ノート(49) いよいよ起訴で無職の身へ 懲戒処分の手続とその内容
~解脱編(21)
勾留20日目
最高検検事との面会
この日は「体育の日」に当たる休日だったが、勾留満期であり、午後3時ころには起訴が予定されていた。検事の職を失うものの、第二の人生が始まる節目にふさわしく、空は雲一つない秋晴れだった。
3日前から予定されていたとおり、朝食後、事務棟の面会室で、最高検の三浦守検事や立会の検察事務官2名と面会をした。事前の聴聞手続に基づき、正式に決定された懲戒処分の内容を告げられるためだった。
細身で眼鏡をかけた三浦検事とは全くの初対面だったが、目つきが氷のように冷たく、態度も事務的で実に淡々としており、いかにも「官僚」といった印象を受けた。
証拠改ざん・犯人隠避事件の捜査主任として僕に逮捕状を執行した長谷川充弘検事や、僕の取調べを担当していた中村孝検事のような現場臭は感じられず、法務省などで華やかなキャリアを積んだ「赤レンガ組」だろうと思われた。
――三浦検事は、間違いなく東京や大阪の検事長にまで上り詰める人だろうな。不良検事に懲戒処分を告げ、引導を渡すには、ぴったりの人選だ。
同じ「最高」という冠がついていても、最高裁判事と違い、最高検検事には、年齢や能力、不倫問題やセクハラなどの不祥事、論文作成に夢中で仕事そっちのけなど、様々な事情から検事正にすらなれず、あるいは検事が数名しかいない小規模地検の検事正を務めただけでキャリアを終えるような人もかなり含まれている。
そうした玉石混淆の最高検検事の中でも、本当に偉くなっていく人には、何かオーラのようなものが感じられるものだ。
懲戒処分の告知
三浦検事は、持参していた「懲戒処分書」や「処分説明書」を読み上げた上で、差入れ手続をとり、僕に交付した。処分の内容は、次のようなものだった。
この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2017年4月
税込1,100円(記事3本)
2017年4月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。