シャープ、ついに「組織的自爆営業」か?
経営再建中のシャープがついに「組織的自爆営業」に走ったのか? と思わせられる記事が飛び込んできました。「自爆営業」とは、販売ノルマ達成のため商品を自費で買い取る行為のこと。2012~13年ころ、日本郵政の社員たちが年賀はがきなどを自腹で買い取る行為が目立ち、しかもその金額が「10万円超えも当たり前」と言われるようになって、これが大きなニュースとなりました。
郵政社員の「自爆営業」は組織ぐるみではありません。あくまでも個人の判断のもとでやっていたわけです。しかしシャープは組織ぐるみのようです。
シャープは全従業員を対象に、11月20日から自社製品購入を呼びかけるキャンペーンを始めます。このような「特別社員販売セール」は、家電メーカーのみならず、他の企業でもあるのですが、このキャンペーンに「自腹ノルマ」を課すのがシャープ流。「目の付けどころがシャープでしょ」と言われればそうなのかもしれませんが、うーむ、どうなんでしょうか。私は前職が日立製作所。さすがに、過去どんなに業績が苦しくても「自腹ノルマ」を課せられたことはありません。
【シャープの「自腹ノルマ」一覧】
● 取締役、執行役員 → 20万円
● 管理職 → 10万円
● 一般社員 → 5万円
役職者、管理者の比率がわかりませんが、従業員約1万7000人がこの「自腹ノルマ」を達成させると、15~20億ぐらいの売上アップに繋がります。
従業員個人の「経済的コスト」を利用し、シャープは自社の売上アップをもくろんだというわけですが、「5~20万円なんて大したことないじゃないか」「経営再建中なのですから、従業員の報酬を減らすよりもよいに決まっている」という判断では、大きな副作用に見舞われることでしょう。
確かに従業員の「経済的コスト」は5~20万円かもしれません。しかし「精神的コスト」はその10倍以上の負担となって従業員の肩に圧し掛かってくるのです。未来の報酬を減らすのではなく、過去に支払った報酬から、会社の勝手なノルマ達成のためにその費用を捻出しろと言われるのはとても理不尽。まったく意味合いが異なります。減給、減俸のほうが「精神的コスト」は低くなるわけで、シャープ従業員の愛社精神も、同様に急落する気がして心配です。