Yahoo!ニュース

いざ、アジアの陣へ。「東京五輪世代」U-19日本代表全員ガイド

川端暁彦サッカーライター/編集者
世界切符へ挑むU-19日本代表。写真は昨年の1次予選突破時(写真:佐藤博之)

10月14日からU-20W杯アジア最終予選を兼ねるAFC・U-19選手権がバーレーンにて開幕を迎える。原則4位までに与えられる世界切符を目指して大会に臨むU-19日本代表は1997年1月1日以降に生まれた選手たち。4年後には「U-23」となって東京五輪を迎えることになる世代でもある。

チームの基本フォーメーションはオーソドックスな[4-4-2]。メンバーも1ポジション2名ずつの原則にしたがって選ばれているので(GKのみ3名)、それに沿う形で全員を紹介していきたい。10年ぶりの世界大会出場を狙う、23名の精鋭たちである。

【ゴールキーパー】

 日本の守護神たち。左から小島亨介、廣末陸、若原智哉
日本の守護神たち。左から小島亨介、廣末陸、若原智哉

No.1

小島 亨介(こじま・りょうすけ)

早稲田大

(前所属:名古屋U18)

183cm/73kg 1997年1月30日生

正GKはチーム唯一の大学サッカープレーヤー。足元の技術に定評があり、後方からのビルドアップで攻撃の起点となる。ただ、自身が最近こだわっているのは「シュートストップ。最後は結果」。あこがれの選手は「ずっとブッフォン」。

No.12

廣末 陸(ひろすえ・りく)

青森山田高

(前所属:FC東京U-15深川)

183cm/78kg 1998年7月6日生

抜群の運動能力を活かして前へと飛び出し、相手FWとの1対1を制する攻撃的GK。飛距離の出るロングキックも大きな武器だ。度胸の良さや気の強さを含めて若かりし日の川口能活を彷彿とさせるものがある。FC東京加入内定。

No.23

若原 智哉(わかはら・ともや)

京都サンガU-18

(前所属:京都サンガU-15)

185cm/79kg 1999年12月28日生

飛び級招集となった規格外のGK。中学時代の全国大会で、シュートをストライカーの前に跳ね返して再セーブするなど圧倒的な止めっぷりを見せ、「デューター・ミューラーのようだ!(※)」と思わせてくれたが、世代的に本人には通じそうにない。

※『キャプテン翼』に登場する西ドイツJrユースの守護神。『鋼鉄の巨人』。

【右センターバック】

左から冨安健洋、板倉滉。共に185cm超の大型ながら足元の技術に自信を持つ
左から冨安健洋、板倉滉。共に185cm超の大型ながら足元の技術に自信を持つ

No.5

冨安 健洋(とみやす・たけひろ)

アビスパ福岡(前所属:アビスパ福岡U-15)

185cm/70kg 1998年11月5日生

中学時代からその名を全国に知られるエリートプレーヤーで、今季は高校3年生ながらトップチーム登録。シーズン途中からレギュラーをつかんで活躍を続けている。中盤の底とCBを兼任できる「ザゲイロ・ボランチ」で、今大会も兼用の見込み

No.22

板倉 滉(いたくら・こう)

川崎フロンターレ

(前所属:川崎フロンターレU-18)

186cm/75kg 1997年1月27日生

1年近くメンバーから外れており、「毎回メンバーリストを見て悔しがっていた」状態から、本人も驚愕の大会直前で電撃復帰。特長は明確で、「ヘディングの強さと後ろからのビルドアップを観て欲しい」。一発で局面を変えるロングフィードもある。

【左センターバック】

左から中山雄太、町田浩樹。どちらも時代が求める左利きのセンターバックだ
左から中山雄太、町田浩樹。どちらも時代が求める左利きのセンターバックだ

No.3

中山 雄太(なかやま・ゆうた)

柏レイソル

(前所属:柏レイソルU-18)

180cm/70kg 1997年2月16日生

器用さ、クレバーさ、勇敢さを兼ね備える守備陣のリーダー。J1リーグのレギュラーとして積み上げた経験も頼もしい。左利きのメリットを活かしたビルドアップが最大の売り。左CBで先発濃厚だが、過去にはボランチや左SBで起用されたことも。

No.4

町田 浩樹(まちだ・こうき)

鹿島アントラーズ

(前所属:鹿島アントラーズユース)

187cm/70kg 1997年8月25日生

攻守のゴール前で存在感を出せるビッグマン。自慢の高さを活かした空中戦に加えて、左足からのダイナミックな展開力も光る。鹿島でもベンチ入りを果たすなど徐々にランクアップ。出場機会がない中、コンディションを落とさなかった点も買われている。

