ひとり10万円の特別定額給付金、子どもにあげるべきか、親が使うべきか
定額給付金の手続きが始まる
新型コロナウイルスの経済に与える深刻な影響を鑑み、ひとりあたり10万円の特別定額給付金の取り組みが始まります。
総務省 特別定額給付金ポータルサイト
5/8 共同通信 84市区町村で10万円支給開始 オンライン申請は51万件
詳しくは上記総務省のポータルサイトを確認いただきたいのですが、ポイントをまとめると
- 4月27日時点で住民票がある人が対象
- 世帯主に連絡が届く
- 郵送ないしオンラインで手続き(オンライン手続きはマイナンバーカードが必要)
- 1人あたり10万円が給付される
- 給付額は非課税
- 受付開始から3カ月までに手続きをすること
ということになります。詳しくは解説記事も多く出ていますので、参照をしてください。
今回、世帯主に連絡がきて、住民票に記載の家族の人数×10万円が給付されるわけですから、シングル世帯なら10万円、子どもふたりの夫婦なら40万円が入金されることになります。
世帯の人数が多いほど、給付金額も増えることになりますが、家族にとってはちょっとした悩みが増えることになります。つまり、
「子どもの10万円、どうするか」という問題です。
ひとり10万円ということは、家族の場合悩みがひとつ「子どもの10万円、どうするか」
今回の特別定額給付金は、すでにニュースで話題となっています。ある程度の年齢に達した子どもなら、知っていてもおかしくはありません。むしろ、子どものほうから「いつ10万円もらえるの?」と質問されるかもしれません。
一方で「この40万円(子どもふたりの夫婦の場合で)で、なんとか数カ月をしのぐつもりだから、渡せるお金なんてない!」と心の悲鳴をあげている親もいるでしょう。
あるいは、子どもは成人している場合でも、世帯単位で手続きするので、親がまとめて請求するケースも考えられます。
そこで、今回は4つのケースに分けて「子どもに渡すかどうか」を整理してみましょう。頭の整理に使ってもらえればと思います。
ケース1)家計が厳しい場合は、無条件で親が使うべき
最初の判断軸は「収入減の世帯」についてです。それこそ働けなくなって収入が半減あるいはそれ以上減っていいる場合、給付金の本来の狙いであるところの生活費用の補てんに用いることで問題ありません。
収入ゼロというわけではなかったとしても、油断は禁物です。数割の収入ダウンが何カ月も続けばあっという間に数十万円くらいになります。少しでも年収が下がっているなら、子どもにおこづかいとして渡す選択肢は封印しておくべきでしょう。
もし、将来的に余裕が残ったら、その資金で何か買い物やお出かけをプレゼントしてあげればいいと思います。
ケース2)子どもが社会人であれば、使い道は子どもが自ら決めるべき
次の判断軸は「子どもが社会人であるかどうか」です。今回の手続きは世帯主に通知をする方法をとっています。これは事務処理の効率化を現実的に考えるとおかしくないやりかたです。しかし、新社会人になってひとりで稼いでいる子どもについても、親の住民票にまとまって案内が届くことになります。
この場合、原則としては「給付金は子どもに渡す」とすべきでしょう。世帯主に入金されたあと、子どもに渡してあげてください。使い道も本人が決めていいと思います。
ただし、親子が同居している場合、親が子の生活費用の多くを負担しているケースがあります。親の生計に支障が生じていて、子どもへの食費負担等が厳しくなっているのであれば、これは話は別です。子どもと相談のうえ、給付金を「生計費として家に入れる」という選択を考えてみてください。
ケース3)未就学児から小学生くらいまでは、親が管理して使い道を考える
次に判断がしやすいのは、「子どもがまだ小さい場合」です。具体的には未就学児である場合と小学生の場合です。いずれも10万円を自ら使う判断ができる年齢ではないですから、親が預かってお金の使い道を判断してもいいでしょう。たとえば、
- 預かって将来のために残しておく
- 預かって一部分を子どものために使う(Switchを買ってあげるとか)
- 預かって、日常の生計費に充当する
の、いずれの選択肢もありうると思います。収入減の家庭については、気にすることなくこれを生計費に充当すればいいでしょう。
ここまで子どもが巣ごもり生活でストレスもたまっています。Switchを買ったり、テレビを大画面に買い換えてNetflixを契約したり、子どものために給付金の一部を使ってあげるというのもいいでしょう。
あるいはすぐにお金を使わず、今回の騒動が本当に落ち着いたときに家族旅行にいく原資にするなど、消費貢献するようなことが考えられます。
ケース4)悩ましいのは中学から大学まで、子どもと一度話し合いが必要か
さて、もっとも難しいのは、子どもがそれなりの年齢に達していて、ニュースで給付金のことを知っていて、「ぼく(わたし)は10万円もらえるんだよね?」と聞いてきたような場合です。
繰り返しますが、収入減の家庭ではしっかり子どもと話し合って、給付金は親が受け取っていいと思います。しかし、収入減少の影響がない家庭の場合、子どももなかなか納得してくれないでしょう。そうなると、
- 親が預かってイベント等を企画して支出する
- 子どもに一部を渡して自由に使わせる
- 子どもに全額渡して自由に使わせる
などを、子どもの年齢、親の家計状況などを判断しながら考えていく必要がありそうです。
ただし全額を渡すとしても、今回の給付金のねらいや、全国で苦しんでいる人の状況、またその10万円を消費することがいかに経済にとって助けとなりうるか、などを説明をしたうえで渡してあげたいものです。
そしてそのうえで、使い道についてはできるだけ自由にさせてあげたいものです。(親としてはたぶん、「なんでそんなものを買うのか」と思うかもしれませんが、むしろ不要不急のものを買ったとしても、それでいいのです)。
お金のこと、経済のこと、社会のことを話し合うきっかけにしてみよう
さて、4つのケースに整理して「特別定額給付金の10万円を子どもに渡すかどうか問題」の判断方法を考えてみました。
実際にみなさんの手元に10万円が届くのはこれからですが、「……実は子どもに渡すべきか悩んでいた」という人の頭の整理になればと思います。
そして、子どもの給付金の取り扱いがどうなったとしても、こうした難しい時局にあるときこそ、子どもとお金について話し合うきっかけにしてほしいと思います。
給付金そのものについて、経済が受けている影響について、社会の変化について、いろいろ話すテーマはあるはずです。
もしかすると、質問をされて親としても答えが定まっておらず、返事に窮することもあるかもしれません。しかしそれを正直に伝えることもまた、有意義な「生きたお金の教育」ではないでしょうか。