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増殖を続ける巨大テクノロジー企業、アマゾンは高層ビル建設や海外雇用拡大を計画

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
写真出典: Amazon.com

 昨今は、米フェイスブックや米アップル、米グーグルなどのシリコンバレーを本拠地とする巨大テクノロジー企業が重心を移し、東部ニューヨークや南部テキサスなど、さまざまな都市に入り込もうとしている。

ニューヨークの拠点や第2本社、テキサスで雇用拡大

 そうした中、西海岸のシアトルに本社を置く米アマゾン・ドット・コムも同様に、さまざな都市に拠点を設け、その規模を拡大している。

 同社は今年2月、住民や地元の政治家の反対に遭い、ニューヨークの第2本社計画を撤回した。しかし、この拠点の新社屋は諦めるものの、今後も引き続き同地域で雇用を拡大していく計画だ。

 現在同社はブルックリン、マンハッタン、スタテンアイランドといった地区で5000人以上を雇用しているが、これらのオフィスで雇用を増やしていく。

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 一方で第2本社として選んだもう1つの拠点である首都ワシントン近郊の計画は、着々と進めている。

 こちらはバージニア州アーリントンのクリスタルシティーとペンタゴンシティー、そしてポトマックヤードなどから成る再開発地域で、アマゾンの誘致を機に、「ナショナル・ランディング」と名付けた。この名称は近隣にある「ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港」に由来しているという。

 アマゾンは今年3月、テキサス州オースティンのテクノロジーハブで新たに800人の技術職を雇用することも明らかにしている。来年には、より規模の大きなオフィスに移転するという。

英国でも新規雇用、年内に正社員約3万人に

 7月3日、アマゾンは英国ロンドンで雇用を増やすとことを明らかにした。年内に2000人以上の正社員を新規雇用するというもので、年末までに同国の正社員数を約2万9500人にする。

 英国における職務の分野も非技術系業務をはじめ、エンジニアリングやソフトウエア開発、データサイエンス、クラウドコンピューティング(Amazon Web Services:AWS)、マシンラーニング(機械学習)など多岐にわたる。

 ロンドンにある英国本社や研究開発施設、AWS部門のほか、ケンブリッジとエディンバラの開発センターでも技術者などを雇うという。

43階建てのオフィスビルを計画

 米CNBCはアマゾンがワシントン州で、高層オフィスビルの建設を計画していると報じた。

 その場所はアマゾンの本社があるシアトル市の東に位置するベルビュー市。ビルは43階建てで、高さは最大約183メートル。延べ床面積は約9万2900平方メートル(東京ドーム約2個分)で、従業員の収容人数は数千人。2024年の完成が見込まれている。

 巨大なオフィス施設となるため、同社は市と連携して都市交通システム(LRT)の路線拡張や新駅開設などを進める計画だ。

  • (このコラムは「JBpress」2019年7月5日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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