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【速報】カジノ法案、いよいよ国会提出 *)ただし維新によって

木曽崇国際カジノ研究所・所長

いやいや、盛り上がってまいりました。以下、日経新聞よりの転載。

維新、カジノ法案を衆院提出

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0702N_X00C13A6PP8000/

日本維新の会は7日、カジノを含む統合型リゾートの推進に向けて、政府が指定した地域と事業者に限りカジノの運営を認める法案を衆院に提出した。内閣に本部を設置し、政府が法律の施行後1年以内をめどに必要な法整備をするよう定める。…

何とも維新らしいというか何と言いますか、多くの維新の議員も加盟する与野党にて形成された超党派議連がすでに立ち上がっている中での独走であります。今回、維新が国会提出を行ったカジノ法案は、民主党政権下の超党派議連の中で作成が行われたもの。それに数か所の変更を加えただけのものを「維新の独自案」として提出するという「トンビが油揚げを掻っ攫う」が如き政治手法には、当然のことながら今後、議連の中に大きな混乱を生むことは必至であります。

またそういう政治家の面子的なお話は置いておいたとしても、今後のカジノ法案の合意点をどこに集約させてゆくのかという非常に実務的な問題も出てきます。超党派議連は、この春に行われた会合にて参議院選の終わった後、今秋の臨時国会への法案提出をしたいとの意向を示しておりました。しかし、その前に維新が独自法案を提出してしまった。当然、維新から議連に参加する議員は「維新案」を推しますから、議連案を推すその他議員との間で二つに割れる。それをどのように調整するのか…非常にかじ取りの難しい局面となります。

ただ、これまでもこれは何度も書いてきましたが、民主党政権下で誕生した超党派議連の動きには、法案の中身はもとより、ここに至るまでの経緯など、様々な「曰く」が存在しています。今回の維新の非常に強引な法案提出も、ある意味起こるべくして起こったものでありますから、政権が自民党に移った現在、現・与党を中心とした活動として再度整理を行う必要はどのみち必要であったかと。。その辺に関しては、以前かなり詳細にまとめたことがありますので以下のリンク先をご覧ください。

日本でカジノが合法化されない理由

http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/7756137.html

今回の維新の動きはカジノ合法化全体の進捗において混乱であるのは間違いないですが、私として「塞翁が馬」的に楽観的な捉え方をしているのは、議連そのものの存在とは別に現・安倍政権がカジノに関して非常に前向きな意向を示して動いているのが明確に見えているからでしょうかね。現政権におけるカジノ合法化の検討は、内閣直下に置かれた観光立国推進ワーキングチームと国家戦略特区ワーキンググループの中に移っておりますが、さらなる内閣主導の力強い動きに引き続き期待したいものです。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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