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39年ぶりの珍事。木枯らし1号が吹かないまま師走入りか?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
冷たい北風、木枯らし(ペイレスイメージズ/アフロ)

吹かなければ39年ぶりの珍事

季節が秋から冬へと移り変わる時期に、木々を枯らすような初めて吹く強い北寄りの風を木枯らし1号と呼んでいます。

気象庁からは、東京地方と近畿地方で発表されており、今年も先日22日に近畿地方で発表がありましたが、東京地方では未だ発表がありません。

東京地方での木枯らし1号の発表の基準は以下の通りです。

●期間は10月半ばから11月末までの間。

●気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと。

●東京における風向が西北西~北である。

●東京における最大風速がおおむね8メートル以上である。

期間が11月末までと限られていることなどから、木枯らし1号の平年値は算出されていませんが、平均すると11月7日~8日頃となるようです。

では気象庁による資料で、遅く吹いた年を調べてみましょう。

11月28日:1981年、1969年

11月27日:1960年 、1953年

11月25日:1984年

11月22日:1993年

発表なし  :1979年、1977年、1962年、1959年

気圧配置の予想から、あす28日にかけて吹く可能性はほぼないため、木枯らし1号の遅い記録を1981年以来37年ぶりに更新するのはほぼ確実となりました。

また29日は冬型となるため、吹く可能性はありますが、もしここで吹かなければ1979年以来39年ぶりに木枯らし1号のないまま師走を迎えることとなりそうです。

ラストチャンスは11月29日

予想天気図(ウェザーマップ)
予想天気図(ウェザーマップ)

29日の木曜日は低気圧が東へ抜けて、一時的に西高東低の冬型の気圧配置となるでしょう。

このため、東京地方でも北寄りの風がやや強まる予想ですが、木枯らし1号の基準となる8メートル程度の風が吹くかどうかは微妙なところです。

ただ予想よりも低気圧が発達したり、風の強まりやすい日中にピークを迎えることから可能性はなくはないでしょう。

データを注意深く見守りたいと思います。

発表のなかった年の隠れ木枯らし1号は?

1979年12月2日の天気図(デジタル台風)
1979年12月2日の天気図(デジタル台風)
1977年12月2日の天気図(デジタル台風)
1977年12月2日の天気図(デジタル台風)
1962年12月3日の天気図(デジタル台風)
1962年12月3日の天気図(デジタル台風)

木枯らし1号の発表がなかった年について、12月以降、基準に当てはめ、隠れ木枯らし1号の吹いた日付を調べてみました。

すると、1979年は12月2日に北北西の風、最大風速11.6メートルを観測し、紛れもなく隠れ木枯らし1号。

1977年は12月2日に北北西の風、最大風速7.8メートルを観測し、隠れ木枯らし1号の可能性が大。

1962年は12月3日に北の風、最大風速10.3メートルを観測し、これも隠れ木枯らし1号に間違いありません。

近畿地方では木枯らし1号の期間が冬至(12月22日頃)までなので、東京地方でも、もう少し期間を長くしてもらうとありがたいのですが…。

ちなみに1959年に関しては、日ごとの風速データが気象庁の月表に掲載されていませんでした。

参考:デジタル台風より過去の天気図(加工あり)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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