【右サイドバック】

炎の右サイドバック、藤谷壮(左)と岩田智輝
炎の右サイドバック、藤谷壮(左)と岩田智輝

No.2

藤谷 壮(ふじたに・そう)

ヴィッセル神戸

(前所属:ヴィッセル神戸U-18)

178cm/62kg 1997年10月28日生

抜群のスプリント能力で右サイドを突破する爆走系サイドバック。決して小器用なタイプではないが、問答無用のアグレッシブさはチームが劣勢に陥ったとき、しばしば助けとなってきた。彼の攻撃頻度はチームの状態を推し量るバロメーターでもある。

No.16

岩田 智輝(いわた・ともき)

大分トリニータ

(前所属:大分トリニータU-18)

176cm/70kg 1997年4月7日生

大分育ちらしいファイティングスピリットにあふれる右DF。技術的にも優れており、高校時代はボランチも務めていた(もっとも当時から本人は「サイドバックがいい」と言っていたが)。緊急起用の色合いも濃かったが、過去には左DFで使われたことも。

【左サイドバック】

初瀬亮(左)と舩木翔。初瀬は練習試合負傷欠場のため、G大阪の写真になってもうた
初瀬亮(左)と舩木翔。初瀬は練習試合負傷欠場のため、G大阪の写真になってもうた

No.6

初瀬 亮(はつせ・りょう)

ガンバ大阪

(前所属:ガンバ大阪ユース)

175cm/64kg 1997年7月10日生

アップダウンの繰り返しを苦にしない確かなスタミナと攻撃センスの高さが光る“ガンバらしい”本格派のサイドバック。厳格な長谷川健太監督からもその資質は高く評価されており、J1でも出場機会を得ている。両利きのため、右DFもこなせる。

No.19

舩木 翔(ふなき・かける)

セレッソ大阪U-18

(前所属:セレッソ大阪U-15)

177cm/65kg 1998年4月13日生

左足から繰り出す質の高いキックを武器とする左サイドバック。中学時代はボランチで、転向当初は素人臭さがぬぐえなかったが、今ではこのポジションを完全にモノにした。高円宮杯プレミアリーグWESTではサイドバックながら得点王を争っている異能者。

【ボランチ1】

ダブルボランチとして先発濃厚の神谷優太(左)と坂井大将
ダブルボランチとして先発濃厚の神谷優太(左)と坂井大将

No.7

神谷 優太(かみや・ゆうた)

湘南ベルマーレ

(前所属:青森山田高)

176cm/67kg 1997年4月24日生

山形に生まれ、東京Vのアカデミーで育ち、青森にてブレイクした異才。確かな技術を持つが、「とにかく走力」と「戦わないと!」など、ちょっと暑苦しいまでに熱さを見せるナイスな男。持ち味であるFKやミドルシュートからの得点も大いに期待したい。

No.10

坂井 大将(さかい・だいすけ)

大分トリニータ

(前所属:大分トリニータU-18)

165cm/60kg 1997年1月18日生

熱いハートを持ったチームの主将。トップ下からサイドバックまで何でもこなせるオールラウンドプレーヤーだが、今回はボランチでの先発が濃厚。2年前のAFC・U-19選手権では飛び級参加して悔し涙を流しただけに、今大会への意気込みは人一倍である。

【ボランチ2】

パサータイプの市丸瑞希(左)と潰し屋になれる原輝綺
パサータイプの市丸瑞希(左)と潰し屋になれる原輝綺

No.17

市丸 瑞希(いちまる・みずき)

ガンバ大阪

(前所属:ガンバ大阪ユース)

172cm/60kg 1997年5月8日生

止める・蹴るの基本技術とボールを失わないための判断力に秀でた選手で、今回のメンバーで最もボランチらしいボランチ。機を見てゴール前に飛び出していく力もある。ボールを「奪う」部分を自ら課題として密かに改善へ取り組むなど努力家でもある。

No.21

原 輝綺(はら・てるき)

市立船橋高

(前所属:AZ’86東京青梅)

178cm/63kg 1998年7月30日生

8月に初めての招集を受け、そのままメンバーに定着したシンデレラボーイ。運動能力の高さとクレバーさを併せ持つ珍しいタイプ。市船の朝岡隆蔵監督からは「帰ってきたらポジションはないものと思え」と、愛(?)を込めて送り出された。新潟加入内定。

【右サイドMF】

攻撃の軸となる堂安律(左)、切り札として期待の遠藤渓太
攻撃の軸となる堂安律(左)、切り札として期待の遠藤渓太

No.15

堂安 律(どうあん・りつ)

ガンバ大阪

(前所属:ガンバ大阪ユース)

