仕事の生産性が高い人は「すぐやる」だけでなく、「すぐ知る」技術を持っている
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。「絶対達成」をスローガンにしているおかげで、このフレーズが好きな人たちが私の周りに集まってきます。ほとんどの方は気合が入っており、どちらかというと、グダグダ迷わずに、まず行動するタイプの人が多いと言えるでしょう。
しかし行動スピードが速すぎるせいなのか、何も考えず、手当たり次第に思いついたことをやる人もいます。傍から見ていると、微笑ましいぐらいにスピードが速いのですが、やっていることがメチャクチャで、遠回りしているどころか、「このままだと自分がたどり着きたい場所へゴールできないのでは?」と疑いたくなる人もいます。
たとえば東京から大阪まで行くにはどうしたらいいか? と考えたとき、「グダグダ考えていても仕方がない。とにかく大阪方面へ走ってみよう」と言いだす人がいたらどうでしょうか。「飛行機や高速バスという手段もあるが、新幹線で行くのが一番いいだろう」と思いつくのが普通の感覚です。それぞれの手段の特徴やメリットを知っているからです。
仕事をしている場面で考えてみましょう。
たとえば、上司から会議資料を作ってくれと言われて、すぐに取り掛かって作ってみました。しかし、できあがったのは上司が期待した通りの出来栄えではありません。「全然ダメ。会議資料の作り方も知らないのか!」と怒られます。「上司が期待していること」「会議資料の作り方」を知らないことが問題なのです。「すぐやる」のはいいのですが、その問題を解決するための方法を「すぐ知る」技術を手にしていると、仕事の生産性は格段に上がります。
解決方法を「すぐ知る」ためには、「問い」のレベルを上げることです。
私はいつも4W2Hの疑問詞で「問い」をする習慣があります。「いつ」「誰」「どこ」「何」「どれぐらい(回数)」「どのように(方法)」の6種類です。(「なぜ」は含めません。なぜこれをやるんだと自問自答していると、思考が内側に入ってしまい、前へ進まなくなる可能性があるからです)
知りたい物事によって、これらの疑問詞をピックアップして「問い」をします。上司から依頼された会議資料のケースでいえば、「資料をどのように作れば一番いいのか?」「上司の期待にこたえるには、誰に確認すれば一番いいのか?」この2つです。キーワードは「一番」です。一番いいのは何か? を常に問い掛けるのです。
「上司に依頼されたのだから上司に聞くのが一番いいのはわかってるけど、先輩のほうが聞きやすいから、一度先輩に聞いてみよう」
せっかくすぐやる習慣があっても、こういう思考パターンだと、遠回りをするだけです。
「どういう会議資料を作ったらいいか悩んでるの? だったら、過去の会議資料が格納されているディレクトリがあるから、そこを見てみたら?」
などと、妙なアドバイスをされたら最悪です。先輩の助言通り、そのディレクトリにアクセスしようとしてみると、アクセス権限がないことがわかりました。仕方なく、情報システム部に問い合わせると、「アクセス権限が必要なら、管理部に申請してよ」と言われてしまいます。これではなかなかゴールに到達しません。
いつが一番いいのか? 誰が一番いいのか? 何が一番いいのか? どの方法が一番いいのか? ……この問いを繰り返して、自分なりに一番いい解決策を知ることが重要です。そして「すぐやる」のです。
当然、頭の引き出しにある選択肢が少なければ、それが「一番」にはならないかもしれません。しかし、それでもいいのです。今考える得るすべての選択肢の中で「一番いいのは何か?」を問い掛けるのです。たとえ東京から大阪まで行く方法において、「新幹線」という手段を知らなくて、飛行機や高速バスをチョイスしたとしても、後で知人から「それだった新幹線のほうがよかったのに」と言われれば、「なるほどそうか。新幹線という手があったか」と、選択肢が増えることになるからです。
行動スピード、意思決定スピードが速いのはいいのです。すぐやる習慣があることはとても大切です。しかし、すぐやる習慣がある人は、やたらめったら反射的に行動するのではなく、【1分】でいいので「問い」をしてみましょう。4W2Hの疑問詞を駆使して、今考えられる「一番いい」やり方を知ることです。自分の中に「問い」に答えられる選択肢が増えていけば、行動スピードが速いだけでなく、結果を出すスピードも飛躍的にアップします。