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ノート(230) 前科があるとパスポートどうなる? 出所後の身の振り方は

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(23)

受刑320/384日目

刑務所で黙祷

 この日は3月11日であり、刑務所の所内放送で案内が流され、東日本大震災の発生時刻である14時46分に合わせて1分間の黙祷が行われた。自然の脅威を前にした人類の無力さや人生の無常を痛感させられた未曾有の災害から早くも1年が経過したことになる。

 あの日は翌週から大阪地裁で始まる裁判を控え、大阪拘置所の自殺防止房で事件記録を読み返していたとき、ゆっくりとした横揺れを感じ、夕方のラジオ放送で甚大な被害を知った。翌日の朝刊に掲載された被災地の写真を目にし、自然と涙があふれ出たことも昨日のことのようだ。

 あれから復興は停滞し、原発政策も先行き不透明で、慎ましやかな生活を忘れたかのように景気回復に向けた消費が叫ばれている。人間の本質は何も変わらないということだろう。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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