172cm/70kg 1998年6月16日生

攻撃の柱と期待されるレフティ。高校生ながら“プロ”となった今季は肉体改造に取り組んで同体重ながら体脂肪率を減らすことに成功し、シャープな動きと強さの双方を獲得した。明朗快活、オープンなキャラクターで、チームのムードメーカーでもある。

No.18

遠藤 渓太(えんどう・けいた)

横浜F・マリノス

(前所属:横浜F・マリノスユース)

175cm/66kg 1997年11月22日生

切れ味鋭いドリブルとパワフルなミドルシュートが売りのサイドアタッカー。左右どちらのサイドでも起用できる柔軟さがあり、積極的な仕掛けからチャンスを作る。ユース組の中では比較的遅咲きの選手だが、プロ入り後も着実に成長を続けてメンバー入り。

【左サイドMF】

復活のファンタジスタ三好康児(左)と意外性の男・長沼洋一
復活のファンタジスタ三好康児(左)と意外性の男・長沼洋一

No.8

三好 康児(みよし・こうじ)

川崎フロンターレ

(前所属:川崎フロンターレU-18)

167cm/64kg 1997年3月26日生

2013年のU-17W杯に出場するなど、早くから将来を嘱望されてきた左利きのテクニシャン。負傷に泣くことも多かったが、プロ入り後は「自分で自分のコンディションを管理できるようになってきた」(内山監督)ことでブレイクスルーを遂げつつある。

No.11

長沼 洋一(ながぬま・よういち)

サンフレッチェ広島

(前所属:サンフレッチェ広島ユース)

177cm/66kg 1997年4月14日生

スピードに乗ったドリブルやスペースへのランニングプレーを得意とするワイドアタッカーで、FW経験者だけに得点力もある。ユース時代はややムラっ気のあるタイプだったが、守備の課題が改善されるなどプロ入り後も着実にレベルアップを続けている。

【ストライカー1】

2枚のセンターフォワード、小川航基(左)と岸本武流
2枚のセンターフォワード、小川航基(左)と岸本武流

No.9

小川 航基(おがわ・こうき)

ジュビロ磐田

(前所属:桐光学園高)

183cm/70kg 1997年8月8日生

中学時代はトップ下、小学校時代はDFで、高校時代にFWとして開花した。左右両足から繰り出すシュート力は天下一品で、内山監督から言われることは「下がってくるな。ゴール前にいろ」。要するに「お前はゴールを決めてこい」ということである。

No.13

岸本 武流(きしもと・たける)

セレッソ大阪

(前所属:セレッソ大阪U-18)

174cm/66kg 1997年7月16日生

ゴールへ向かって勝負する強固なメンタリティを備えた、典型的なストライカー。中盤に落ちての仕事より前で体を張る仕事を好み、クロスボールに対してもスルーパスに対しても猛然と突っ込んでゴールを狙う。前線からのハードなディフェンスも大きな武器。

【ストライカー2】

中村駿太(左)と岩崎悠人。どちらも「ジョーカー」になり得る資質を持つ
中村駿太(左)と岩崎悠人。どちらも「ジョーカー」になり得る資質を持つ

No.20

岩崎 悠人(いわさき・ゆうと)

京都橘高

(前所属:彦根中央中)

170cm/67kg 1998年6月11日生

J各クラブが争奪戦を繰り広げた今季の目玉新人。最後まで悩んだ末に、最終的には地元の京都を選んだ。圧倒的な加速力と当たられても崩れないボディバランスの良さが光り、FWに加えてサイドMFもこなす。最近は「クロスへの飛び込み」を意識して磨いてきた。

No.14

中村 駿太(なかむら・しゅんた)

柏レイソルU-18(前所属:柏レイソルU-15)

170cm/66kg 1999年5月10日生

飛び級招集となった柏のリアル・ストライカー。相手DFを外す動き、スペースへの走り込みに秀で、巧みにパスを引き出してゴールを狙うほか、小柄ながらポストワークもしっかりこなす。ここぞのタイミングで繰り出すドリブルからのシュートも強烈。

【AFC U-19選手権(バーレーン)予定】

時間は日本時間。CSテレ朝チャンネルでは生放送、NHK-BS1では録画放送予定。放映スケジュールはJFA公式サイトおよびテレ朝チャンネル公式サイト参照。

14日 22:30~

「日本 × イエメン」

17日 22:30~

「日本 × イラン」

20日 22:30~

「日本 × カタール」

24日

「準々決勝」

27日

「準決勝、5位決定プレーオフ1回戦(※)」

30日

「決勝、5位決定戦」

※U-20W杯開催地が韓国のため、韓国が4強入りした場合に限って5位決定のためのプレーオフを行う。

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

川端暁彦の最近の記事