レッドソックス・澤村拓一の複雑な契約内容を解説。今季の年俸は、元広島・ブレイシアを超える可能性大
これまでは2年総額300万ドル(約3億1500万円)、最大で3年総額765万ドル(約8億325万円)と報じられてきたが、その契約内容は「複雑で特殊」とだけ言われていた。
澤村の「複雑で特殊」な契約内容の詳細をAP通信が2月19日に報じている。
2年240万ドルの基本年俸が300万ドルになるカラクリ
まず基本年俸だが、サンケイスポーツが2月11日付けで報じた年俸120万ドル(約1億2600万円)の2年契約がベースとなる。
これだと2年総額240万ドル(約2億5200万円)だが、300万ドルになるカラクリは次のような仕組みになっている。
契約3年目となる2023年シーズンは、球団と澤村の両方がオプション権を持つ「相互オプション」となっているが、もしも両者ともに3年目の契約を破棄したときには60万ドル(約6300万円)の契約解除金(バイアウト)が付いている。このために、2年で契約を打ち切ったとしても、2年間の合計年俸240万ドルに契約解除金の60万ドルを足した300万ドルを手にできる計算となる。
60登板で25万ドルの出来高
続いて出来高だが、35、40、45、50、60登板を達成する度に5万ドル(約525万円)のボーナスが与えられる。
シーズン60登板を超えれば、基本年俸120万ドルに25万ドル(約2625万円)のボーナスが加算され、年俸は145万ドル(約1億5225万円)にアップする。澤村のNPBでの昨季年俸が1億5400万円だったので、出来高を満額で得ることができれば、昨季とほぼ同額を手にできる。
ちなみに岡島秀樹がレッドソックス1年目だった2007年は66登板したので、澤村にとって60登板は十分に達成可能な数字。
佐々木主浩(2000年、シアトル・マリナーズ、63登板)、大塚晶則(04年、サンディエゴ・パドレス、73登板)、斎藤隆(06年、ロッテ・ドジャース、72登板)、平野佳寿(18年、アリゾナ・ダイヤモンドバックス、75登板)がメジャー移籍1年目に60登板以上を記録している。
メジャー1年目から元広島のブレイシアの年俸を超える可能性大
日本球界から戻ってきた2018年からレッドソックスのブルペンで中心的存在を担い、18年の世界一に貢献して、過去3年連続して二桁ホールドを記録しているライアン・ブレイシアの今季年俸は125万ドル(約1億3125万円)で出来高設定はないので、澤村はメジャー1年目に35登板すればブレイシアの年俸に並び、40登板以上でブレイシアを上回る。
登板数によって増える契約解除金
契約3年目は相互オプションで、オプションを行使されなかった場合の契約解除金は60万ドルだと説明したが、この契約解除金は1年目と2年目の登板数によって増える契約になっている。
澤村が2022年の開幕戦までチームに留まった場合、21年か22年に35、40、45、50登板する度に契約解除金が10万ドル(約105万円)ずつ加算されていく。
2023年の年俸は60万ドルか300万ドル
澤村が2023年もチームに残った場合の年俸だが、チーム側がオプションを行使して残留させた場合には年俸300万ドル(約3億1500万円)、澤村側がオプションを行使した場合には年俸60万ドル(約6300万円)となる。
澤村が2022年の開幕戦までチームから解雇されなければ、23年の年俸は60万ドル増しになり、契約解除金も同じく60万ドル増額される。
最大で3年総額675万ドルのシナリオ
この複雑な契約で満額を勝ち取るには、まず21年と22年に60試合以上に登板して、最初の2年間で290万ドル(約3億450万円)を得る。
2年間活躍した澤村に対して、球団は3年目のオプションを行使。23年の基本年俸は360万ドル(約3億7800万円)となり、この年も60試合以上に登板すれば25万ドルの出来高を手にできるので、年俸は385万ドルとなり、3年間で最大675万ドル(約7億875万円)を稼ぎ出す。(当初の報道では最大765万ドルと報じられていたが、AP通信の報道によると最大で675万ドルになる)