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「社内SNS」を導入して、組織の空気を変える3つのポイント

横山信弘経営コラムニスト
社内SNSへの書き込みは、クスッと笑えるようなものがいいですね……(写真:アフロ)

組織風土はどうして、なかなか変わらないのか?

ビジネスの世界では、理不尽なことが多々あります。どんなに論理的に正しいことを言っても、所属している組織の「空気」がその発言を受け入れられる状態になっていなければ、多くの人から相手にされません。私はセミナーや講演で目標予算をどのように「絶対達成」させるか、テクニックや思考ノウハウを紹介しています。しかし受講者が私の話を聴いて感化され、組織に持ち帰っても、

「目標の絶対達成といっても、達成できないこともあります」

「逆立ちしたってできない目標を設定する経営陣がおかしい」

などなど……。「目標はあくまでも目標だ。達成できたらいいが、なかなかそういうわけにはいかない」という空気が組織に蔓延していたら、どんな施策を打っても、なかなか人は変わりません。

社内SNSの効果は2つ

組織の「空気」を変えるためには、時間をかけて既成概念――「古い空気」を「新しい空気」に入れ替える必要があります。その際、意外に使える仕組みが「社内SNS」です。社内SNSの効果、メリットは大きく分けて2つ。

1)単純接触効果

2)自己開示効果

社内メールと大きく異なるのは、特定の送信先を考慮することなく「個人的なつぶやき、意見、感想が書きやすい」という点です。事務連絡のみならず、

「今日は得意先を7件まわりました。意外と手ごたえがあった」

「見積り資料を4時間かけて作ったが、社内で雛形を作っておけばもっと効率化できたと思う」

「朝早く出社して、デスク周りをキレイにした。ああ、スッキリ!」

このような「つぶやき」「独り言」を書くことができます。見ている人から肯定的なコメントをもらうことや、「いいね!」ボタンを押してもらうことを書き込みルールとして設定しておけば、自然発生的に前向きな発言が増えていきます。

「今日のお昼は350円のコンビニ弁当。明日からはもっと健康に気をつけたい」「来週から3日間、福岡へ出張! とんこつラーメン食べるぞ!」といったより個人の内面を表現した内容も増えることでしょう。こうすることで「自己開示効果」が働き、さらに単純接触が増えることで相互信頼が増していきます。

経営者はどのように社内SNSと向き合うべきか?

経営者や管理者が組織内の「古い空気」を入れ替えるためには、「新しい空気」の基礎概念を大量に刷り込んでいく必要があります。それを社内メールで書いて送り続けると、事務的で堅いイメージです。相手に強い緊張感、プレッシャーを与えてしまう恐れもあるでしょう。そこで「社内SNS」などを活用し、さりげなく書いて発信していくと、知らず知らずのうちに「空気」が浄化されていくものです。

「昨夜、地元の経営者6人と飲みました。わが社が目標達成に向けて順調だと話すと、みんなから『うらやましい』『当社も見習いたい』と言われて気持ちよかった!」

「アシスタントのKさんが、営業の後方支援のために役割分担表を作ってくれました。こういう心配りに感謝したいです!」

「なんだか最近、目標達成しよう! という意欲をみんなからもらっているようで私も頑張れます」

このようなことを、経営者みずから呟き続けると、徐々に空気が変わってくるものです。「社内SNS」を活用して組織の空気を変えるポイントは3つです。

1.毎日必ず「一人一投稿」すること、積極的にコメント、「いいね!」をすること

2.読んでいる人から肯定的なコメント、もしくは「いいね!」がもらえるようなポジティブなことを書くこと

3.カッコつけず、照れ臭いことを敢えて書くこと

特に、3つ目の「カッコつけず、照れ臭いことを敢えて書く」というポイントは極めて重要で、経営者、マネジャーが特に心掛けることです。

「今日はAさんと一緒にお客様へ行ったが、Aさんの心配りには驚きました。私もAさんの振る舞いを見習いたいですね!」

「最近、お客様から感謝の言葉をよくいただきます。もっとお客様が笑顔になってもらえるよう、明日もがんばりたいと思います!」

照れ臭いことを毎日書き続けることで、自分自身の思考パターンが変化していきます。社内SNSをスタートさせた当時は、「前向きな書き込みをしようとしても、毎日のようにそんな出来事がない」と誰もが感じるはず。しかし無理やり書いていくうちに「記憶の引き出し」が変わっていきます。

最初は「今日も時間通りに出社できました。毎日仕事があることに感謝したいです」といった書き込みが、だんだんと「今日は社長が部長と真剣に会社の将来について話し合っていました。私ができることと言ったら、今期のスローガンである『顧客満足度』を上げるための取組みをしっかりやることだとあらためて思いました」などと、具体的でかつ肯定的なものに変わっていきます。

当社も「社内SNS」を活用して、組織風土の改善に取り組んでいます。最初は戸惑う人が多かったように思います。しかしトップである私が断固としてやり抜くと宣言し、積極的にリアルコミュニケーションでは言いづらい「照れ臭いこと」を書き続けたことによって、メンバー全員が毎日ポジティブなこと、相互に感謝したいこと、家庭や街を歩いていて学びがあったことなどを積極的に投稿してくれるようになりました。

東京・名古屋・大阪の3つの拠点にメンバーが散らばっていますが、毎日会っているような気分になっています。相手がどんなことで喜びを感じ、どんなことで悩んでいるかも以前と比べて手に取るようにわかるようになりました。今では「社内SNS」が組織内コミュニケーションを築くうえでの土台にまで成長しています。

「社内SNS」の導入で一番大切なことは、何より焦らないこと。すぐに結果を求めようとするその姿勢自体が、組織の空気を汚していく根源だからです。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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