Yahoo!ニュース

大谷翔平がジャイアンツに入団すると四球は増えてホームランは減る!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイロー・エストラーダ(左)と大谷翔平(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 大谷翔平は、サンフランシスコ・ジャイアンツに入団するかもしれない。そうなるとは限らないものの、サンフランシスコ・クロニクルのスーザン・スラッサーは、大谷とジャイアンツの関係者が12月2日に会ったと思われる、と報じている。

 大谷がジャイアンツの選手としてプレーした場合、来シーズンの四球は、これまでより増えることもあり得る。

 今シーズン、ジャイアンツで20本以上のホームランを打った選手は、23本のウィルマー・フローレスしかいなかった。OPS.800以上も、打席数を問わず、.863のフローレスだけだった。

 フローレスは、パワー・ヒッターではない。その前の10シーズン(2013~22年)とも、20本塁打に達したことはなかった。

 マイケル・コンフォートミッチ・ハニガーは、1シーズンに30本以上のホームランを打ったことがあるが、2人とも1度に過ぎない。コンフォートは、大谷と同じ左打者だ。ハニガーは、シアトル・マリナーズ時代の2021年に39本塁打を記録したが、ここ2シーズンは、どちらも100試合以上に欠場している。出場時のホームランもそう多くなく、計118試合で17本だ。加えて、ここ3シーズンのOPSは、.804→.736→.631と推移している。

 今のところ、ジャイアンツのラインナップに、新たな選手は加わっていない。

 大谷を「プロテクト」できる打者がいなければ、相手は、大谷との勝負を避けようとするだろう。四球が増えることで、打数は減り――四球は打席に数えるが、打数には数えない――その結果、ホームランも減少しかねない。

 ホームランが減る要素は、それだけではない。ジャイアンツの本拠地、オラクル・パークは、ホームランが出にくい。スタットキャストによると、ここ3シーズンのホームランのパーク・ファクターは、左打者が84(右打者は83)。エンジェル・スタジアムは122(と106)だ。明らかに違う。

 また、スタットキャストには、こんなデータもある。今シーズン、大谷がすべての打球をエンジェル・パークで記録したとすると、そのうち、ホームランになる――外野のフェンスをオーバーする――のは45本。実際にホームランとなった44本と、ヤンキー・スタジアムでセンターのアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)に捕られた1本がそうだ。すべてオラクル・パークだと、ホームランは34本にとどまる。

 これは、各打球の軌跡を、それぞれの球場のフェンスまでの距離とフェンスの高さに当てはめたものだ。大谷の場合、オラクル・パークのホームランは、どの球場よりも少なくなる。最多は、シンシナティ・レッズの本拠地、グレート・アメリカン・ボールパークの49本だ。

 その一方で、オラクル・パークをホームとすれば、来シーズンのマウンドには上がらないものの、2025年以降の登板時に、恩恵を受けてもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事