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5本塁打以下で出塁率4割以上なら今世紀初。ここまで3本&.420。イチローは19年前に8本&.414

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)Jul 26, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、出塁率の両リーグ・トップ5には、.425のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)、.421のホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)、.420のルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)、.416のフレディ・フリーマン(ロサンゼルス・ドジャース)、.409の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が並んでいる。現時点の規定打席――チームの試合数×3.1以上――に達していて、出塁率が.400以上の選手は、他にはいない。

 この5人のうち、アライズ以外の4人は、20本以上のホームランを打っている。一方、アライズのホームランは、3本に過ぎない。いずれも、ランニング本塁打ではないものの、スタットキャストによると、推定飛距離は385フィート未満だ。

 今世紀に入ってから、シーズン全体の規定打席に達し――両リーグでプレーして計502打席以上を含む――10本塁打未満で出塁率.400以上を記録した選手は、延べ9人だ。1チーム60試合の短縮シーズンだった2020年を除くと、2001~19年と2021~22年の計21シーズンに延べ5人、となる。

 その5人のなかに、5本塁打以下はいない。2004年に出塁率.414のイチローと2009年に出塁率.426のニック・ジョンソンは、8本のホームランを打っている。あとの3人は、9本塁打だ。また、2020年の4人も、5本塁打以下は皆無。出塁率.417を記録したポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)の6本塁打が、最も少ない。

筆者作成
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 今シーズンは、21世紀初の5本塁打以下で出塁率.400以上、が誕生するかもしれない。マーリンズは、ここまでに113試合を終えている。アライズは、3本塁打だ。ここからの49試合でホームランが2本か1本、あるいは0本――シーズン全体で5本以下――の可能性は、大いにありそうだ。シーズン全体の出塁率が.400を下回る可能性よりも、高いのではないだろうか。

 5本塁打以下で出塁率.400以上は、2000年に2本塁打と出塁率.418のルイス・カスティーヨが最後だ。偶然ながら、カスティーヨとアライズは、ファーストネームだけでなく、マーリンズの二塁手という点も共通する。カスティーヨは、1996年から2005年までフロリダ・マーリンズでプレーした後、トレードでミネソタ・ツインズへ移った。アライズは、昨オフのトレードにより、ツインズからマーリンズへ移籍した。

 また、今シーズン、出塁率.400以上を記録している5人中4人は、四球率10%以上を記録している。こちらも、例外は、6.8%のアライズだ。

 一桁本塁打と四球率10%未満で出塁率.400以上は、2004年のイチローが最後だ。この年は、ホームランが8本、四球率が6.4%、出塁率は.414だった。ちなみに、メジャーリーグ時代のイチローは、二桁本塁打が3度あるものの、四球率10%以上のシーズンは、6打席で1四球の2019年のみなので、実質的には皆無だ。出塁率.400以上は、2004年の1度しかない。

 アライズは、2019年にメジャーデビューした。過去4シーズンは、二桁本塁打、四球率10%以上、出塁率.400以上のいずれも、記録していない。

 なお、19年前のイチローは、打率.372を記録した。今シーズンのアライズは、ここまで打率.375だ。それについては、こちらで書いた。

「打率4割は無理でもイチローが記録した「今世紀最高のシーズン打率」を上回る可能性はあり」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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