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広島東洋カープに入団のシャイナーとレイノルズは退団のマクブルームとデビッドソンよりパワーがあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・レイノルズ Feb 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ライアン・マクブルームマット・デビッドソンは、広島東洋カープを去った。ジェイク・シャイナーマット・レイノルズは、広島東洋に加わる。

 入れ替わり、と見ていいだろう。彼らは、いずれも右打者だ。基本的に内野を守る、という点も共通する。

 4人とも、入団直前のシーズンは、主にAAAでプレーした。そのシーズンのスタッツは、それぞれ、以下のとおり。

筆者作成
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 マクブルームとデビッドソンは、ホームラン1本当たりの打数(AB/HR)が13.5と10.1だ。ともに、14打数に満たない。一方、シャイナーとレイノルズは、15.3と20.2。どちらも、15打数を超えている。

 ISOの数値も、4人の順序は、打数/本塁打と変わらない。

 ISOの計算式は「長打率-打率」だ。長打率よりも、長打力を示すのに適している。例えば、すべてシングル・ヒットで10打数10安打なら、「塁打÷打数」の長打率は、長打がないにもかかわらず、10塁打÷10打数=1.000となる。一方、この場合のISOは、長打率1.000-打率1.000=.000だ。

 また、マイナーリーグ通算は、マクブルームが22.6打数/本とISO.196、デビッドソンが20.4打数/本とISO.208、シャイナーが24.2打数/本とISO.197、レイノルズは45.8打数/本とISO.150だ。

 入団直前とマイナーリーグ通算の打数/本とISOからすると、パワーに関しては、入団する2人よりも退団した2人のほうが上、となる。来シーズン、広島東洋でプレーする2人のうち、シャイナーの数値は、マクブルームとほぼ同水準だが、デビッドソンほどではない。レイノルズの数値は、デビッドソンだけでなく、マクブルームにも及ばない。

 もっとも、四球率を比べると、入団直前の数値は、入団の2人が退団の2人を上回る。マイナーリーグの通算も同様だ。マクブルームとデビッドソンの8.2%と9.6%に対し、シャイナーとレイノルズは10.6%と10.2%を記録している。

 なお、マクブルームは、昨シーズンが26.4打数/本、ISO.170、四球率10.2%で、今シーズンは、37.7打数/本、ISO.133、四球率10.8%だ。デビッドソンは、今シーズン、18.3打数/本、ISO.216、四球率5.8%を記録した。それぞれのシーズン本塁打は、17本と6本、19本だ。

 2022年のマクブルームも、2023年のデビッドソンも、広島東洋では最多のホームランながら、20本には届かなかった。ここ2シーズンとも、20本塁打以上の選手が皆無のチームは、パ・リーグを含めても広島東洋だけ。マクブルームとデビッドソンを除くと、シーズン15本塁打以上も、2022年に16本の坂倉将吾しかいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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