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藤井聡太叡王に挑戦するのは出口若武五段か? 服部慎一郎四段か? 4月2日、挑戦者決定戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月2日。東京・シャトーアメーバにおいて第7期叡王戦挑戦者決定戦、出口若武五段(26歳)-服部慎一郎四段(22歳)戦がおこなわれます。

 勝者は第6期を制した藤井聡太叡王(19歳)に挑戦します。

 五段から本戦に進出できるのは、わずかに1人です。

 出口五段は古森悠太五段、西田拓也五段、黒田尭之五段、本田奎五段と、手強い若手精鋭を次々に連破。堂々の本戦進出を決めました。

 四段から本戦に進めるのもまた1人だけです。

 服部四段は高田明浩四段、石川優太四段、古賀悠聖四段、山本博志四段と、こちらも若手を破って本戦に進みました。

 本戦に入ってから、出口五段は村田顕弘六段、斎藤慎太郎八段、佐藤天彦九段に勝ちました。

 一方、服部四段は八代弥七段、豊島将之九段(前叡王)、船江恒平六段に勝って挑決にまで進みました。

 本戦参加16人のうち、段位が低い方の2人が快進撃を続け、最後はどちらが勝ってもタイトル初挑戦。大変フレッシュな顔合わせの五番勝負となります。

 3月26日の対局が終わった時点で、今年度成績は出口五段は36勝13敗(勝率0.735)。服部四段は43勝12敗(勝率0.782)。両者ともに全棋士中上位の好成績です。

 両者は過去に2回対戦しています。

 2020年11月20日、前期叡王戦では四段戦で対戦。出口四段(当時)先手で戦型は角換わり腰掛銀。結果は113手で出口四段の勝ちとなりました。

 また最近の2022年2月1日、竜王戦6組3回戦でも対戦。こちらも出口五段の勝ちでした。

 出口五段は奨励会三段時、新人王戦で決勝三番勝負にまで進出。そこで藤井聡太七段(当時)と対戦し、2連敗で敗れました。

 出口五段が棋士になってからは、藤井2勝のあと、出口1勝です。

 藤井叡王と服部四段の対戦はまだありません。

 前回第4回ABEMAトーナメント。リーダーの藤井二冠(当時)はドラフト前「世代が近い方で選ぼうと思っています」と語っていました。

 ドラフトで藤井リーダーが指名したのは、伊藤匠四段と服部四段。糸谷哲郎八段からの指名と競合し、くじ引きで敗れて服部四段獲得はなりませんでしたが、藤井リーダーが服部四段の実力を認めていたことがわかりました。

 もし今回、服部四段が挑戦権を獲得すれば、屋敷伸之現九段、郷田真隆現九段(2回)、本田奎現五段に続き史上4人目、四段の立場での挑戦権獲得となります。

 1990年度後期棋聖戦五番勝負・屋敷伸之棋聖(18歳)-森下卓挑戦者(24歳)では、対局者の年齢合計が42歳でした。筆者が調べた限りでは、これが最小数です。

 もし藤井叡王(19歳)-服部挑戦者(22歳)となれば合計で41歳。これも記録的な数字です。

 出口五段、服部四段ともに、タイトル挑戦権を獲得すると、規定により段位が一つ上がります。

 本局は様々な意味で、大一番といえそうです。

 叡王戦本戦の持ち時間は各3時間(チェスクロック方式)。対局は10時に始まり、通例では夕方頃に決着します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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