「あなたは本当に、HSPですか?」私は、なんちゃってHSPが増えたことに危惧を覚えています。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、「あなたは本当に、HSPですか?」というテーマでお話したいと思います。
HSPという言葉、概念は西暦2020年の初頭に、日本に大きく広まったわけですが、そのせいというか、そのおかげで、昨今は、「なんちゃってHSP」の方が非常に増えました。
なんちゃってHSPは、「私は、人目が気になるからHSPです」「私は、ノーと言うのが苦手だからHSPです」「私は、ドタキャン癖があるのでHSPです」「私は、物忘れが酷いのでHSPです」「私は人見知りが激しいのでHSPです」等と言ったりします。
当事者であり、心理カウンセラーである私としては、「何でもかんでもHSPのせいにするな」「HSPってそんなもんじゃねえぞ」って言いたくなります。
ある時、あるクライアントが、約束の時間15分以上も前に、私のカウンセリングルームのドアを叩き、「自分がHSPであること」「自分が人間関係が苦手であること」「自分が人からいじめられやすい性格であること」等を、とくとくと語ったのですが、私が何も言葉を発してないにも関わらず、「やっぱり僕はHSPなんですね。竹内先生からお墨付きをもらったということで、これからは堂々と、職場の人や家族にも、自分はHSPだからということが宣言できるようになりました」なんてことを言って帰って行きました。カウンセラーである私は、クライアントの言葉を遮ってまでして、「あなたはHSPじゃないと思いますよ」という訂正の言葉を発することが出来ませんでした。← よくある事例を掛け合わせて、私が創作した物語です。
今言った、なんちゃってHSPのせいで、本当のHSPの人は、大変に迷惑をこうむっています。HSPという言葉を見聞きしただけで、「ああ、自意識過剰な人ね」「ああ、約束をドタキャンする人ね」「ああ、ノーと言うのが苦手な人ね」「ああ、面倒臭い人ね」等と思われるようなHSPじゃない人が増え、HSPという概念そのものが、誤解されるようになってしまったからです。
私は、当事者として、心理カウンセラーとして、自称HSP、なんちゃってHSP増えている現状を好ましく思っていません。一部の方の間で、HSPという概念が大きく誤解され、「HSPはとんでもなく図々しい奴だ」と思われかねない事態になっているからです。よって、お願いですから、HSPでない人は、自分のことを「HSPだ」とか「繊細さんだ」とか、どうぞ言わないようにしてやってください。
私(竹内成彦)は、HSPです。ハイリー・センシティブ・パーソンであり、聴覚過敏・視覚過敏・臭覚過敏・味覚過敏・接触過敏・心的過敏の6つを持っています。←スミマセン。得意げに語ることではございません。私は、この自分の特徴を、「まぁ、これは、私の個性のひとつだから」等と、達観できる境地に、まだ至っておりません。何とか良くならないものか…と今も苦闘している最中です。
私は、アーロン博士のおっしゃる4つの特徴を全て持っています。
4つの特徴とは、
1.考え方が複雑で、深く処理します。
2.過剰に刺激を受けやすいです。敏感で疲れやすいです。
3.全体的に感情の反応が強く、共感力が高いです。
4.些細な刺激を察知します。あらゆる感覚が鋭いです。
私は、自分のことを、過敏症だと思っています。
繊細さんという言葉より、過敏症という言葉のほうが、自分にしっくり来ます。
で、実際のところ、どうなんでしょうか?
今もまだ、HSPは、ブームなのでしょうか?
それともピークは、既に、やや過ぎた感じなのでしょうか?
あとですね。HSPという言葉や概念が流行ったせいで、HSP専門カウンセラーという職業の人が増えてきました。これは、医者が、HSPに対して無頓着であることが多いので、ある意味仕方がないことだなあ…と私は思っています。
「自分はHSPなのかなあ…」と悩んでらっしゃる人は、HSP専門カウンセラーの許に、足を運ぶことが多いかと思うのですが、私は、HSPかどうかで悩まれる方が、HSP専門カウンセラーの許へ行くことを、おススメはしません。
何故かと言うと、HSP専門カウンセラーである彼ら彼女らは、自分がHSPかどうかで悩んでいる人、自分がHSPかどうかで迷っている人が、自分のルームに訪ねてきた場合は、「あなたは、HSPです」と言い切ってしまうことが多いからです。
それもその筈…。そう言っておけば、目の前の訪問者が自分のお客さんになるわけですから、非常にオイシク、よって、間違っても、「あなたはHSPではないですよ。私のカウンセリングを受ける必要などありません」なんてことを言う筈がありません。
誰でも彼でも、訪れた人をHSPにしてしまう、それがHSP専門カウンセラーの手口です。← まあ、もっとも、HSP専門カウンセラーもピンキリですからね。悪い人もいるけれど、良い人もいるというのは、事実としてあります。
もしも、あなたが、HSPが持つ症状で悩んでおり、いいカウンセラーに出会うことが出来たのなら、そのカウンセラーから、HSPとして生きていく、いい方法や考え方を教えてもらえるかもしれません。よって、行く意味がないとまでは、私は申しません。けれど、どうせ行くのなら、しっかり吟味して、選びに選んでお出掛けしてみては如何か? と思う次第です。
私は、HSP専門カウンセラーではないのですが、私のルームに訪れたHSP傾向の強い方に対しては、HSPの当事者として、カウンセラーとして、HSPが持ちやすいストレス、それらを低減させる工夫や、暮らし方、生活っぷり、生きるヒントを、出来る限り具体的にわかりやすく教えるよう、いつも心掛けています。
ご安心ください。私はHSP専門カウンセラーではありませんから、HSPでもない人のことをHSPだなんて決めつけるような真似は決してしませんから…。
ちなみに私は、スタンスとして、世の中には、2割のHSPと8割のHSPじゃない人がいる…という考え方をしておりません。HSPはグラデーションなので、限りなくHSPと呼べる人と、限りなくHSPとは呼べない人が一部いて、ほとんどの方は、刺激に強い弱いの傾向がある中間の人だ…と認識しています。
私は、「自分はHSPだ」と思うことで、生きるのがラクになるようだったら、「自分はHSPだ」と思って生きていけばいいと思っていますし、「自分はHSPなんかではない」と思うことによって、生きるのがラクになるようだったら、「自分はHSPなんかではない」と思って生きていけばいいと思っています。
そう、「HSPかどうか?」は、他人が決めることではなく、自分が決めることなのです。
そして、自分がHSPかどうかなんてことは、人前で大きな声で言うことではなく、ごく親しい人に限って言うか、自分に関係のある近しい人に言うか、HSPの人同士で言うか、心の中でそっとつぶやくものだと思っています。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。