Yahoo!ニュース

ポストシーズンで田中将大はローテーションの何番手!? 現時点におけるヤンキースの「エース」は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、J.A.ハップ、ジェームズ・パクストン、田中将大 Feb 14,2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースは、7年ぶりの地区優勝を目前としている。ポストシーズン進出は3年連続となる。10月4日から始まるディビジョン・シリーズ(ナ・リーグは10月3日から)の相手は、ワイルドカード・ゲームの勝者か、中地区優勝が濃厚なミネソタ・ツインズとなりそうだ。

 今シーズンの開幕投手は、田中将大が務めた。2試合目以降は、ジェームズ・パクストンJ.A.ハップドミンゴ・ハーマンの順に先発した。だが、ディビジョン・シリーズ第1戦の先発マウンドに上がるのは、田中ではなく、パクストンだろう。8月以降、パクストンは好投を続けている。9登板で9勝もさることながら、そのうち7登板は2失点以下(3失点と4失点が1登板ずつ)。直近5登板はいずれも2失点以下に抑え、9月の3登板は計1点しか与えていない。

筆者作成
筆者作成

 パクストンに続き、第2戦に誰が投げるかは、まだ見えてこない。現時点では、田中、ハップ、ハーマン、CC・サバシアルイス・セベリーノの5人のうち、ハーマンとサバシアはブルペンに回る可能性が高い。もしかすると、サバシアはロースターに入れないかもしれない。

 残る3人は、それぞれに不安要素を抱える。ハップの場合は、左上腕の腱炎だ。ニューヨーク・デイリー・ニューズのクリスティ・アカートによると、コルチゾンを注射し、本人は次のホーム・シリーズに投げる気でいるようだ――9月17日~19日に行われるロサンゼルス・エンジェルス戦の3試合目と思われる――が、懸念が払拭されたわけではない。

 一方、セベリーノは故障明けだ。9月17日がシーズン初登板となる。スプリング・トレーニング初登板の直前に肩の違和感を訴え、当初、5月と見込まれていた復帰は大幅に遅れた。故障前のような投球ができるかどうかは、まだわからない。ちなみに、セベリーノは過去2年とも、ヤンキースのポストシーズン最初の試合(どちらもワイルドカード・ゲーム)に先発した。2017年は初回に2本のホームランを打たれ、1アウトしか取れずに降板。昨年は無失点ながら、5回表にヒット2本で無死一、二塁とされたところで交代した。

 ハップとセベリーノと違い、今シーズンの田中は故障と無縁だが、波が激しい。8月以降の8登板中、無失点と2失点がそれぞれ2度、5失点と4失点もそれぞれ2度。ここ2登板は、いずれも5イニング以下で4失点だ。

 レギュラーシーズンは残り12試合。ハップとセベリーノの登板は、それぞれあと2~3試合、田中は2試合だろう。2人がそこで好投し、田中が芳しくなければ、ディビジョン・シリーズの第2戦と第3戦は、ハップとセベリーノ、あるいはセベリーノとハップということもあり得る。そうなった場合、ヤンキースが3連敗すると、田中はポストシーズンで登板することなく(少なくとも先発投手としては)、オフを迎える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事