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ダルビッシュやマチャドの延長契約に続きソトとヘイダーも引き留め、さらに大谷も手に入れる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(左)とダルビッシュ有 Sep 7, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、サンディエゴ・パドレスは、大型契約を連発している。ボストン・レッドソックスからFAになったザンダー・ボガーツを11年2億8000万ドル(2023~33年)の契約で迎え入れ、ダルビッシュ有マニー・マチャドとは、それぞれ、6年1億800万ドル(2023~28年)と11年3億5000万ドル(2023~33年)の延長契約を交わした。

 パドレスは、他にも2人、契約の総額が1億ドル以上の選手を擁する。どちらも延長契約だ。2021年2月にフェルナンド・タティースJr.と14年3億4000万ドル(2021~34年)、昨年8月にはジョー・マスグローブと5年1億ドル(2023~27年)の契約を締結した。

 2018年2月にエリック・ホズマー(現シカゴ・カブス)と交わした8年1億4400万ドル(2018~25年)も、まだ支払いが残っている。昨年の夏、パドレスは残額の大半を負担する条件で、ホズマーをレッドソックスへ放出した。それについては、「約4000万ドルの契約が残っている選手をDFAとする。支払いを負担するのは、その球団ではなく…」で書いた。

 ちなみに、ホズマーの前に、パドレスから総額1億ドル以上の契約を得た選手はいなかった。それまでは、ウィル・マイヤーズ(現シンシナティ・レッズ)の6年8300万ドル(2017~22年)が最も高額だった。

 パドレスの大型契約は、これからも続きそうな気配だ。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンによると、パドレスは、昨夏のトレードで獲得した2人、ホアン・ソトジョシュ・ヘイダーのどちらとも、契約の延長交渉を行うつもりでいるという。FAになるまで、ソトはあと2シーズン(2023~24年)、ヘイダーは1シーズン(2023年)だ。

 ソトをつなぎ止めるには、4億ドル以上を必要とする。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールによると、ソトと代理人のスコット・ボラスは、トレードの前にワシントン・ナショナルズから15年4億4000万ドルの延長契約を提示され、それを拒否したという。

 ヘイダーも、1億ドル前後を要求するだろう。昨年11月、エドウィン・ディアズ(ニューヨーク・メッツ)は、FA市場に出るか出ないかのうちに、5年1億200万ドル(2023~27年)の契約でメッツへ戻った。ヘイダーとディアズは、2人ともクローザーとして投げていて、この春に29歳となることも共通する。

 サンディエゴは、ニューヨークのようなビッグ・マーケットではない。ミドル・マーケット、もしくはスモール・マーケットだ。けれども、パドレスのオーナー、ピーター・サイドラーは、勝利を求めている。球団初のワールドシリーズ優勝だ。

 1969年の創設以来、パドレスはワールドシリーズに2度進出しているが、そこで計1勝しか挙げていない。また、ナ・リーグ西地区において、2011年以降の12シーズンとも、パドレスはロサンゼルス・ドジャースの下に位置している。ドジャースのオーナーだったウォルター・オマリーとピーター・オマリーは、サイドラーの祖父と叔父だ。

 今オフ、パドレスが手に入れようとした大物選手は、ボガーツだけではなかったらしい(あるいは、ボガーツよりも大物の選手を狙っていたのかもしれない)。USAトゥデイのボブ・ナイテンゲールによると、パドレスは、ニューヨーク・ヤンキースからFAになったアーロン・ジャッジに対し、10年以上の契約で4億ドルを払う気があると伝えたという。ジャッジは、ヤンキースと9年3億6000万ドル(2023~31年)の再契約を交わした。

 次のFA市場に出る、一番の大物選手は、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。ソトとヘイダーとの交渉がどう進むのかにかかわらず、パドレスは大谷を手に入れようする――大谷がドジャースに入団するのを阻もうとする――のではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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