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早稲田大学復活担う山下大悟新監督、夏を振り返る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
サントリーの監督とキャプテンだった頃のヤマハ清宮監督(右)と山下監督(左)・(写真:アフロ)

大学選手権では歴代最多の優勝15回を誇る早大は、今季、山下大悟新監督のもと9季ぶりの学生日本一を目指している。

始動後最初の公式大会である関東大学春季大会グループBでは1勝4敗、平均失点40.6と苦しんだが、チーム始動時から取り組んできたフィジカル強化と食事改善、組織守備の徹底を7月以降に反映させる。

8月9日の長野・菅平での合宿で、大学選手権7連覇中の帝京大学、同昨季準優勝の東海大学と練習試合をおこなった。試合のスコアはそれぞれ22―47、19―52も、主力組を出場させた前半のスコアはそれぞれ10―12、19―12としたことに手応えを掴んだ様子。秋に開幕する関東大学対抗戦Aに向け、収穫と課題を得たという。

3日には2014年度日本選手権王者のヤマハの控え組と練習試合をおこなう(東京・早大上井草グラウンド)。

清宮克幸監督(現ヤマハ)時代の2002年度主将として選手権優勝を果たした山下は、前年度まで日野自動車の選手として活動しながら母校ラグビー部をサポート。今季から満を持して監督となっていた。9月1日、都内であった関東ラグビー協会体制発表会にて単独取材に応じた。

以下、一問一答(編集箇所あり)。

――帝京大学戦と東海大学戦。いかがでしたか。

「帝京大学戦をターゲットにしていて、そう準備をして戦ったことで見えたものはありました。もっと言うと、ここで大敗したら今年は『ないよ』と選手にも伝えていました。その意味では…いい点も、悪い点も見られた。非常にポジティブなフィードバックが見られた。

東海大学戦に関しては、7月3日の練習試合(7―36)ではスクラム、ブレイクダウン、ラインアウトモールというラグビーの王道の部分で歯が立たなかった。それで今度の試合では、網走でやったこと(8月からの北海道・網走合宿で初めて攻撃の練習に手をつけた)を活かして、ラグビーの王道の部分で戦って来い、とフォワードに伝えた。そして、ポジティブなフィードバックができた」

――ハーフタイムでメンバーを入れ替えた。

「夏は8日間で3試合が組まれていました。(合計)160分以上は出さないようにしていました」

――帝京大学戦では、スクラムで手応えがあったような報道もありましたが。

「まだまだ。もっと上積みができると思うし、本人たちもその意識。ワセダのなかで、スクラムカルチャーを育んでいきたい」

――トップリーグ屈指のスクラムを誇るヤマハと練習試合。

「愛情でしょう、清宮さんの! 前日にキヤノンとトップリーグの試合(東京・町田市立陸上競技場)をした次の日に、Bチームに来ていただきます。うちの強みにしたい部分を真っ向勝負でぶつけさせていただいて、見えてくるものがあると思う」

――新人が多く出場しています。特にゲームを動かすスクラムハーフの斎藤直人選手、スタンドオフの岸岡智樹選手に帝京大学の圧力を経験させました。どうご覧になりましたか。

「昨年まで上手く回っていなかったS&Cのプログラムを見直して、その成果が最も出たのが1年生。(身体の)ベースがあるので、それぞれの持っていた高いテクニックがより活きている。帝京大学戦の時は、『1年生に帝京大学を経験してもらう』というタスクもありました。直人はブレイクダウン(接点)の周辺でいつも以上のプレッシャーを感じているようでした。ただ、果敢にやっていました。岸岡も度胸があった。彼らには、ここで得たもの、感じたものを日々意識しながらやってくれればと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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