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公共施設の冷水機。止まったままになっていませんか?

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
(写真:イメージマート)

約半数の自治体が冷水機を停止

和歌山県庁は今年2月、水道直結型のウォーターサーバーを導入した。多くの職員はプラスチックごみを減らすためにマイボトルを持参していたが、庁内に補充する場所がなく、給水スポット待望論があった。職員が給水する姿を市民が見ることで、プラごみを減らそうという気持ちが伝わればとも考えたという。

甲府市でも6月、飲むとともにマイボトルに冷たい水を補給できる給水スポットを市役所内に設けた。地元の水道水をPRすることや熱中症対策などが目的だ。

各地で給水スポットが広がる一方で、新型コロナで止まったままの給水スポットもある。

2021年2月、給水スポットを広げる活動を展開するRefill Japanに参加する全国の団体が行った合同調査によると、約半数の自治体が屋内施設(市庁舎、公民館、図書館等)に設置している冷水機を「感染防止のため使用停止」していた。

熱中症の予防にはこまめな水分補給が大切

そこで、水Do!ネットワークおよびRefill Japan参加団体は、冷水機を停止している自治体や施設に対し再稼動を要望している。

水Do!ネットワーク(Refill Japan運営事務局)「公共施設の冷水機の再稼動を!」

感染が心配されたものの、実際には冷水機等からの感染はこれまでに報告されていない。新型コロナウイルス感染症は5類に移行し、マスクなしでの会話、大勢での飲食、イベント等も制限がなくなった。

気象庁は「今年の夏は例年以上の暑さ」と予報している。熱中症の予防にはこまめな水分補給が大切。あなたのまちの給水スポットは止まったままになっていないだろうか。もし止まったままならば、健康維持の観点からも、給水サービスの再開を検討すべきだろう。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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