【忘年会シーズン】運転代行を利用する際、知っておくべき3つの重要ルール
10月22日、札幌市ではしご酒をしていた24歳の父親が酒気帯び運転で事故を起こし、1歳の長男が車外に投げ出されて死亡するという痛ましい事故が発生しました。
北海道文化放送(UHB)のニュースによると、父親は2軒目の店へ移動するときには運転代行を利用していましたが、次の店に移動する際、代行車が来るまでの40分が待ちきれず、短い距離だからと自身がハンドルを握って事故を起こしたのだそうです。
一度目はきちんと運転代行を利用していたにもかかわらず、なぜ、飲酒運転をしてしまったのでしょう。わずか40分、その時間と引き換えに失った命の重さは計り知れません。
これから年末年始にかけて、お酒を飲む機会がますます増えることでしょう。運転代行も混雑し、待ち時間が増えるかもしれません。それでも決して早まることなく、ゆったりした気持ちで待つことが大切です。
運転代行業者に“違反行為”を強いていませんか?
「運転代行」とは、
『飲酒をされたお客さまに代わってお客様の車を運転し、「お客様とお客様の車」をご自宅まで安全にお届けする交通サービスのこと』(公益社団法人全国運転代行協会のツールより抜粋)
と定義づけされています。
また、運転代行の普及は『飲酒運転根絶』にも大きく貢献しています。
もちろん、運転代行業は法律によって厳しいルールが定められているわけですが、あなたは知らないうちに、代行業者に違反を強いるような行為をしていませんか?
違反行為が行われた場合は、万一事故が起こったとき、保険が支払われないなど重大な問題につながりかねません。
自分の身を守るためにも、早速、チェックしてみましょう。
1)「随伴車」に乗ってはいけない
客(利用者)を随伴車に乗せることは「白タク」行為とみなされる可能性があります(道路運送法第4条第1項)。
例えば、代行業者に飲食店まで迎えに来てもらい、自分の車が停めてある駐車場まで随伴車に乗せてもらうことは、わずかな距離であっても許されません。
また、代行業者が客車の運転席に座ることで定員オーバーとなっても、客車に乗れなかった利用者が随伴車に乗ってはいけません。
随伴車は「タクシーではない」ということをしっかり認識しておきましょう。
2)「自車」だけを運んでもらってはいけない
中には、車を停めている駐車場から自宅まで、「車のみを運んでください」と代行業者に依頼する人がいるようですが、これは運転代行業者に依頼する仕事ではなく、「陸送」にあたります。(「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」第2条第1項各号)。
万一、それを引き受けた代行業者が車のみを移動中に事故を起こした場合は、運転代行用の保険が適用できません。
3)安さだけで選んではいけない
利用者としては、もちろん安いに越したことはありませんよね。その気持ちはよくわかります。
しかし、ここで冷静に考えてみましょう。
周りの業者と比べて極端に安すぎる業者や、値切りに安易に応じる業者は、薄利多売でなければ業績が上がりません。そのためには必然的に業務の回転を上げる必要があります。その結果、スピード出しすぎにつながり、現実に重大事故が発生する要因のひとつになっているそうです。
2017年4月、国土交通省は「料金制度に関するガイドラインの策定」を公表し、「正当な理由がなく、著しい低料金で運転代行サービスを提供し、ほかの事業者の活動を困難にさせる恐れがあるものについては、独占禁止法の不当廉売に該当する場合がある」という注意喚起を行いました。
また10月には、利用者保護の観点から「運転代行の最低料金」を導入する方針を定め、来年度に基準が策定されることになりました。
国交省では、料金を明確化するために、2020年までに運転代行業者にもタクシーと同じような料金メーターの設置義務付けを検討しているそうです。
あなたは、「安さ」と「安全」、どちらを選びますか?
今回は運転代行を利用する側の立場から、「運転代行の適正利用」について考えてみましたが、逆に言えば、ここで挙げたような利用者側のわがままな要望を素直に聞き入れる業者は一見、親切そうに見えます。しかし、自身を守るためには、順法精神の無い悪質な業者かもしれないという疑いを持つ必要があります。
では、信頼できる運転代行業者はどのように選べばよいのでしょうか?
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