ノート(48) 身上や経歴をまとめた供述調書の内容
~解脱編(20)
勾留19日目
消えた「隠し玉」
起訴を翌日に控えていたが、あらかじめ保釈金を用立てたり、釈放時の車を準備するといった段取りは不要だった。家族の平穏な生活を守るために起訴後の保釈は請求しない、というのが弁護方針だったからだ。
三連休の中日であり、面会や接見、入浴や運動などもなく、拘置所は朝から静かだったし、逮捕当初の厳しい残暑が嘘のように、秋晴れで過ごしやすい季節となっていた。
スピーカーから流れてくるラジオの音楽番組を聴き、拘置所で借りた長部日出雄『源義経』を読み進めていると、午後5時半ころ、中村孝検事の取調べが入った。取調べは午後10時すぎころまで4時間半ほど行われ、4通の供述調書にサインをした。
1通目は、前日の取調べで中村検事から示された「佐賀メモ」に関するものだった。僕がその記載を読み解き、意味するところを解説し、併せて新たに思い出したやり取りなどを語ったものだった。
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