ナイキがメタバース内の靴販売の商標を日米で出願
ちょっと前の話になりますが、10月末頃から、米NikeがUSPTO(米国特許商標庁)に対して、メタバース内での商品販売のための商標登録出願を行っていたというニュースがありました(参照記事"Nike is quietly preparing for the metaverse"(CNBC))。たとえば、有名なナイキロゴ(出願番号:97096366)、NIKEの文字商標(97095855)、Air Jordanで使用されているマイケル・ジョーダンのシルエットのマーク(97096945)等々の商標が以下の指定商品・役務で出願されています。
日本ではどうかと思って調べると何と同じ商標群が既に出願され、公開されていました。ナイキマーク(商願2021-132597)、NIKE文字商標(商願2021-132593)、マイケル・ジョーダンのシルエット(商願2021-132596)等です。
指定商品・役務は以下のとおりです。
米国と同等の記載に「コンピュータプログラム(記憶されたもの)」といった包括的かつ特許庁の標準に合致した記載が加えられています。なお、米国の商標制度では、実際に使用している商品しか商標登録できないことにより、このような包括的記載はできません(用途を限定せよとの補正指令が来ます)。
「仮想商品」という記載は日本の商標登録出願では実績がないので、審査段階で不明確として拒絶される可能性がありますが、その場合は単に補正で削除すれば問題ありません。9類で言えば、「コンピュータプログラム(記憶されたもの)」という包括的記載が残りますので結果的に仮想商品についてもカバーされます。
物理的な商品(たとえば、25類の靴)しか指定していない商標登録によって、メタバース内での商品販売に効力を及ばせるのは難しいと思いますので、メタバース内での商品販売を想定した商標登録出願を検討中の日本企業の皆様はこのナイキの出願を参考にされると良いのではないかと思います。