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フリーレン? スパイファミリー? ウマ娘? 薬屋? 秋アニメの人気作は 各種データから考察

河村鳴紘サブカル専門ライター
(写真:アフロ)

 「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」や、金曜ロードショーでも放送された「葬送のフリーレン」などが放送されている、この秋から放送が始まった「秋アニメ」。「どの作品が最も人気があるか」というと、好みもあるので評価が割れるのではないでしょうか。放送から1カ月半が経過したので、出てきた各種データから考えてみます。

◇定番の視聴率

 テレビ番組の人気を測定する定番といえば、ビデオリサーチ社が発表する視聴率です。世帯や人々にどれだけ番組が見られたかを指す指標で、分かりやすさがあります。しかし、多くのアニメは深夜帯に放送されることが普通。配信も当たり前の今となっては、他の状況を加味しないといけないのが悩みのタネです。

 同社が発表する週間(11月6日~12日)高視聴率番組のアニメ部門でトップ10にランクインした秋アニメは「め組の大吾救国のオレンジ」(土曜17時30分)が3.8%、「葬送のフリーレン」(金曜23時)が3.3%でした。時間帯を考慮すると「葬送のフリーレン」の注目度、人気の高さが伝わるのではないでしょうか。

 なおトップは「サザエさん」の8.6%で、「ちびまる子ちゃん」や「名探偵コナン」などおなじみの番組が続きます。話は変わりますが、以前に日曜23時15分から放送されていた「鬼滅の刃」の視聴率が7%前後で推移していたことを考えると、改めてその恐ろしさが際立つわけですが……。

 ともあれアニメは、「深夜帯」と「それ以外」で分けて考える必要はあるでしょう。そして深夜に放送しないアニメは、他番組と視聴率争いを強いられるということ。同時に期待の大きさもあるわけですね。

◇Xのフォロワー数

 続いてアニメの人気を裏付けるデータの一つは、X(旧ツイッター)のフォロワー数です。今では、ほとんどのアニメ作品はXで情報の発信をしています。「進撃の巨人」は約168万、「スパイファミリー」が約134万、「ウマ娘」が約37万、「葬送のフリーレン」が約22万でした。なお「め組の大吾救国のオレンジ」は約2万。かなりの幅がありますが、注目が集まれば何かの拍子で一気にフォロワーが増えるのも特徴です。

 もちろん、Xのフォロワー数は、期を重ねたシリーズものの数字の方が多くなる傾向にあります。Xのフォロワー数が10万のラインを超えてくると、アニメファンの注目がかなり高いといえます。「薬屋のひとりごと」(約13万)や「Dr.STONE」(約22万)もそうでしょう。

 参考までに、以前にヒットしたアニメ作品のフォロワー数も見てみましょう。昨夏に人気を博した「リコリス・リコイル」は約48万。2021年冬に放送されて同じく大ヒットした「PUI PUI モルカー」は約41万。「呪術廻戦」が約175万で、アニメ限定ではありませんが「鬼滅の刃」が約294万となります。原作とアニメが別々にあったり、一緒になっていたりするケースもありますが、参考の一つにはなりそうです。

◇グーグルトレンド

 最後に、消費者のネット検索データを活用して世間の関心度を測るグーグルトレンドです。今回は検索をして、注目が高かった「スパイファミリー」「ウマ娘」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」「進撃の巨人」の5作品のデータ(90日間)を比較しました。見た目の印象は、各作品も拮抗しています。そして、関心は時間の経過とともに薄らいでいくため「右肩下がり」になるのが普通です。

グーグルトレンドのグラフ(90日間)で見ると「葬送のフリーレン」(赤)と「進撃の巨人」(紫)の突出が目立ちます。「ウマ娘」(青)はスマホゲームのため放送前から検索されています。
グーグルトレンドのグラフ(90日間)で見ると「葬送のフリーレン」(赤)と「進撃の巨人」(紫)の突出が目立ちます。「ウマ娘」(青)はスマホゲームのため放送前から検索されています。

 そして「葬送のフリーレン」は、金曜ロードショーで放送された日、「進撃の巨人」はシリーズの最終回スペシャルで話題になったことが分かります。当然なのですが、グラフで比較するとそのすごさが伝わります。

 もう少し分かりやすくするため、スペシャルだった「進撃の巨人」を省き、データを30日間に設定、「スパイファミリー」「ウマ娘」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」で比較しました。

グーグルトレンド(30日間)のグラフ。「葬送のフリーレン」と「薬屋のひとりごと」の人気が高いのが分かります。基本はアニメの放送タイミングに数字がアップします。
グーグルトレンド(30日間)のグラフ。「葬送のフリーレン」と「薬屋のひとりごと」の人気が高いのが分かります。基本はアニメの放送タイミングに数字がアップします。

 「葬送のフリーレン」は、第1話に金曜ロードショーで放送することで最初に話題を作り、その後もうまくつなげているといえます。「スパイファミリー」は、安定はしているものの、第1期の大ヒットを考えるともう少し上を……と思ってしまいます。

 「ウマ娘」は、もともとはスマホゲームであり、ゲーム攻略のため検索されやすい傾向にありますから、“上積み”があることを考えると、同じくもっと上にいてほしいところ。またアニメ放送の日にもっと数字が上になりそうですが、そこの反応がないのが気になります。

 「薬屋のひとりごと」は、上記3作品に比べると、アニメファン以外の知名度は低そうですが、右肩上がりの傾向を見せています。「葬送のフリーレン」に迫る勢いで、今後も注目でしょう。

 視聴率とXのフォロワー数、グーグルトレンドの三つを比較することで、いろいろなものが見えるのではないでしょうか。アニメの人気を測る上で、「ウマ娘」のようにスマホゲームの「上乗せ」がある作品は差し引く必要があるでしょうし、判断が難しいところです。そしてアニメの放送日に盛り上がることを考えて、最も高い作品を総合的に考えると「葬送のフリーレン」が一番人気といえるかもしれません。しかしグラフを見る限り、「薬屋のひとりごと」もかなり高いといえます。

 「薬屋のひとりごと」は、後宮勤めの少女が、薬の知識でさまざまな謎を解くという物語です。ネット投稿小説が原作で、実はマンガ版の1巻(スクウェア・エニックス)だけで100万部を売るほどで、人気になる素地は十分ありました。

◇ランキング化 実は好まれず

 アニメの人気順を指標化するのは難しいため、メディアでは、ファンの人気投票を募り、得票をランキング形式にして紹介するケースがあります。そしてランキングの記事は分かりやすく、多用されています。

 一方で作品側からすると、ランキング化は、歓迎されないことも多々あります。作品は個人の好みや価値観によって評価が変わるのですが、ランキングは、そうした事情を出すのが難しいからです。

 とはいえ、好きな作品がどう評価されているかの比較は気になるものです。各種データを参考にして、個々人がそれぞれ評価を下しつつ、推しの作品を応援するという姿勢が一番合っているのかもしれません。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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