片づけのプロがたどり着いた、映えない地味すぎる「暮らしと人生」の整え方
世の中にはすぐ簡単にできる片づけや暮らしの情報が溢れています。
うまくいった人の事例もたくさんありますが、片づけや暮らし方には正解や不正解はなく、本当にうまくいくのは「自分にとって必要なモノを選ぶ」という地味な自分の活動を積み重ねた人です。
本当に問題なのは、片づけられないことではない
私はこれまで10年間の活動の中で「片づかない」「片づけられない」「どうしていいかわからない」と言う声を聞いてきました。
収納場所や収納スペースの量、動線、家族との関係などの問題は色々ありますが、一番大きいのは「自分にとって必要なモノを選ぶ」という土台を軽視していることです。
「家がいつまでたっても片づかない」という40代の女性。子育てや仕事、実家の用事で忙しく家のことをゆっくり考える余裕はありません。
思いついたら何でもすぐ買い、その割に捨てることをしないため、家には同じようなモノがあふれ、どこに何がどのくらいあるのかを把握していません。
このような家庭は多く、収納場所、収納スペースの量、動線といった問題をまず気にして、誰にでもすぐ簡単にできる情報に答えを求めたがりますが、
実際はそれ以前の問題で、自分(我が家)に必要なモノを考えていない、もしくはわかっていないのです。
お気に入りの服も、いつ買ったか覚えていない服も、買ったのに着ていない服も、着たけどあんまり好きじゃなかった服も、痩せたら着る服も、すべて「服」というカテゴリーで考え、クローゼットに全部収めようとして失敗しているのです。
モノの存在より一つ一つのストーリーに注目する
モノにはストーリーがあると言われます。
買ったのに着ていない服は、「買ったのに着ていない」ことがストーリーですが、
深く掘り下げてみると
お店で一目ぼれして買ったけど、家で着てみたらちょっと派手で家族の反応もあまりよくなかった。外に着ていく勇気もなく、かといって捨てるのはイヤなので、ずっとそのままだった…
このストーリーに向き合うことで
せっかくなら着てみたいから、落ちついた印象で着ることができるように合わせるアウターを考えてみよう。
もし着れないようだったら、このまま取っておくのはもったいないから、着ることは諦めてフリマアプリに出品してみようか
という次の行動につながります。
モノの存在そのものより、モノとそれを手にする人の間にあるストーリーを深掘りすることで、自分の感情と向き合い、今自分にとって必要なモノが見えてきます。
そして、いつもキレイに片づいている人は、その地味な活動をコツコツ続け、今の自分にとって必要なモノをわかっているので、
それらを使いやすくするために、世に溢れる便利な収納ワザやテクニックを活用しているのです。
「選ぶ」という地味な活動は人生100年時代において大きな意味をなす
SNSの影響で、人の暮らしがよく見えるようになった今、気がついたら自分の暮らしと比べてしまいます。
「なかなか片づかない」「どうしてうちはいつも散らかっているのだろう」と思うと不安になり、誰でもすぐ簡単に片づくという手軽な情報に答えを求めてしまいます。
しかし残念ながらその効果は一瞬だけで長続きはしません。
人生100年時代といわれる今、人生は長期戦です。
子どもはあっという間に成長し、自分の体も変化し、仕事やこれからやることも変わり、私たちは多くの変化を経験するようになります。
その変化に応じ「今、自分にとって必要なモノを選ぶ」というアップデートを繰り返さなくてはいけません。
スマホもアップデートをしないままだと、不具合が起こりやすくなるように、モノも見直さないと、収納場所からあふれて、どこに何があるかわからなくなり、どんどん使いにくくなります。
「今、自分にとって必要なモノを選ぶ」というのは、とても地味な活動ですが、自分という人生を作っていくための地道な活動の一つです。
「選ぶ」という地味な作業に大きな価値を見いだし、コツコツと積み重ねる人と、なんとなくモノを手に入れ続け、簡単に手に入る情報でとりあえず処理しようとする人の差は、その人の暮らし方や生き方に現れるでしょう。
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選ぶ暮らしラボ 藤原友子(ふじわらゆうこ)
1975年生まれ 大分県在住 結婚後片づけを始める。2012年整理収納アドバイザー1級。CTB生放送102回9年間出演。セミナー回数100回、受講生2000人以上で片づけの概念が変わると高い評価を受けている。長男との片づけバトルでモノを「選ぶ」ことの重要性に気づき、モノや暮らしを「自分軸で選べる人」を増やすために活動中。
二男二女の母で「いつもキレイではないが、すぐに片づく家」で暮らしている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』