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2連敗後の3連勝で王手をかけたミルウォーキー・バックス

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
第5戦でも32得点9リバウンド6アシストの活躍を見せたヤニス・アデトクンボ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンのNBAファイナルは、西地区を制したフィニックス・サンズが、まずは2戦2勝とリードした。ミルウォーキー・バックスは、東地区ファイナル第4戦でエースのヤニス・アデトクンボが左膝の前十字を負傷したため、劣勢が予想された。

 サンズが2連勝した折、スイープでVを飾るのではないか、と語る者もいた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 しかし、アデトクンボは試合を重ねる度に本領を発揮。現地時間17日に行われた第5戦でも、32得点9リバウンド6アシストで勝利に貢献した。第5戦において、ケガの影響は感じさせなかった。

 この日、1Qから2Qの残り6分ほどまではサンズのペースだった。が、アデトクンボの闘志が自軍に流れを引き寄せる。象徴的だったのが、1Q残り5分を切り、9ポイントのビハインドを負っていた局面だ。サンズのエース、デビン・ブッカーがフリーでダンクを決めた際、アデトクンボは見送らずにハーフラインの後ろから全力疾走で止めに入った。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 第5戦のブッカーは、40得点と大暴れ。無論、両チーム通じて最多得点である。32得点のアデトクンボがこのゲームで2番目のスコアラーとなったが、得点を許しながらも、絶対に止めてやる! という執念のワンプレーがチーム全体に火をつけた。

チーム最長の44分23秒プレーしたミドルトン
チーム最長の44分23秒プレーしたミドルトン 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 バックスは、クリス・ミドルトンが29点、ドリュー・ホリデーも27点を挙げ、123-119でサンズを振り切る。

 ブッカーはアデトクンボを「彼は異次元だ」と脱帽しながら評した。

ホリデーも41分57秒出場し、27得点
ホリデーも41分57秒出場し、27得点写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ファイナルの途中から、あまり存在感を示せていないのが、サンズの大ベテラン、クリス・ポールだ。NBA入りしてから16年をかけて、ようやく夢の舞台に立ったポールの奮起を期待したい。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210702-00245887/

35分21秒コートに立ち、21得点11アシストのポール
35分21秒コートに立ち、21得点11アシストのポール写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 現地時間20日に行われる第6戦で、バックスが地元ファンの前で優勝するか。あるいはサンズが粘りを見せるか。

 熱いNBAファイナルもついに終盤である。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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