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藤井聡太銀河、銀河戦ベスト8進出 斎藤明日斗五段の早い仕掛けに応じて快勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 第31期銀河戦は決勝トーナメント1回戦の放映が終わりました。

 2年連続3回目の優勝をねらう藤井聡太銀河は、斎藤明日斗五段戦と対戦しています。

 振り駒の結果、斎藤五段が先手。相掛かりの立ち上がりから、斎藤五段は得意のひねり飛車に進めました。対して藤井銀河は自然に駒組を進めていきます。

 35手目。斎藤五段は玉の整備にはほとんど手を入れず、気合よく端9筋から歩を突っかけていきます。いかにも深い研究に基づいた、現代流という動き方。ひねり飛車は昭和の昔から見られる戦型ですが、こうした筋は初めて見たという方も多かったことでしょう。

斎藤「考えたことはあった図だったんです」

 斎藤五段は桂を跳ね捨て、果敢に攻めていきます。対して藤井銀河は自然に応じ続けたあと、52手目、軽く7筋の歩を突き出し、反撃に出ました。

藤井「どのぐらい効いているか、微妙かなと思ったんですが」

 しかしこれもさすがという一手。斎藤五段は考えた末に攻め合いを断念し、辛抱しましたが、藤井銀河の方には桂得の実利が残り、わずかに差がつきました。

 ゆっくりとはしていられない斎藤五段は、さらに動いていきます。しかし藤井銀河は堂々の指し回しで、優位を広げていきました。

 最後は藤井銀河が斎藤玉をほぼ受けなしに追い込んだところで、斎藤五段が投了。82手と比較的短手数で、藤井銀河の快勝となりました。

斎藤「ちょっと仕掛けが問題があったかもしれないですね。けっこう似た形が多くて、ちょっと整理できてなかったところが」

藤井「こちらは収まると思ったところでいきなり仕掛けられて。けっこう怖い展開にしてしまったかなと思っていました」

 将棋界のあらゆる栄冠を手中に収めようかという勢いの藤井銀河。銀河戦2回戦(準々決勝)では千田翔太七段と対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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