Yahoo!ニュース

NPOが信用保証制度を利用するにあたっては、基礎自治体の融資あっせん制度の確認を。

工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長
信用保証制度と基礎自治体の融資あっせん制度(写真:アフロ)

昨年10月より中小企業信用保険法が改正され、NPO法人も信用保証制度を利用可能になりました。こちらの記事「NPOも信用保証の対象に。これから金融機関に求められること。」でも触れましたが、制度改正から少しずつ実績も出てきています。

2016年2月23日の日本経済新聞でも記事掲載されています。

首都圏のNPO、資金借りやすく 信用保証の対象に

しかしながら、既に金融機関との付き合いのあるNPO団体では、信用保証制度を使うことで金利と保証料の総額が通常融資の金利総額より高くなってしまい、わざわざ利用する必要性がないということもあるようです。育て上げネットでも、昨年、信用保証を活用する際、その可能性がありました(結果としては少し安くなりました)。

この保証料にあたって、基礎自治体では保証料の一部を補助する制度があります。地元立川市では「立川市中小企業事業資金融資あっせん制度」として、融資実行後に保証料の2分の1を補助する制度があります。

先月、信用保証を活用した融資申し込みをした際、市の担当者からまだこの制度は活用できないと言われました。しかし、先週、改めて制度確認のため市のサイトを見ると、基本要件の「東京信用保証協会の保証対象業種を営んでいること」からリンクが貼られ、東京信用保証協会ホームページ「ご利用いただける中小企業とは」に誘導されます。

そこにはしっかりとNPO法人も一定の基準で活用が可能となっています

原則として中小企業信用保険法に定める中小企業者を対象としています。

常時使用する従業員数または資本金のいずれか一方が下表に該当していればご利用いただけます。

特定非営利活動法人(NPO法人)は、常時使用する従業員数が下表に該当していればご利用いただけます。

出典:東京信用保証協会

そこで改めて立川市産業文化スポーツ部産業観光課にメールで問い合わせると、折り返しのお電話をいただきました。立川市では3月1日に規則を改正し、NPO法人も制度活用ができるようになったということです。

いまのところ、対象の金融機関にその情報が必ずしも共有されていないということだったので、多摩信用金庫の担当者に連絡をして、市役所に確認してもらいました。周囲の同僚でもまだ市の規則改正の情報をキャッチしていないようで、早速共有していただきました。

今後、NPO法人で信用保証を使う場合、事業所のある基礎自治体に類似するような制度があるかの確認と、中小企業信用保険法の改正に併せて規則改正等が行われているかをチェックされることをおススメします。と同時に、金融機関の融資担当者に情報が入っていない可能性もありますので、適宜、コミュニケーションを取られるとよいと思います。

2月の融資申請だったため、今回、立川市中小企業事業資金融資あっせん制度は利用できませんでしたが、しっかり規則改正してくださった立川市の担当者に感謝します。

認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

1977年、東京都生まれ。成城大学中退後、渡米。Bellevue Community Colleage卒業。「すべての若者が社会的所属を獲得し、働くと働き続けるを実現できる社会」を目指し、2004年NPO法人育て上げネット設立、現在に至る。内閣府、厚労省、文科省など委員歴任。著書に『NPOで働く』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析』(バリューブックス)『無業社会-働くことができない若者たちの未来』(朝日新書)など。

工藤啓の最近の記事