彦根市への愛が詰まった「琥珀糖」寒天、砂糖、鹿の子豆で表現された彦根城と茶の湯文化
ひこにゃんでもお馴染み、滋賀県彦根市にお店を構える創業1953年の和菓子屋「菓心おおすが」さん。彦根城や玄宮園から徒歩20分少々と、観光ついでのお散歩にもぴったりなロケーションのお店です。
商店街の通り沿いに姉妹店の洋菓子のお店も構えるほか、洗練された店構えも魅力的なお店となっており、若い方もふらりと立ち寄りたくなるような雰囲気も人気の理由のひとつ。
販売されている和菓子たちは、茶の湯文化が根付く彦根市にも相応しい上品な上生菓子はもちろん、和の材料だけではなく、和洋の持ち味をうまく掛け合わせつつも、伝統的な製法や技法を用いたお菓子が沢山。
彦根市の魅力を取り入れた和菓子の中から、今回は「金亀」をご紹介。
金亀(こんき)、と申しますのは、彦根城の別名が【金亀城】と呼ばれていることから。その昔、築城前に彦根山には金色の亀に乗った観音様が祀られていたといういわれという説があります。
舟形の琥珀糖に閉じ込められた鹿の子豆(鹿の子豆⁼小豆の蜜煮)がぼんやりと透ける、なんとも涼し気なお菓子。
乾燥させて浮かび上がる模様を亀甲模様に見立て、「金亀城」を表すように金粉をのせて仕上げたという、なんとも風流で雅な一品。西日や月光に照らされる彦根城は大変美しいと評されていることもあるのでしょうか。
色合いも見た目もシンプルですが、そこに込められた彦根城という意匠の意味合いに思わず唸ってしまうほど。
砂糖衣はやや厚めですが、ぱりぱりっと心地よく砕けていく軽やかさ。寒天も甘すぎず、ほろりと口の中でほどけていきます。
中の鹿の子豆がまた、素朴な味わいとほくほくとした食感で美味しい。食べ応えがありながらも、噛むたびにじんわりと広がる小豆の優しい甘味にどんどん進みます。砂糖衣や寒天の、いわゆるお砂糖の甘味とはまた異なる自然な旨味が、相乗効果によってそれぞれの良さを引き出しているかのよう。
ぱりぱり、ほろほろ、ほくほく、と三種類の食感を一度に満喫できる、楽しい食感の大ぶりな琥珀糖でした。
包を開いていく過程も楽しい金亀。同封されている花の紋は「彦根橘」といい、彦根城を居城とした井伊家の家紋。お菓子と対面する前から、彦根市への愛情が感じられる和菓子でした。