約7か月ぶりの実戦登板を終え「まずは無事に投げられたし、ゼロで終われたのでよかった」と話しています。
1人目、2人に対してはすべて真っすぐ、3人目で変化球があった?「もうちょっと変化球を投げればよかったんですけど、全体的に力んでしまってボールが高かったので。もっと低めを意識して、次はきょうより上を目指していきたいです」。そして「完全に指にかかった感じではなかったけど、無事に投げられたのが一番だと思います」とのこと。次の予定も決まっているようで、同じく1イニングの見込みです。
今季中に戻ってこられました。「遅かったですけどねえ。本当は8月の頭くらいに戻れる予定でいたのが、ちょっと長引いてしまって…」。最後は苦笑いだったものの、来年に向けてこれから少しでも多く実戦マウンドを経験できるといいですね。
久しぶりのインディゴブルーに
次に福永投手。阪神ファームが、徳島の単独チームと対戦するのは2017年4月19日以来2シーズンぶりです。ルーキーだった福永投手は、前後の公式戦で先発することもあって登板していませんが、同じ年の7月18日に四国アイランド・リーグ選抜(高知を除く)との試合では4回からの2イニングを投げ、1安打3三振無四球の無失点。この時、徳島の選手も4人と当たっています。単独チームとは今回が初対戦でした。ただ、もう知っている選手がいないようですね。
この日の最速は球場表示のスピードガンで151キロ。真っすぐの手応えを聞かれ「ぼちぼち、ですかね」と福永投手。「きょうはカーブとフォークを意識しました。カーブはよかったです。フォークも低めに集まっていたので、あとは精度をもっと上げていければ。落ち方とかはよかったかなと思います」
スライダーがなかなか効果的だった今季ですが、きのう聞くと「スライダーは最近あまり投げていないですね。そればかりに頼っていたら持たないと思って」と話していました。最近ちょっと打たれる場面があり、いろいろ試行錯誤しているのかもしれません。
サイクル安打「意識しました(笑)」
島田選手は初回先頭の三塁打を含めて3安打です。「きょうは自分の中のテーマとして、大きくタイミングを取ってコンパクトに振ることを試してみました。ここ最近、構えが小さくなっていて、そこから大きく振ろうとしていた。縮こまることしかできなかったので。大きく構えて、ゆったりタイミングを取ってコンパクトに振るというのをやってみたら、ボールの見え方もよかったです。公式戦もこういう感じで打てれば」
確かに、シーズン序盤はゆったりと、いい感じで力の抜けたスイングが多かったかもしれませんね。「当てにいきたい、強く打ちたいと思って、逆に縮こまっていたと思います。これで1つの引き出しができました。“こうなった時に、こうすればいい”というのがわかったので。そういう意味では、いい一日でした」
ところで三塁打、二塁打、単打と来て、最後の打席(8回)は狙っていた?サイクル安打。「意識しましたねえ(笑)」。やっぱり?サイクル安打といえばオールスターゲームでの近本選手を思い出しますが、島田選手にとってはどういう存在?「素直にすごいと思います。あの人を追い越さないと出られないので、意識はしますね。でも、いずれは…」。途中で止めた言葉の続きは、本人の胸の中。でもわかりますよね。期待しましょう。
最後は小幡選手です。この試合では3打席続けてフライアウトに倒れたものの、最後の8回に無死二塁で中前タイムリーを放ちました。「1本出るのと出ないとでは気持ちの面で違ってくるので。いい打球がセンターにいって、よかったですね」。他人事みたいに言っています。さらに二盗、三盗!「いつも失敗を恐れずにやっていけと言われているので。練習試合は特に。本当は一発で走れたらよかったんですけど」。残りの公式戦でお願いします。
<掲載写真は筆者撮影>