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目標を達成させるための「資料作成」の基本……たった1つのポイント

横山信弘経営コラムニスト

何らかの目標を達成させるため、もしくは何らかの問題を解決するためには、指標を決めて、その推移をモニタリングすることが必要です。ダイエットや資格試験の合格をめざし、個人でマネジメントする場合でも、企業で定期的にマネジメントサイクルをまわすためにも、それなりに考慮された資料を作成すべきでしょう。関わる人たちの意思決定と行動改善を左右する重要な手がかりとなるからです。

それでは、資料作成のポイントを解説する前に、まずは資料の必要性に関して私の考えを書きます。そもそも、なぜ目標達成や問題解決のために「資料」が必要なのか、です。特にビジネスにおいて、複数の人が協力し合い、何らかの目標を達成しようとする場合、不可欠です。理由は2つです。

1)本気度を伝えるため

2)効率化するため

2)の「効率化」は多くの人に理解いただけると思います。無駄な3種類のコスト(金銭コスト、時間コスト、労力コスト)をかけずに目的を果たすために、正しい管理資料を作成することは意義があります。反対に、1)「本気度」に関しては「ん?」と、多くの方が首をかしげるかもしれません。しかし、この1)こそが重要なのです。

たとえば社長が工場長を呼び出し、「昨年よりもクレームの数が増えている。クレームを減らしてくれ」と言ったとします。工場長は当然「わかりました」と答えるでしょう。さらに「いつも心掛けていますが、これからはもっと工員全員で取り組んでいきます」とも付け加えるかもしれません。しかし社長からこのように言われたらどうでしょうか。

「期限と数値目標を決めて、毎週、確実にクレームの数が減っているかがわかる資料を作成し、提出してくれ」

工場長は驚いて、こう尋ねるかもしれません。

「期限、目標……と言いますと?」

今度は社長が驚きます。

「さっき、君自身が『これからはもっと工員全員で取り組んでいきます』と言ったじゃないか。それを具体的に記すだけだ」

「いや、そうかもしれませんが……。営業が中途半端な注文をとってくることも問題かと思いますが」

「君は何を言ってるんだ? 『工員全員で取り組んでクレームを減らす』と言ったばかりじゃないか。私への社交辞令か?」

「いや、そういうつもりではありません。ただ、クレームは営業部にこそ問題があって……」

問題の所在がどこにあるかはともかく、工場長が社長の依頼事項を本気で取り組もうとしていなかったことは明白です。話が正しく伝達しているか、噛み合っているかを検証するうえでも「資料」を作成することは意味のあることです。それでは、そういった資料を作成するにはどのようなポイントを押さえたらよいのでしょうか。ポイントはたった1つだけです。

● 目標達成に必要な項目だけ載せる

したがって、資料はとてもシンプルになるはずです。

どうすれば目標が達成するのかの「仮説」と、その論拠となる「事実」を列挙していけばよいのです。「事実」とは、「仮説」を検証するために行動した結果になることでしょう。

たとえば「1年間でクレームを昨年の300件から150件へ半減させることを目標にするため、営業との発注プロセスを見直した。実際にプロセスを見直した後、月に1回、クレーム発生件数をモニタリングしているが、1月10件、2月13件、3月9件、4月11件……と、現時点では年間150件を下回るペースで推移している」ということを伝えられる「資料」を作成すればよいのです。

複数の人で目標達成、問題解決しようとしているのであれば、お互いの話を噛み合わせるために、「前提条件」や「仮説」、論拠となる「事実」を共有する必要があります。口頭で話すと話が「あさっての方向」へ進んでしまうこともあるため、「資料」を使い、論点がずれることなく必要なことのみを伝えることができればよいのです。

資料作成で問題になるのは、コミュニケーション内容を考えずに、いきなり「資料作成」から入ってしまうことです。そうすると、目標達成には関係のない項目が増え、複雑になってしまいがちです。手の込んだ資料を作成することが好きな人はいいでしょうが、それだと目標が達成しづらくなります。無駄な労力がかかり非効率的になっていきます。

個人で目標達成する場合は、自分との対話のための資料を、複数のメンバーがいる場合は、相互コミュニケーションを補完するために資料を作るべきです。もしも会議中、せっかく作った資料をそっちのけで話し合いをする人がいれば、資料本来の意味が損なわれています。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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